高知には300年以上の歴史を持つ街路市があるがです。街路市は全国各地に色々あるかと思いますけんど、野菜や果物はもちろんの事、海産物、刃物、植木など500店舗が軒を連ねる土佐の日曜市は恐らく規模的にも一番ではないかと思うがです。ズラリと並んだテントの下には開放的な高知らしい笑顔いっぱいの個性的なおじさんやおばさんが座っておられて、買い物のやり取り自体も、こじゃんと(とても)楽しめる市ながぜよ。
今回、中野和代先生は高知が初めてとの事ですし、せっかくニューヨークからお越しいただいちょりますので、是非この日曜市をご覧いただきたくてお連れさせてもろうたがです。さすがに南国と言うても朝の街路市は少し肌寒く、中野先生もコートとニット帽子、手袋そしてサングラス、なんか明らかに地元の方とは雰囲気の違う出で立ちですが、雑多な市に妙にマッチされちゅうのが不思議ですぞね。
高知は野菜や果物が豊富で美味しい所ですきに、水晶文旦など今ならではの果物に目が行くがですが、目にとまった一軒が焼き物のお店でしたぞね。沢山の食器類に混ざって、べく盃と呼ばれる杯を販売されちょりました。この杯には穴が空いています、又すり鉢状になった形ですので、杯を空けない事には置く事ができない仕組みですぞね。つまり、ひとつの高知の酒文化を表した品物なのです。段々と人の気質も移ろいではおりますが元々の高知県民気質は、こんな小さな杯に宿っちゅうがですろう。
しかし、ちっくと驚いたのが、売り子のおばさんが手にされちゅうのが何と英字新聞やったがです。おばさんが暇な時に読むのかと感心しよりましたら違うちょりました、包み紙に利用されゆうがです。新聞には事件や事故も掲載されちょります。英語やったら、そうそう読まれる方も少ないので使いゆう、そんな細やかな心配りもされちょって嬉しくなったがです。
実は竹虎でも荷物をお送りさせて頂く時の緩衝材には、地元の高知新聞をずっと使い続けちょります。これは地方の小さな情報が読めるとあって、なかなか好評ながですが、やはり同じような気持ちで新聞紙面を選んで使わせてもらいよります。
後、足が止まりましたのは真っ赤なトマトの前やったです。中野先生も赤さが違うと言われよりましたが、自分も改めて見て、その赤さに見入りましたけんど、販売されゆう皆さんは、
「私らあはコレがトマトと思いゆうけんど...」
と、まったくの自然体ながです。ありゃあ、これは何処かで聞いたような台詞やにゃあ?実は自分や虎竹の里の生まれ育った子供達が大きくなって言う言葉そのものでしたぜよ。
「虎模様のあるのが竹と思いよったけんど...」
考えたら虎竹もトマトや他の野菜、果物などと同じ自然の恵みですぜよ。高知ならではの気候や風土が美味しい野菜を作るように、虎竹も高知ならではの大自然の中で育まれた大切な宝ですろう。朝の日曜市を中野先生と歩くと見えて来る景色が違う事に気づくがです。
コメントする