インターンシップ2014年~職人さん編

竹職人


インターンシップを初めて開催させてもらう事になったのは、もう随分前の事で2001年の春の事でした。今でも学生さんを受け入れると言うのは大変な事ですが、一番最初の時が手探りで、やはり一番大変やったと思います。


取り組みの機会をいただいたのも有り難かったですが、その時に言うて頂いたのは意識の高い学生さんは、どんな仕事を見ても、どんな職場であっても自分の学びとする、普段と違う事をしようと思えば2週間はとても長いけれど、いつもと同じ、自分達の会社を見てもらうだけの事だ、そう聞いて、竹虎らしくやるだけなら大丈夫やにゃあ。と第一歩を踏み出すことができたがです。


竹虎の仕事と言うのは虎竹の里山の竹の伐り出しの所から、本店にやって来られるエンドユーザーであるお客様まで、つまり、原材料から最終製品まで、こじゃんとラインが長いがぞね。全てをインターンシップで体験して欲しいと思いよりましたので、その準備だけを済ませて学生さんにお越し頂くことにしたがです。


そしたら、この学生さんたちが素晴らしかったぜよ。単調な長時間の作業にも意味を見いだして、自分達のものにしていく姿勢には驚きましたちや。こんな学生さん達がインターンシップではやって来るのか?それなら続けてやってみたいにゃあ。一番最初の取り組みで、たまたま良い学生さん達に当たったものやき、それ以降も少しブランクがありつつも毎年継続させてもらえゆうのかも知れませんぞね。


けんど実は一番の大きな理由があるがです。それが日頃、あまり人の接する機会がない職人さん達の事ぜよ。自分も、はじめは竹細工の仕事など大学生に見せても、将来、学生さん自身する仕事でもなければ、派手な見栄えがあるわけでもない。関心がなかったり、飽きられたり、面白みがないと言われたり、何のお役にも立つことが出来ないのではないか、そう勝手に思い込んじょったがです。


それが全くの間違いやったと気づいたのは工場に入った瞬間ぜよ。当たり前に沢山の竹があるだけの竹虎の工場に、学生さんの歓声が響いたがです。十数年経った今でも、よう忘れません。頭では自分達にしかない価値を思っているようでも、こうやって実際に自分達以外の方に目の前で、その様子を見せてもらい、実体験として知るのは随分と違うものですちや。


職人さん達にしても、竹の油抜きなど製竹作業ひとつでも、虎竹縁台一つ作る、袖垣の柱を細く割った竹で巻く、エビラ籠を作る。竹皮草履をスリッパに加工していく...。何でもない竹の仕事ひとつひとつを見る学生さんの目がキラキラしちゅう。職人と楽しそうに話しをして質問しゆう。職人は嬉しそうにそれに答えゆう。


竹作業場


それは、内職さんの所に行けば尚更ながです。若い方々などは、あまりやって来ることはない作業場に、まるで華やかな花が咲いたように明るい笑い声が響きます。沢山の孫に囲まれたように満面の笑みで、この道50年の技を披露する職人さんを見て、インターンシップで自分達が学生さんから頂くものの大きさを思います。


インターンシップでやって来られる学生さん達は鏡ぜよ。自分達を映す鏡、自分達の仕事がどんな仕事なのか教えてくれる鏡ながです。


学生の皆さんにも、きっと長い一生の中でもかけがえのない、虎竹の里だけの竹の風景、竹の暮らし、竹の技、竹の思いそんな出来るだけの事をお伝えする2週間となっちょります。けんど、ここで働く職人達こそ毎年楽しみに心待ちにしているのが竹虎のインターンシップながぜよ。


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