エビラ(竹編み平かご)は、もともと蚕を飼うための蚕棚で使われていた道具なのです。一昔前には養蚕は日本各地で広く営まれちょりましたので実はそれぞれの地方に養蚕用に使われていた竹細工が残されています。高知ではエビラのような四角い木枠のものが多いですが、四角形の物でも竹枠であったり編み目が網代網でなく六ツ目だったり、また丸い平ざるを使われていた所もあったようで、同じ蚕用という目的でも色々あって面白いものやにゃあと思うがです。
当時、蚕は家族同様に大切にされていたと聞いた事がありますぞね。馬や牛など家畜も大切な労働力であり今で言えば耕運機のような存在です。だから家の中で飼うほど大事にされていた頃の事です。蚕も家の中で一番温かい天井裏のような所に設えた棚で、大事に大事に育てられていたようです。だから蚕を飼っていた竹ざるは長い年月の間に囲炉裏の煙に燻されて、自然と何とも素晴らしい光沢になったものも沢山あります。
このエビラは職人さんが子供の頃から家で使われていたもので、何と70年前のものとの事ながです。竹が傷んだ所をビニールバンドで修復していますが、まだまだ普通に使うことができるのも蚕を大切にすると同じように、このような道具類も大切にされてきたからですろう。それにしても70年は凄いぜよ。今でも自分が育てた野菜を干したりして役立っている姿を見ると、使う方の愛情や手入れもさる事ながら竹の強さを改めて思わずにおれないのです。そして、まだまだ先の事かも知れませんが、いよいよ天寿を全うする事になれば、土に還る。本当に日本の道具というのは素晴らしい、いつもながらに思うがです。
関 返信
長野県伊那谷の南部地域では、蚕様を飼うのに、竹で編んだ目が3〜4cmも空いてて、空気が通って乾燥し易い荒い目になってる平らな物を、竹の平路地と呼び、その上に広げた蚕様の上に、
詰んできた生の桑の葉を広げると、蚕様が、葉の縁から一斉に喰み始めると
サンサンと、低い音が合唱曲の様に聞こえました。
竹虎四代目から関 への返信 返信
養蚕の盛んな頃には、日本各地にエビラのような竹編みが沢山あったようです。
高知県はじめ四国では、当社で製作する四角型がほとんどですが
東北では丸型のものがあり沢山持ち帰りインテリアにした事があります。
九州の古い民家で、部屋の中央に囲炉裏のような設えを拝見しましたが
何と蚕のために屋根裏を温めるために使っていたようです。
当時、いかに蚕が大切に扱われていたことを思いました。