名脇役の竹

竹目隠し


心休まる緑の日本庭園というのは、まっことエイもんですちや。別に築山があったり、大きな池があったりせずとも、緑の多い空間には安らぎの気が満ちているのか、妙に落ち着いて、ここが大都会の繁華街からも、ほど近く、ほんの少し歩いた所だと言う事を忘れさせてくれるがです。普段はあまり気にしちょりませんが、そんな緑深い庭園は都市部にも実は結構あって、不思議な事に歩いていると聞こえてくる小鳥達の声は、虎竹の里の山道で聞くそれと良く似ちゅうぞね。コンクリートジャングルに囲まれちょったとしても、こんなオアシスのような緑地帯があれば自然はイキイキと輝くがやにゃあ。


そんな事を思いながら大きく曲がる歩道を行くと、ふと気がつくのが園内の所々にある竹のあしらいぜよ。立ち入り禁止の所に結界のように使われちゅう自然の丸竹や、袖垣や縁台、建屋の腰張りなど昔からあるものも趣がありますけんど、場所により、ちり箱であったり室外機や水回りの目隠しなど、現代風な竹を使い工夫されちゅうものがなかなか面白いと思うがぞね。


ここのお庭では水やり用の蛇口とホースと収納箱やろうか。目隠しに竹で箱を作っていたのですが、その竹が古くなりエイ具合に目立たず、主役のである庭園を引き立てる脇役らいし味を出しちょります。これは自然の竹にしか出来ない芸当ですろう。塩化ビニールでも遠目には竹そっくりの商品があり、比べものにならないくらい耐久性も高く、変色もせず長持ちするので、最近は飲食店、ホテルや旅館さんでも良く使われるのを目にします。けんど、どうぜよ?塩ビではこのような名脇役ぶりは逆立ちしても出来ないのです。


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