おにぎり用の国産竹皮

竹皮おにぎり弁当


竹皮は天然の抗菌作用のある身近で丈夫な素材でしたので、古来日本ではずっと食品の包装材として使われてきたがです。今でも中華料理などで竹皮包みのチマキを見かけますが、あれだけの高温、高湿度に耐えるゆうたら、モノのない時代には、こじゃんと(とても)重宝されたはずですぞね。


さて、そんな竹皮ですが現在では竹皮製品などと言うても、日本での製造と言えば、もうそんなに多くはありませんぞね。多くは手間のかかる職人仕事ばかりですので、もっと安価で機能的な新素材が出来れば、そちらに変わっていくのは仕方のない事ではあるかも知れません。ただ、竹虎の場合は昔ながらの製法をずっと守りゆう竹皮草履や竹皮下駄、スリッパなど履き物類。そして竹皮の弁当箱など、それでも多少の竹皮製品がありますので、今までも、おにぎり用として、お弁当用としての国産竹皮へのお問い合わせは何度かあったがです。


ところが草履に使う竹皮と食品の包装に使う竹皮は少し違いがありますし、お問い合わせも、そうそう頻繁にあるものではありませんので、実は国産竹皮の最後の一大産地と言うても良い、四国にありながら竹皮自体の事についてお話しできてこなかった事を反省しよります。まあ、それだけ身近にあって毎日見ているという事もあったがです。


竹皮職人


四国と言うても食品包材用の竹皮はお隣徳島県が本場です。高知の山間から流れ出し徳島の海に注ぐ吉野川流域を走ると、その川沿いには見事な護岸防災用の竹林が広がっちょりますが、徳島も竹の多い土地柄、そんな豊かな自然の中で、竹皮は専門の職人さんにより集められ加工されていきよります。


「阿波もの」と職人さんが誇らしく語る時には顔が輝いちゅうぜよ。こんな表情を見るのが自分は大好きやけんど、節間が長く美しい事で業界では名前の通ったブランド品として、確固たる地位を確立してきたと言われるがです。竹皮草履職人とは又違う竹皮職人の意地とプライドが、かたくなに伝統の竹皮を守りよって、まっこと嬉しゅうになるちや。


ところがです。同じ素材、同じ伝統、同じこだわりの竹皮ですが、これが同じ竹素材でも向き合い方が、これほど違うのだなあと思わせてくれるがです。まず、「あらもの」と呼ばれる竹林から集めて軽く乾燥させた竹皮を、工場で長さ別に7種類に選別する事が熟練の業師の仕事はスタートぜよ。キズやシミ、汚れへの徹底した管理は唸るほどぞね。


「これは使いものにならない」


そう言われて選り出される竹皮も違いを見極めるのに苦労するほど、元々竹皮表皮には斑点のような模様があるのです。裏側に透けて見えることもあって、その模様とシミとの区別が付かない事があるのです。しかし、そんな竹皮の内側部分、白くなっている方のシミなどは、ほんとの少しでも見逃さず3割もの竹皮が使えないのです。竹皮を加工製品にする場合、草履などでも弁当箱であっても、竹皮内側の色合いは全く気にしていませんので、普通なら一級品として材料に使えるものが捨てられゆうのです。


平たく伸していく工程も昔から少しづつ改良して、今のスタイルになっちゅうそうですが、乾燥するとスルメのように丸くなりたがる竹皮を、一枚、一枚丁寧に伸ばして行く工程があり、そして、最大の山場の神業のような熟練職人の仕事ぶりがあるがです。


その神業とは何と平たくのした竹皮を、1センチ刻みで12種類に選り分けるという仕事。ところが、職人さんの腰をおろした前には仕切りもなければ、サイズを測るようなものは何ひとつありません。何もない板の上にサッサッと大きさを見極めて置いていきよります。最初は全く分かりませんが、竹皮がある程度の高さに積み上げられると、何とビックリです、竹皮の端がそれぞれピタリと揃うちゅうぜよ!12種類もの幅に選り分けているのに、どうしてやろうか?長い経験がないと絶対にできない職人技に感激するがです。


一枚の竹皮にも実に沢山の職人がかかわり、長い時間と手間をかけ作られているのがお分かりかと思います。しかし、これだからこそ国産有名ブランド牛の包材や、こだわりの羊羹屋さんなど本物でないといけない店舗様用としてずっと活用され続けているがですろう。


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