ざっくりした編み目で簡素な竹手提げ籠のように見えますけんど、実はこれが粘りがあり、こじゃんと丈夫な根曲竹で編まれた買い物籠ぜよ。長い間、竹籠を使いよったら結局こんなシンプルで軽くて使いやすい、昔から使い続けられちゅう、こんな籠に帰ってくるがです。
竹虎の職人でも数十年愛用していた籠を毎日提げて会社に来ちょりました。その日のお弁当やら、休み時間に読む新聞やら、荷物を何でも放り込みで持ってこられるので重宝しよったようですが、年を経るごとに飴色の渋い色合いに変わって来ますので、ますます愛着が深まってくるようやったがです。
昔のお母さん方は、こんな籠を必ず持ってお買い物に行かれよりました。レジ袋という便利なものができてからは手提げ籠はお買い物のシーンから、すっかり姿を消してしもうちゅうように見えるがです。
けんど、実は今でも市場などへの買い出しなどには、プロの仕出屋さんはじめ主婦の方でもお使いただく方は多いのです。かっては魚でも野菜でも近所で買ったものを持ち帰るのには、竹籠くらいしかなかった時代を知る職人さんは少なくなって、竹を使うのがファッションのように感じられるかも知れませんけんど、実際に使うてみると口の大きく開いた竹籠というのは、思うよりも便利に使えることを実感いただけるかと思うがぞね。
最近は買い物籠としてではなくて、お求めいただいたお客様かそれぞれご自由にお使いされゆうようです。それでも、こうやって御愛用いただきゆう姿を拝見しますと、嬉しいやら、懐かしいやら、竹籠つくづくエイ物やと思うがです。
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