「まっこと若さん、私らあ竹は使うた事がないぞね」
ずっと昔には役職も無いですので、前から仕事をして頂きゆう社員や職人さんには「若さん」と呼んでいただきよったがぜよ(笑)
そして、竹製品や竹細工が本社に山のようにあるにもかかわらず、熟練の職人の方ほど、竹など使うた事がないと言われよりました。理由を聞くと、来る日も来る日も朝から晩まで竹に囲まれ竹触りゆうのに、家に帰ってまで、わざわざ竹でもないですろう...。そんな事を口々に話してくれよったがです。
けんど、実際に職人さんの自宅に用があって行ったら行ったで、すでに車からでも見える家の周りには竹垣は設えちゅうし、庭に入れば古びた竹笊やら籠やらが無造作に置かれちょります。横の畑には野菜作りに使うであろう丸竹や割竹の束があるし、ご自宅に入るまでもなく、どこからどう見ても「竹のある暮らし」そのままやったがぜよ!そこで思うたのは竹を使った事が無いのではなく、竹林に囲まれて育ち、竹と暮らし、仕事でも毎日扱う竹だから竹を特別意識する事も、した事もないという事ではないのかなあ。そんな風に思うたがです。
今回、北欧最大級の家具国際見本市「ストックホルム・ファニチャー・フェア」に出展させて頂く竹家具作りに、、ドイツ人デザイナー、ステファン・ディーツさんと挑戦させてもろうたがぜよ。虎竹の里には2回お越しいただいただけですが、お互いが色々な事を感じ合うことができたまっこと有意義な企画だったと思うちょります。
竹は真っ直ぐに伸びる直進性と、しなやかに曲がる柔軟性を併せ持つ他にはない独特な素材だと思いますが、先に出た熟練の職人さんと同じように自分自身が竹がすぐ身近にあり、竹を知っているつもりだからこそ、おそらく、このような海外のデザイナーさんとの協働がなければ形にすることのない竹の造作になっていると思います。
雑誌「ELLE DECOR(エル・デコ)」さんの2月号にも、今度のプロジェクトを推進されゆうジャパンクリエイティブさんのトークイベントが掲載されちょりましたぜよ。なかなか難しくも、ちっくと過激でもあるようなテーマでお話されよったみたいながです。自分のような田舎者にはモノ作りを言葉にするのは大変ぞね。けんど、世界にむけて日本を発信するのには、昔から日本人の感性で磨いてきた色々なモノづくりは魅力満載ですろう。
海外から見たら日本のイメージの大きなひとつに竹があると言われます。竹は数千年の人の営みの中で絶えず変化を続けてきて、また更に今回、今度は竹と遠く離れた海外の方の感性が加われば、面白い化学変化はこれから始まるのかも知れんがです。
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