今年も渡辺竹清先生のパーティーバックを手にする元日が近づいてきましたぜよ。パーティーバックと言うても、自分が使わせて頂くのは少し格が違うぞね。先生がニューヨークにある有名宝石店T社のお仕事をされている時に、デザイナーの方とのやり取りで何点か試作した作品の中の一つ、祖父が先生より譲られてから、ずっと仕上げられる事なく置かれてあったものを、金細工の作家の方に特別にお願いして金具を製作いただき、改めて渡辺先生が美しい籐巻きをして仕上げて下さった思いのこもった逸品です。
さて、先日は先生の工房に久しぶりに遊びに行ったがです。11月のニューヨーク訪問の際に見た宝石店T社の報告をさせてもらいますと、立ち上がられて棚を開けて取り出して頂いただいたのが、最高の煤竹を使い創作された大迫力の二点やったがです。
漆を厚く塗り重ねたり、金粉などの装飾をする竹編みは、それは、それで美的価値やファッション性の多様化もあるかと思うので、自分は全く否定する事もありませんけんど、この長い風雪に越えてきた煤竹の迫力を目の当たりにしたら、これ以上足したり、引いたりする事は何一つ無いと思ってしまうがぜよ。
やはり本物はシンプル、そのまま、あるがままではないですろうか。渡辺先生は100年もの長きにわたり人様のお役に立ってきた煤竹に、ご自身の作品を通して新しい次の100年の命を吹き込みたい、作品にして誰かに手にして頂くことにより竹は生まれ変わる、そう話されちょった事があるがですが、まさに、この堂々とした長い年月超えてきた煤竹の色艶は、巨匠と呼ばれる最高の技により蘇っちょります。これからの長い長い命を、このままで繋いでいくがですろう。
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