山の頂上の方は雪が積もって真っ白くなるような寒い日やったがです。曲がりくねった道の両側の木々は鬱蒼と生い茂っていて、日中というのにライトを点灯したくなるような箇所があるのです。開かれたカーブに差し掛かったところに小さな看板を見つけましたぞね。
「こんな所に竹屋さん...?」
九州でも大分県は良質の竹の多いところとして知られちょりますが、こんな山の中に竹屋さんとは一体何を製造されゆうがやろうか?
ちょうど一人の職人さんが真竹の油抜き加工をされゆう所でした。竹の油抜きには方法が二種類あって、虎竹のようにガスバーナーの火で抜く方法と、今回の竹屋さんのようにお湯を使ってする方法があるがぜよ。
改めて湯抜きの釜を拝見させていただくと、ずっと向こうまで続いた長い構造という事が、一目でお分かりいただけるかと思うがです。こんな道具が立てかけられちょりますちや。竹虎では使っていなかったですがお湯をかき混ぜるのに使うようです。それぞれの工場に独自の道具があって面白いがです。
長い竹をそのまま切断することなく、お湯に入れられるようにとの工夫で長い長い釜です。竹虎でも湯抜きの際には竹の端材を燃やして使っていましたが、こちらでも同じように竹を燃料とされちょります。これだけ大きな釜だとお湯が温まるのに時間がかかりますので、朝4時、5時という時間から火入れせねばならず、なかなか大変でもあった湯抜きの朝を思い出すがですぞね。
湯抜き釜から竹を揚げる際には、ウエスで竹表皮を拭き上げながらの作業になります。お湯で温まって、ほんわかと湯気を立てながら上がってきたら、今度は一本、一本まるで人の垢すりのように綺麗に磨かれていく、こりゃあ、まっこと上機嫌のはずですろう。竹はこうやって時間と手間をかけて白竹になっていくがです。
コメントする