竹というのは木でも草でもないと言われます。似ていながら、どちらの属性にも入らない。木や草の常識では計り知れない神秘的な力を持ったものが竹ながぜよ。何度かお話させていただいた事もあるかと思いますが、土中にある竹根から稈、枝、竹葉にいたるまで活用する事ができ、衣食住全てで人様のお役に立ちゆう素材など、そうそうあるものではないと思うがです。それだけに古来、人の近くにあって親しまれちょります。
竹人形は福井にもありますが徳島の阿波踊り人形も有名ですぞね。阿波踊り人形は竹の性質、竹の細やかな節の部分や枝の形など、竹を熟知された方が長い試行錯誤の末に完成させたすばらしい作品だと思うがですが、この佐渡の竹人形もただものではないと言うのがビシビシ伝わりますぜよ。
丸い竹の曲線を活かして切り取り、踊り子の柔らかい手の仕草や足の運びを表すあたりは、まるで、佐渡おけさが聞こえてきそうですちや。両手の手の平をよくご覧いただきますと、これは細い竹節を巧く使うちゅう。出来上がった竹人形を見て真似る事は容易ですけんど、竹でこの人の動きをこれだけ生き生きと創り出す技には、大変な努力と長い時間とがかかった事やと頭が下がります。
人にずっと寄り添うてあった竹だからこそ生まれたもの、竹人形もその一つやと思うがです。
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