昔ながらの座敷箒が静かな人気を呼んでいるのをご存じですろうか?ダイソンなど吸引力と静かさを両立させた高機能の掃除機もあるなか、どうして今どき箒などと不思議に思われる方もおられるかも知れません。けんど、手箒の良いところは、まず手軽さです。思った時にコンセントなど差す手間もなくササッと掃除できること、そして、掃除が終われば何処かに引っ掛けるだけ、極めて手軽で面倒いらずという事があります。
また、都会で生活される方のお声で意外におおいのが「音」ぞね。いくら静かな掃除機と言うたち、箒より静かな電気掃除機はないですろう。周りの方に気兼ねなく夜遅くでも、朝早くでも掃除ができるから良い。そんな田舎の一軒家に暮らしちょったら、なかなか分からない。貴重なお声を頂戴して座敷箒が支持される理由を知ったりするがです。
最後に一番大きな理由があって、それが電気を使わない事ぜよ。ここ数年は節電を考える機会も多かったせいか、環境に対して真剣に考えられるお客様がジワリジワリ多くなっちょります。電気掃除機は当然ですが電気を消費しますので、日頃の掃除を箒に切り換える事によって、ちっくとでも電気を使わない暮らしにされゆうがです。
さすがエコな掃除道具と膝を打つのは実はまだ早いぜよ。確かに座敷箒など日本で昔から使われてきた道具は電気を使わず、環境の負荷の少ないエコなものと言うことができるかと思いますが、本当に凄いのはここからながです。
小さい頃、竹虎の工場に遊びに行くと作業場の片隅には、こじゃんと(とても)箒草の部分が短くなった手箒がありました。柄竹もボロボロで割れが入ったりして、この箒が何年も何年も使われてきたことを物語ったちょります。その時には分かりませんでしたが、後で職人に聞くと草の部分が長いうちには優しい掃き心地なので、室内でタタミを掃く。少しちびたり曲がった箒草の先を切ったりして、短くなったら板の間、それより短くなれば土間掃き用、そして、最後は庭掃き用として使い切りよったがです。
「もったいない」という言葉が日本の文化として注目されちょりましたが、こうやって日本人は道具と向き合い大事に使うて来たがぞね。江戸時代くらいの日本の暮らしは環境に配慮したエコな暮らしそのものやったと聞いた事がありますが、そんな生活道具の一つとして座敷箒があり、忘れられた時間を経て、また今こうやって光が当たるようになってきちゅうがですちや。
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