竹細工の細かい縁部分

当て縁


竹細工とは字で書くとおり竹を細く、細かくして作り出す技ぞね。日本全国どこにでも見られる、あの一本の硬い竹が籠や笊になっちゅうのを見られる場合には、初めての方やったら、だいたいがその緻密な編み目をご覧になられる事が多いようですぞね。美しい編み目は、竹細工ならではの模様が浮かびあがり、まさに籠の見せ所のひとつでもあり、実際に使われる場合にも使い心地や耐久性を大きく左右する大事な部分でもあるがです。


ところが今回クローズアップさせて頂いちゅうのは、その編み込みの縁の部分ですぞね。竹を縦方向に適当な幅に粗割した後、更に細く割って行くのですが、竹表皮を薄く剥いでいても竹節の部分は少し盛り上がり、斜めになったラインのように残っちょります。これは丸い籠のカーブに沿わせてあるので自然と内径と外径の違いから、このように竹節模様が少しずつズレてくるがです。


竹を扱う者でしたら当然の事のように思いますけんど、これと同じように竹を柾割りして作られる玉袖垣などの大きな造形の場合には竹表皮をそのまま活かしちょりますので、竹節がハッキリ見られるという違いはあるものの、細かい割りや、節で表現される柔らかいライン、あるいは、真っ直ぐに使う部分での竹節をあえてズラす事による、ジグザグ模様などに驚かれる事があるので、このような縁のあしらいについては見ているようで、気づかれていない場合もあるかも知れないと思いゆうがですぞね。


深竹ざる


縁巻きを留めちゅう素材についても、籐やったりカズラやったりと、それぞれの職人さんや用途により違いがあるがです。もちろん自然素材の竹にあわせて使いますので、同じように山に育つ素材が昔から利用されてきちょります。籐は熱帯地域で自生するもので日本にその素材はなく、ラタン家具などが東南アジアに沢山見られるように、国産の素材ではないものの強靱な繊維を持ち使いやすい事から、一番使われる事が多い縁巻き素材のひとつです。


けんど、そんな強い素材だとしても、やはり外で働く竹籠でしたら長い使用の間には、だんだんと弱くなって繊維が弾かれるように切れる事もあります。そこで農家さんや田舎で実際に生活道具として使われる籠ほど、錆にも強いステレンスなどのご要望が高い事があるのです。以前、そんなに細くない針金を使った平ざるがありました。農家さんで干し大根などに、いっつも使われよりましたが、いちいち仕舞う事もないので雨ざらしです。ステンレスではなかったようで、真っ赤になった針金は切れてしまって使えなくなっちょります。


けんど、竹編みは、すっかり枯れたような色合いですが、触ってみると弾力もあり、まだまだ使うてくれと言いゆうよう。まっこと、竹の強さと言うか、たくましさと言うか、見栄えばっかりの竹もエイですけんど、長い本気の付き合きで分かる竹。竹のこんな所も好きながですちや。


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