「花を持ち運ぶ用の竹籠を作れませんか?」
そんなお問い合わせを頂いて思いだしたのが、ずっと前に職人さんの所にお伺いしちょった時。年期が入って赤茶に変色した渋い竹編みの角籠の事ですぞね。確か、あの職人さんも寒蘭用竹籠やと言われちょりました。
蘭と言うたら高知では土佐寒蘭が有名で、あまり花に関心のない自分でも良く目にしよります。ご自宅で趣味でされゆう方が多いですし、高知城下で毎週日曜日に開催されゆう日曜市などでも、確か販売されているお店がありますぜよ。
別誂えの場合は初めての仕事になりますので、まっこと大変で、出来上がりもお客様のイメージと違うちょったりしたら困ります。けんど、まあ蘭やったらにゃあ...馴染みのない物ではありません。それに、その道の趣味に没頭される方の思いは強く、だいたいのご希望はお伺いした上で当社なりのモノという事で、お引き受けさせてもらう事にしたがですぞね。
幅が40センチ、高さ、奧行きとも25センチという結構大きな形。横面が網代編みで、上蓋部分は通気性を考えて、少し粗めにというご要望だけは押さえる事にして、何とか製作させていただく事にしておりました。
サイズがサイズだけに少し大変かとも考えちょりましたが、編み上がった竹籠を見て、まっこと安心しましたぜよ。特に腕のエイ職人さんにお願いしましたので、しっかりした仕事をされるとは思いよりましたが、予想以上に美しい形と出来映えに声があがる程ですちや。お客様の言われよりました上蓋の編み込みもこれなら大満足ですろう。早くお客様の喜ぶ顔が見たくてしょうがなくなってきますぜよ。
コメントする