竹皮編みの小箱?

竹皮編み


竹は素晴らしい素材と言うことは、いつもお話させてもらう通りぜよ。竹の稈、根、枝、葉すべてが人の暮らしに活用されてきたがです。「衣・食・住」で笑顔を作り続けてきた理由には、身近にあって加工しやすい、竹の百変化と思えるくらいに色々な姿を変え、形を変えていく竹には人の生き方まで教えてくれゆう、そんな思いさえするほどながです。


けんど、まだある大きな理由のひとつが驚異的な成長力ですぞね。植林などという苗木を植える手間もいらず、地下茎を使い毎年生えてきて見る見る大きくなって葉を茂らせる、竹ならではのパワーには正直、毎年のように驚きをもって見守りよりますぜよ。おっと、そして忘れてはいけないものが出て来ましたぜよ!先ほどの竹の稈、根、枝、葉など全てを使い切ると言いましたが、そうです、地下茎で増えていくのは筍ですぞね。


毎年美味しい筍を楽しみにされちゅう方も少なくないと思います。竹は成長した親竹だけでなくて、なんと子供の筍まで人を喜ばしてくれるがです。これだけでも万能選手の竹に拍手喝采の気持やけんど、実はこの筍の皮まで利用できるがですき驚く他はありませんろう。竹皮には天然の抗菌性、消臭性があります。水にも強く、耐久性があることから草履など履物に多用されちょり、竹虎の定番商品ともなっちゅう竹皮草履は素晴らしい履き心地で、一番のファンで良さを知っているのは、おそらく竹虎の社員自身ではないかと思いよります。


竹皮草履は細やかな職人技によって美しい逸品に生まれ変わるがですが、竹皮そのままでも昔からオニギリを包むのに使われてきました。近年は量販店に行っても販売されゆう竹皮は輸入のもが多いぞね。思うほど使い方も難しくなく、再利用して使う事もできますので、多少値段は高くなりますが国産の竹皮にも目を向けてもらいてたいにゃあ。そう思うて竹皮職人さんの事もウェブサイトで紹介しちょります。竹皮で包んだ弁当などバックから取り出したら、こじゃんと格好がエイと思うがです。日本の竹皮は、ほとんどが使われる事なく山で朽ちよりますので、こんなもったいない資源はないがですぜよ。


恐らく同じような気持ちがあるのだと思います。職人の作業場に行った時、傍らに竹皮編みの小箱が置かれちょりました。似たようなものが輸入でもあるようですが、人の顔で日本人とアメリカ人とが判別できるように、竹皮にも顔つきがあって分かるがです。職人さんが手編みされた竹皮小箱に手をやって持ち上げようとしました。


「ややっ......!?土台に固定されちゅうのかっ!?」


まっこと最初はビックリしましたぜよ。毎日竹皮草履を愛用しよりますので竹皮の軽やかさは熟知しちょります。だから、そんなつもりで軽く手をのせてみたのですが、全く動かなかったがです。驚いて深く持ち直して力を入れて持ってみたら、何とか上に持ち上がりましたぞね。小箱とばかり思っていた中身にギッシリだったのは何と鉛!細工用の重しとして、ちっくと凝ったものを作って、ご自分で愛用しよったがでした。


笑顔のこぼれる工房からは、竹にのせて笑顔が伝わっていくがですろう。


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