それにしても、小菅小竹堂さんの造形は魅力にあふれちょります。自分はどちらかと言うと一見簡素で無骨にみえる根曲竹などで設えた。花器などに、この竹芸士の方の美世界を見るような気がするがですが、作品をひとつ、ひとつ見ていくごとにタメ息が出てくるような、緻密に編み込まれた、気の遠くなるような時間をかけた大作もズラリと並びます。
銘を浦島という作品が展示されちょりました。父である小竹堂さんが同じ籠を二つ創り、ひとつは自分のために残してくれた。と今回の個展を開催いただいたと、息子である小菅秀顯さんが話されます。親子の絆を物語る逸品は巻き六ツ目編みという技法で編まれたちゅうがです。お父様が愛情を込めて残した玉手箱には宝物がいっぱい詰まっちょりますろう。
展示用か何かのために、この形の竹籠は多数作られちゅうとの事ですが、綺麗に扇子を広げたようなデザインは印象的ですぞね。この花器が何個も並ぶ姿を想像したら、まっこと壮観ちや。どのような場所に置かれるつもりやったのか分かりませんけんど、華道家の方なら、さぞインスピレーションを刺激されるがではないろうか。
叢苑(そうえん)と銘のある竹籐編組花器に目を移しますぞね。あしらいを見てすぐに思い出したのが、同じ佐渡で創作活動を続けられゆう本間秀昭さんの作品です。佐渡島特有の言われている春先に生えた竹を、その秋に伐って使うメンヤ竹という柔軟性に富んだ竹がありますけんど、その竹のあしらいを彷彿させます。
この竹編みを制作されたのは1986年と言う事ですきに、佐渡から遠く離れた神奈川県葉山町の工房で編まれた作品です。もしかしたら故郷への思いなどもあったがやろうか、自分にはメンヤ竹に見えくる花器の大作やったがです。そうそう佐渡と言えば、この8月末にも再会させてもろうた畠山青堂さんは小竹堂さんの、ただお一人の内弟子に当たるそうちや。まっこと、ご縁の輪が繋がっちゅうことに感謝するがです。
さて、こうやって作品を拝見させて頂きましたけんど、いずれの作品も1980年代から1993年頃にかけて制作された作品であり、小菅小竹堂さんが竹のプロとして活躍された時期の堂々とした竹たちぜよ。無理をしてでも東京までやって来た甲斐があったがです。自分も今日しかチャンスがありませんでした。このようなプライベートで、温かい展覧会に寄せていただけてつくづく幸運でした、竹の神様が又配慮してくれましたろうか?まっこと、ありがたい事ながです。
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