明徳義塾卒業生スピーチ

明徳高校時代の竹虎四代目


早くも今週の日曜日の事になりましたぜよ。「一月いぬ、二月は逃げる、三月は去る」と言われますので、まっこと、あっと言う間に、その日はやってくるがですちや。一体、何の事かと言いますと、実は明徳義塾の卒業生スピーチをさせて頂く事になりましたぜよ。3月1日(日)の卒業式の舞台で、今までの明徳卒業生の中から選ばれた一人が、ハレの日を迎える後輩の卒業生に餞の言葉を贈るのです。


今年で16年目となると言う事で、過去15名の卒業生講演者の皆様を拝見すると、医師、大手企業社長、大学教授、日本航空CA、町会議員...会社員の方もおられますが、それぞれがその世界で輝きゆう方ばかり。明徳は北海道から沖縄、最近では海外からも生徒が集まってきますので、卒業生スピーカーの方々も全国から錚々たるメンバーが母校に帰って来て講演されちょります。名簿を片手につくづく場違いな感じを受けながら、こんな凄い方々の中で田舎の小さな竹屋の自分のような者がエイろうか?まっこと(本当に)少し気後れしてしまうがですぜよ。


とてもじゃないけんど34年前の自分やったらどうやろう。怖くて逃げ出しちょったろうか?諦めて断る理由、ダメな理由ばっかり考えよったろうか?


明徳校長夫人、上河さん、竹虎四代目


「スピーチは、来年の3月1日ですろう?」


ええっ!?まだ11月ですぞね...。


なんで、こんな早くから打ち合わせして準備が必要やろうか?不思議に思いよりましたけんど案の定やった。やっぱり、ただのスピーチとは違うがぜよ。卒業式という神聖な場で行う。


「明徳生に手渡す魂のバトン」


「最後の教育の日」


「1日だけの人間教育」


さすが明徳ぜよ、気合いの入りようが凄い!明徳は全寮制では無くなって自分の知っちゅう学校とは、ちっくと違うたと思いよりましたけんど、自分が間違えちょったちや、やっぱり明徳は明徳やった!明徳という学舎は、こうでないとイカンですろう!


「カチリッ」


スイッチが入る音がしましたぞね。静かにエンジンが掛かっちょります(笑)。昔のアルバムを引っ張りだして、スポーツもダメ、勉強は更にダメ、何をやっても中途半端で、何の取り柄も存在感もない、格好の良い事ばかり、楽な事ばかり追いかけよった、だらしない気弱な男子生徒の顔を見てみましたぜよ。


自分が何者なのか?


恥ずかしい事に今でも分かりませんけんど、学生の時には、全く分かっていなかった。そんな34年前の竹虎四代目へ話しをします。卒業式を迎えるのは制服を着て並ぶ生徒さんだけではないぜよ。この作務衣のおんちゃんも、もう一回だけ明徳卒業式ぜよ。


今年で121年目を迎える竹虎は、今日まで何とか伝統を守り続けられちょります。会社経営というような立派なものでは出来ていませんが、その根底にあるものは、実は全て明徳で教わったもの、「自分は明徳で作られちゅう」そんな風に最近よく思うがですぞね。だから、吉田幸雄校長先生から頂いたご恩を、たとえ、ほんの少しでも「恩送り」したいがです。明徳生活6年間の最後を締めくくる卒業生代表しての贈り物と言う事やったら、「魂のバトン」が渡せるかどうか分かりませんけんど、「ニコニコと、いそいそと喜び勇んで全力投球」。あの日の石コロだらけのグランドで習うた通り、竹のように真っ直ぐに、全身全霊をかけてやるだけながです。


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