竹炭を微粉末にしたものは実は昔から利用されていて、古くは忍者が解毒のために常に携帯して使ったとか言われていますが、別にそんな特別な生死に関わるかも知れないような事でなくとも、炭職人さんには胃腸の悪い人はいないと言われるように、炭窯で炭をかじる方は今でも普通におられるのです。
ご家庭での竹炭パウダーの使用方法を尋ねてみますと、やはり、竹炭パンや竹炭クッキー、竹炭ケーキなど、竹炭の細かい粉末を混ぜ込みやすいものが多いようですぞね。そう言う自分も、まず最初に焼いたのが竹炭パンやったがです。初めてだったのにツヤツヤと黒光りしたようなパンが焼けて、まっこと見た目にもインパクトはあるし、さっそく美味しくいただいた事を覚えちゅうがです。
体内の毒素や老廃物を排出させるデドックス効果を期待して、竹炭を利用される方が多いようですが、いくら健康に良いとされていましても美味しくないと続きませんにゃあ。その点、竹炭パウダーは無味無臭ですので色合いを気にしなければ、食材の味や香りを邪魔することはありません。混入する割合にもよりますが多少食感がザラつく程度です。
しかし、「美味」という事を今まであまり追求していなかった竹炭ですが、京都のクレメンティア(Clementia)さんというイタリアンレストランで頂いた竹炭コロッケは違いましたぜよ。
球形に作った真っ黒いコロッケは食べる前から見た目で楽しめます。色合いは、さすが竹炭ですが黒い食材と言うと、もしかしたら美味しさの演出はしづらいので、使うのにも大変かなあと考えちょりましたが、実はお皿に盛り付ける食材を工夫することにより、お互いが引き立てあうような一品ができるように思うたのです。ナイフで竹炭が使われちゅう表面を触ってみると外側は少しだけ硬く、半分に切ってみるとマッシュポテトのような中身はこじゃんとなめらかで柔いのです。その対比を口の中で確かめながら頂きました。
シェフの田淵さんは、まだまだお若い方ですが、そのこだわりは普通ではないがです。地元の食材に特に思いがあられるようで、牛肉はお隣の滋賀県で生産される近江牛を使われる事が多いようです。しかもただ、地元の近江牛を使うというだけではありませんぞね。何と国産飼料で育つ牛となると、どうですろうか?自分も専門外ですので、それほど詳しいわけではありませんが、日本の家畜はほとんどが海外からの飼料によって育つと言われますので、国内の飼料を使う事など、あまり聞く事がないかと思います。そんな取り組みをしている牧場と繋がる事だけでも凄い事かもしれません。しかし、田淵シェフは更に牧草焼きなる料理に、木下牧場さんと言う、その牛の育った牧草まで取り入れちょりました。
何を隠そう高知の名物、鰹のタタキでも本当に美味しいお店の料理人さんは、タタキを焼くワラやそのワラの保管倉庫にまで気を配ると言いますので、少しそんな事も思い出して感心することしきりなのです。田淵シェフ、まっこと、そのアイデアと料理や素材への情熱は素晴らしいです。シェフだとか何だとか料理人の方の呼び方は色々あるかも知れませんが、要するに「職人」ではないですろうか?竹職人と同様に、そのものへの愛情や思いが形となり、新しいものが創り出されるのは同じながです。
コメントする