二度目のステファン(Stefan Diez)さん

Stefan Diez、Wataru Kumano、大谷宗平


前回は雨ばかり降り続いていた8月に来られていた、ドイツ人デザイナーのステファン(Stefan Diez)さんが、晩秋の高知に再度お越しいただきましたぜよ。


実は夏以降に母国におられるステファンさんとやり取りをして竹をお送りしたり、構想のまとまったデザインを頂戴したりして、ある程度の形に試作してみた物が出来上がっちょったがです。今度はそれを元に改めて製品作りをしていく手はずやったがぞね。


竹虎四代目(山岸義浩、YOSHIHIRO YAMAGISHI)、Stefan Diez、Wataru Kumano、大谷宗平


はじめから、一つの形にする事すら結構大変やと思うて、困難を予測してはいましたけんど、竹文化とはあまり馴染みのないヨーロッパの方でもあり、モノ作りの第一線でずっと活躍されゆう方もありますので、竹という素材そのものにも、かなり関心もあられるのだと思います。当社から届けさせてもろうた竹材を自分で扱い特性を知り、前回竹虎に来られた時に見て頂いた竹加工の技術もよく考慮した上で、しっかりした形を模索しているのが伝わりますぞね。


Stefan Diez、Wataru Kumano


そんな中でも特に目を見張った技術がありましたちや。これは少なくとも自分の知る限り日本の竹業界には、全くなかったやり方ですし、実現することができれば感性の高い、一つステージの上がった竹を、皆様にご覧いただける事にもなるのではないかと思うちょります。応用ができそうなので色々な横の広がりも考えられ面白いですぞね。ドイツのモノ作りの片鱗をほんの少しですが垣間見たような気もして、まっこと、さすがとしか言いようがないがです。


竹虎、Stefan Diez、Wataru Kumano、大谷宗平


しかし、とは言うても今まで扱った事のない素材でもあり、今まで形にした事のないものであり、それでなくとも難しい素材の竹ですので、そうそう簡単に事が進むことはないのです。


竹と木材との大きな違いは中が空洞になっている事ですろう。このため重量が軽く、利便性もあり大小色々なモノに活用されてきた反面、使い方によっては耐久性や強度には劣る部分は否めませんちや。そこで、一歩進んでは立ち止まり、一歩進んでは立ち止まる事を繰り返し、試作を続ける職人も含めて重苦しい空気が流れる事が多くなりよります。


竹虎本社工場Stefan Diez、Wataru Kumano、大谷宗平


近く寄りすぎて、その問題と向き合うと見えない事も、一歩さがって大きな俯瞰した視野で見直してみますと、もうすでに心が躍り出しそうなくらい素晴らしい成果が上がりつつある事に気がつきますぜよ。まず、一つの形になっていく事が第一段階であり、クリアせねばならない課題が多々ありますが、竹の悩ましい所は、それからの課題が更に多くやっかいであることですろうか。まだまだ道のりは果てしないくらい長いと思うちゅうがです。


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