どんな世界にも名人と言われる方がいるかと思います。竹細工の世界にも当然そんな方が沢山おりますぞね。まあ、竹細工と一口に言うても実に様々ありますけんど、たとえば盛り籠ひとつにしても編み方や素材、形状が違うと、極端な話しそれぞれの盛り籠に一人づつ名人がいても可笑しくはないがです。この無双編みと言われる二重編みになった盛り籠は、ミカン籠等として自分の小さい頃にはどこの家庭にもあった籠の一つぞね。冬はコタツでミカンが定番やと思いますが、そんな家庭の風景の中になくてはならないような存在やった竹製品ぜよ。
近年はあまり見かける事のないモノだったので、もうこのような美しい編み込みを目にする事もないと思うちょりましたが、なんと、少しつづ大きさを変えて編み込まれた盛り籠、3個入りや4個入となった入れ子にして編まれちゅう技のキレにはまっことビックリしますぜよ。
昔ながらの職人さんに、その道の名人の方がおられるのは、モノない当時は竹の需要が沢山あって、今から考えると少し信じ難いような数を製造されていたからながです。朝早くから夜遅くまで、工房で競い合うように同じ籠を編み込む。職人の世界は何処でも同じかと思いますけんど腕一つ。早く、美しい竹編みが出来る者が一番認められましたので、たとえ一編みでも人より多く、人より綺麗にと毎日の仕事で技が磨かれたがです。
この無双編みも同じ籠ばかり編まれてきた技の熟練をヒシヒシと感じます。そして、まだ、これだけの仕事をされる職人さんがおられる事に、嬉しさと、ご縁をいただけた事への感謝をしみじみと感じるがです。
無双編みの底編みからずっと拝見させてもらいゆうと、まっこと無口な職人さんの手際の良さも素晴らしい事ながら使われる道具ひとつひとつにも味があって魅力タップリぜよ。川原の石に生地を縛って使いゆう重しさえも格好がエイ。竹の仕事は、どこまで行ってもその面白さが尽きる事がないにゃあ。
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