ジャパンクリエイティブなるモノ作りのプロジェクトに、お声をかけて頂いたお話をさせてもらった事があるかと思います。日本でわずか3社様だけと聞いて、これは、こじゃんと光栄な事やにゃあと思いよりましたぞね。けんど自分達のような田舎の竹屋には、ちっくとハードルも高いろうし、「デザイン」という文字が綺麗な言葉と共に多用されちょりましたが、
この言葉には自分達のしている事とは不似合いかも知れんにゃあと、実はあまりエイ印象を持ってなかったがです。
考えが変わったがは東京から来られた担当にお会いした時ぜよ。担当の方の熱意に本気を感じてしもうて、こりゃあ面白い事ができるかも知れんにゃあ。こんな感覚は瞬間的なものですちや。理屈や計算ではなく、心に火がつくか?つかないか?それだけぜよ。自分達に出来る竹の事があるなら何でも。ご協力させてもらうようにさせてもろうたがです。
さて、今回のプロジェクトでは海外のデザイナーの方に、わざわざ来日いただいて虎竹の里までお越しいただいたがです。欧米の方で竹の好きな方は多いですので、たまに色々な方が特徴ある竹を求めて来られる事があるのです。しかし、新しい商品開発のために遠くドイツから来られたのは初めての事。
100年前の初代宇三郎の時代から、ずっと登り続けゆう竹林の道。一人が歩ける幅しかない細く急な山道やけんど、これが竹の道、二代目の祖父も、三代目の父も、そして自分達も。同じように一歩一歩、踏みしめて進む道。感じてもらえましたろうか?
この日の虎竹の竹林も、ちょうどの雨模様。晴れて明るい陽射しの入る清々しい顔ではなくて、しっとりした薄化粧をして出迎えてくれる竹達は、きっとミュンヘンから成田、そして高知龍馬空港に直行して来てくれた、遠くからのお客様の事が分かっちゅうような気がするがぜよ。上を見上げたまま一言もしゃべらんなった。まあ、エイですろう。ここには言葉の壁はないがぜよ。
どうして海外のデザイナーの必要があるのか?そんな、お問い合わせも頂きましたきに、お話させてもろうちょきたいがですが、竹文化のない国の方だからこそ今までの伝統の枠組みを外した、先入観のない柔軟な思考でもって何か新しい試みが出来ないだろうか?まず一番にはそう言う考えが浮かびますろう。
けんど自分にしたら、どんな事になろうとも、古くから続いてきた竹の世界に新しい風は吹くやろうと言う思い、自分達が面白がってできる事なら何でも挑戦したいと言う思い。さらに竹虎にお越し頂いたドイツのデザイナーのステファン(Stefan Diez)さん、この方が素晴らしい方なので、この方自身を日本の竹の大ファンに出来たらエイにゃあという思い。ただ、単純にこれだけながですぞね。
昨日は職人の声が違うちょりました。田舎で普通に生活しよりましたら外国の方にお会いする機会など、そして、話しをする事などあまりある事ではないがです。自分の仕事の評価は、自分や近くの人からでは分かにくいがです。遠くドイツから来てもらって初めて、竹編みの重みを職人自身が知る事になるがです。
「外人さんが見に来たにゃあ、まだまだ頑張らんとイカンにゃあ!」
朝から蒸し暑いなか汗をふきふき、いつもにも増して張りのある話声に、まだ何ちゃあ製品も出来てないし、何の成果を出てないプロジェクトですけんど、その実、個人的には、もう十分に満足してしもうちゅうがですぜよ。
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