賓道林さんが虎竹の里にやって来る

賓道林さん


6月に韓国の潭陽(タミャン)の竹祭りにお伺いさせて頂いた際に、来年に開催が予定されちょります世界竹博覧会、世界竹会議の開催地推進委員会の会長である賓道林さんにお会いさせてもらいました。ドイツ人の方ですけんど韓国潭陽の竹に惚れ込んで、今はこちらに移住され竹に関わられちゅうとの事やったがです。


是非、日本に来られる事がありまたなら、虎竹の里にも足を伸ばしていただきたいとお話させてもろうちょりました。ツアーのお客様が選ぶご当地グルメで上位に選出される高知県ですが、実は高知に来られた事のある方はビックリするばあ少ないがです。羽田から飛行機で1時間とちょっと位なのに、どうにも遠い印象があるようながです。けんど一度来られた方は皆様口を揃えて「高知が、こんなに近いなんて思っていなかった」こう言われるがぞね。そんな事をお伝えしちょりましたら、なんと思いがけず来月9月に来日のご予定があるとの連絡が来ましたぜよ!


まっこと(本当に)嬉しいちや、こんなに早く日本唯一の竹をご覧いただく機会がくるとは。またまた、これは竹の神様にお礼を言わんとイカンろうか?そう、思うてスケジュール表を確認してみたら...


ええっ!?なんちゅう...!ちょうど、その時には自分もどうして外せない仕事があって、高知におらんがやきに...!自分予定が何とか変更でんないろうか!?あれこれ日程をくって調整してみましたけんどどうにもならんがです、こんな時いつも思うのは「身体が二つ欲しい!」言うことやちや。


虎竹の里


けんど、どうしようもない...これはピンチ。ピンチにはピンチヒッターやにゃあ。一応代打要員も用意して、それならそれで準備の仕方もありますきに、気持ちを切り換えて返事を待ちよったら、おおっ!やっぱり竹の神様はおりますぜよ!賓道林さんの来日予定が何とか変更できそうながです。こりゃあ、ラッキー!こじゃんと嬉しいちや!まっこと、ドキドキわくわくして来ましたぜよ。


そして、この喜びと感謝の気持ちを言うに行くがは、やっぱり、ここだけ、100年前から続く山道を登った竹林ながです。


虎竹壁掛け

虎竹色紙掛け


虎竹とカズラで仕上げたシンプルな色紙掛けがあるがです。あまりに飾り気のない素っ気ない作りに、随分と前から店の片隅に置かれちゅうのに気にもとめていませんでした。けんど、それは色紙自体、飾りたいような大事なものを持っていなかったという事やと気づいたがです。


いざ、この色紙を壁に掛けてみたいにゃあと思うたら、立派な額縁のような色紙かけもエイですけんど、この簡素な虎竹編みのものが一番しっくりとくるがです。色紙掛けだけの時にはあまり感じませんでしたけんど、使うてみて初めて色紙を引き立てる、脇役としての竹編みの良さを知りましたぞね。


虎竹短冊掛け


短冊掛けも、まったく同じ事ですろう。さすがに短冊は今のところ何ひとつ手元になく、また、今後も短冊を飾るような予定もないがです。なので、この短冊掛けの本当の良さに気づく日は、もしかしたら、まだまだ遠い先の事ながやろうか?きっとそうに違いないがぜよ。


竹虎段ボール

竹虎段ボール


ちっくと前に竹虎の段ボールをリニューアルしたがです。どうしても入れたいと思いよりました。竹虎ロゴマークを印字してもろうちょります。竹虎で使いゆう段ボールの種類は竹製品の大きさが様々ですので、実は思うちゅうよりも多く、サイズが色々です。その段ボール一つ、一つに竹虎ロゴマークが入っちょりますので、複数個の段ボールが重なると、なかなか壮観。祖父が作り、ずっと使ってきた愛着のあるマークなので、そのマークが沢山並んでいるのを見るだけで何やら心から嬉しゅうになってくるがです。


段ボールの内側には、これも祖父が石碑に刻んだ言葉。「竹の子のまた竹の子の竹の子の子の子の末も茂るめでたさ」という大田南畝(蜀山人)の歌を書かせて頂いちょります。これもリニューアルにあわせて筆で書き直しましたぞね。


そして、新しく追加したものが日本地図です。日本唯一虎竹の里が四国のココにあるというのを、目で見て分かっていただけるように印刷して頂いちょります。これは東京のデパートに売り出しに行きよった頃に、高知県というても、どこにあるのかご存じない方がおられて、少なからずショックを受けた思い出があるがですが、竹虎をご利用いただく機会に是非自分達の暮らす地域、虎竹のできる山々が日本のどこら辺にあるのかだけでも是非知っていただきたいという思いながです。


何てことのない段ボールですけんど、竹虎マークがひとつ入ると自分にとったら特別な箱となります。この箱で今日も皆様のお手元に竹がお届けできる事を、まっこと幸せに思い、感謝しちゅうがです。ありがとうございます!


竹灯りの下で

竹照明


この竹照明の吊り下げられたテーブルには毎日のように座りますので、ついつい忘れがちになっちゅう事があるがです。竹は半円球の形に編まれて普通の電灯の傘カバーと変わりはないがです。けんど、灯りが入ったら、とたんに竹ならではの優しく柔らかな光でありながら、普通に思うよりも強い光を放つがです。


これには職人の工夫があって、本来は一番目につく外側部分に、竹の一番綺麗で丈夫な表皮側を持ってきますが、この竹照明の傘の場合には電灯の光の反射など考慮して、竹表皮は内側に向けて編み込まれちょります。下から見上げると、竹表皮部分の光沢が年を追うごとに濃く渋くなり、照らしだす明るさにも円熟味を感じてしまうがですぞね。


この竹照明に対して、竹の身の部分のヒゴばかりで編まれた、丸みのある竹照明も近くに吊られちょりますが、やはり点灯した時の光の反射にはかなり違いがあるがぜよ。竹表皮を使っていないからダメかと言うたら実はそうではなく、竹の身部分の照明は竹ヒゴ全体を通して、じんわりと光りが部屋全体に伝わる感じがするがぞね。同じ竹灯りでも、それぞれの良さがあり、温もりがあり、どちらも大好きな竹照明ながです。


面白い竹材料

竹枕


高知県のあちらこちらの里山にも沢山の孟宗竹が生えて生い茂っちょります。日本に元々あった真竹や淡竹に比べて太く、長さもある竹ですので、大陸から渡ってきてから、ずっと重宝されてきた竹ながです。ところが、昔のように筍を栽培するような事も少なくなっていますので、人の手が段々と入らなくなって、ついには放置竹林となり、生命力の強い竹は生え放題、人口密度ならぬ竹密度も限界まで高くなり、竹林が藪の外に拡大して問題にもなったりしちゅうがです。


だから、孟宗竹を使うた製品なら材料などいくらでもあるので、沢山製造できるように思われがちながです。けんど、実は自然素材の難しさというか、竹の大変さというか、いくら広い竹林があって無数に生えているかのように見えても、その製品に使える竹材料というのは極わずかしかないがです。


たとえば、ワインクーラーに使う孟宗竹は極太の竹を使いますけんど、そもそも素材の極太竹と言うのが少ないと言う事があります。そして、その上に竹は元が太くてウラ(先端)に向かうほど細くなります。つまり、元に近い部分しか使う事ができないがです。けれど、当然ながら一本丸々伐採して運んでこなければならず、使わないウラの細い部分が何か他の製品に使えればエイのですが、そうも都合良くいかず材料の無駄が出ることになります。


材料の無駄はそのまま出来上がる製品の価格に跳ね返ってきますきに、太い孟宗竹ばかり選別しながら伐採する等、あまりにも効率の悪い仕事はできません。この夏には新しい竹製品を考えちょって、何とか皆様にご紹介したいと思いよりましたのですが、自分の力不足で秋以降にズレ込みそうな予想です。このように思うように出来ないのが、山の自然素材相手の仕事の宿命ぜよ。けんど大変やと感じる事はほとんどないがです。「だから、面白い」そう思える毎日ぞね。


インターンシップ2014年~職人さん編

竹職人


インターンシップを初めて開催させてもらう事になったのは、もう随分前の事で2001年の春の事でした。今でも学生さんを受け入れると言うのは大変な事ですが、一番最初の時が手探りで、やはり一番大変やったと思います。


取り組みの機会をいただいたのも有り難かったですが、その時に言うて頂いたのは意識の高い学生さんは、どんな仕事を見ても、どんな職場であっても自分の学びとする、普段と違う事をしようと思えば2週間はとても長いけれど、いつもと同じ、自分達の会社を見てもらうだけの事だ、そう聞いて、竹虎らしくやるだけなら大丈夫やにゃあ。と第一歩を踏み出すことができたがです。


竹虎の仕事と言うのは虎竹の里山の竹の伐り出しの所から、本店にやって来られるエンドユーザーであるお客様まで、つまり、原材料から最終製品まで、こじゃんとラインが長いがぞね。全てをインターンシップで体験して欲しいと思いよりましたので、その準備だけを済ませて学生さんにお越し頂くことにしたがです。


そしたら、この学生さんたちが素晴らしかったぜよ。単調な長時間の作業にも意味を見いだして、自分達のものにしていく姿勢には驚きましたちや。こんな学生さん達がインターンシップではやって来るのか?それなら続けてやってみたいにゃあ。一番最初の取り組みで、たまたま良い学生さん達に当たったものやき、それ以降も少しブランクがありつつも毎年継続させてもらえゆうのかも知れませんぞね。


けんど実は一番の大きな理由があるがです。それが日頃、あまり人の接する機会がない職人さん達の事ぜよ。自分も、はじめは竹細工の仕事など大学生に見せても、将来、学生さん自身する仕事でもなければ、派手な見栄えがあるわけでもない。関心がなかったり、飽きられたり、面白みがないと言われたり、何のお役にも立つことが出来ないのではないか、そう勝手に思い込んじょったがです。


それが全くの間違いやったと気づいたのは工場に入った瞬間ぜよ。当たり前に沢山の竹があるだけの竹虎の工場に、学生さんの歓声が響いたがです。十数年経った今でも、よう忘れません。頭では自分達にしかない価値を思っているようでも、こうやって実際に自分達以外の方に目の前で、その様子を見せてもらい、実体験として知るのは随分と違うものですちや。


職人さん達にしても、竹の油抜きなど製竹作業ひとつでも、虎竹縁台一つ作る、袖垣の柱を細く割った竹で巻く、エビラ籠を作る。竹皮草履をスリッパに加工していく...。何でもない竹の仕事ひとつひとつを見る学生さんの目がキラキラしちゅう。職人と楽しそうに話しをして質問しゆう。職人は嬉しそうにそれに答えゆう。


竹作業場


それは、内職さんの所に行けば尚更ながです。若い方々などは、あまりやって来ることはない作業場に、まるで華やかな花が咲いたように明るい笑い声が響きます。沢山の孫に囲まれたように満面の笑みで、この道50年の技を披露する職人さんを見て、インターンシップで自分達が学生さんから頂くものの大きさを思います。


インターンシップでやって来られる学生さん達は鏡ぜよ。自分達を映す鏡、自分達の仕事がどんな仕事なのか教えてくれる鏡ながです。


学生の皆さんにも、きっと長い一生の中でもかけがえのない、虎竹の里だけの竹の風景、竹の暮らし、竹の技、竹の思いそんな出来るだけの事をお伝えする2週間となっちょります。けんど、ここで働く職人達こそ毎年楽しみに心待ちにしているのが竹虎のインターンシップながぜよ。


インターンシップ2014年~竹林編

日本唯一の虎竹林


けんど、まっこと不思議な事が起こりましたぜよ。その日は朝からとにかく雨が降って部屋から外を見ても視界が悪いくらい、昼から竹林見学に行く予定でおったがですが、滝のような雨を見て、これは今日はどうしても無理やにゃあと思いよりました。実は今日のためだけに、わざわざ県外から来られた学生さんもおりましたので、こじゃんと残念に思いよったがです。


そしたら、そんな参加者の皆様の思いが通じたがですろう。いざ竹林に行くとなったらピタリと雨が止むのです。いやいや、これには驚きました。すっかり諦めちょったので嬉々として山に向こうたがです。


竹酢液


車ですぐの道のりですが、どうも後続の学生さんの車が遅いと思いよりましたら、そうか、最近の学生さん、いやいや学生さんでなくともですが、未舗装の道というのは乗り慣れていなかったがです。これは考えたら当然の事ですけんど、ここの竹林は近いところを選んでいますので、未舗装部分は、ほんの数百メートルしかありません。しかし、それでもアスファルトの道しかご存じない今の方々には、すでに、ここから虎竹の竹林は始まっているのやと教えられるがです。


まっこと若い皆様には、こちらが勉強させてもらう事ばっかりぜよ。そう思いながら山道に登る前にいつもの竹酢液タイムながです。夏場の山は藪蚊などが沢山おりますので、これは、絶対の必需品、竹酢液なしでは山に入れんがですぞね。


嫌避効果の竹酢液(ちくさくえき)


ニオイが独特の竹酢液です、初めての方ばかりですきに、かなり遠慮しながら掛けちょりますが、さすが同行する竹虎の社員は、もっと掛けて下さいと言うてきます。藪蚊の多さと竹酢液の効能が良く分かっちゅうがです。


<動画>よい子の皆様は真似してはいけない竹酢液大実験!


蛇嫌いの自分はいつも足元にも竹酢液を振りかけます。動物は火を怖がりますけんど、竹酢液は燻煙した香りが強く、火を連想させて嫌避効果があるがです。そんな話しをしますと、「私も掛けてください」と次々にリクエストがあるがです。


昔からの炭職人さんは地下足袋の上から、この竹酢液の原液をタップリかけて仕事をされよりました。だから炭職人さんには水虫の方はいない等とも言われますけんど、おそらく、もともとは害虫などの嫌避効果も期待しちょったと自分は思うちょります。


虎竹の里の山道


雨で滑りやすくなっちゅう細い山道を登りますぞね。人が一人づつしか歩けない急な坂道、歩きづらく、息をハーハー切らしながら竹林まで来てもらいます。100年前に初代宇三郎が歩いた道でもあり、祖父が、父が通った道でもある竹虎にとったら命の道。ただの山道とは違うがですぞね。そうして、こうやって山の職人さんたちが、ここから日本唯一の虎竹を運び出す苦労をちっくとでも知ってほしいと思いゆうがです。


虎竹の説明


さて竹林に入っての虎竹の説明ですが、雨の日は竹が濡れちょって、虎模様がハッキリ表れて、これは、これで分かりやすくなっちょってエイがです。まあ、若い皆様に色々お話したいと思うて、つい、しゃべり過ぎるがですけんど、竹林では話したり、考えたりするより、感じる事が大きいですろうか。本当に晴れても、曇っても、雨でもここは別天地ぜよ。


虎竹林


虎竹の林というのは平坦な場所にはないがです。急な斜面に竹林が広がっちょりますので、山道に戻るだけでも、結構恐る恐るになっちょります。これだけ足元の悪いところで、伐ったばかりで生しく重たい竹の束を担ぐ山の職人さんは。凄いにゃあ、やはりスペシャリストやにゃあ。こんな事に気づいてくれる学生さんはおりますろうか?


竹林からの帰り道


行きはヨイヨイ、帰りはコワイと唄がありますけんど、虎竹の竹林の山道も、まったくこの通りですぞね。濡れて滑りやすい道は特に帰りほど、ゆっくり、ゆっくり、一歩、また一歩と日本唯一の竹林の余韻を楽しみながら近くを流れる渓流の音を聞きながら(はじめてやと、そんな余裕はないかも知れませんが)、降りていって欲しいがです。


インターンシップ2014年~工場編

竹虎本店前


竹虎本店を背にして山側をみたら、すぐそこには虎竹の古里である焼坂の山が迫っちょります。右手の山々から左手の山々は少しだけ深い。虎竹の里の谷間の奧に尾根が伸び、そこで繋がっちゅうがですが、不思議な事に、この谷にだけ虎竹は成育するがです。


この谷間の間口は1.5キロ程度。頂上までは虎竹が成育するのに、峠を越した向こうには、竹が全くと言うてエイくらい無くなっているのです。いつも、ここで皆様にご説明させていただく度。自分の頭に思い浮かぶのは高知県の産んだ世界的植物学者、牧野富太郎博士の事ながですぜよ。土佐虎斑竹という命名の父でもあられる牧野博士の研究資料を、高知市五台山にある牧野植物園で見る事ができますけんど、ここ虎竹の里の谷間だけ他の地域と土質が全く異なるのを見て、鳥肌が立ってそのまま動けなくなったがです。この土質の違いが原因やろうか?自分の事を「植物の精」と呼ばれよった博士が、この地に来られて虎竹をご覧いただいた、研究してくれた。そう思うだけで嬉しい事やと、いつも思うがです。


そうそう、ついでですけんど、その後、牧野博士も虎竹をご自分の庭園に移して観察されたようですが、やはり虎の模様は付かなかったと記録に残っちょります。世界の牧野富太郎博士でも虎竹の謎は解けんかった言う事ですろうか。


竹虎工場インターンシップ生見学


竹には孟宗竹、真竹、淡竹(はちく)と、この3種類くらいが、一般的に竹と言われて皆様が真っ先に思い浮かべるものですろう。その中で、虎竹は淡竹の仲間で表皮に白く粉をふいたように見えます。つまり、この不思議な虎模様は自然のままやと隠れちゅうがぞね。それをガスバーナーの高熱を加えると竹の油分と共に、美しい虎模様が浮き上がるかのようにクッキリと見えてくるがぜよ。


ここでお話させていただく時にも思い出す事がありますぞね。それは初めて入った東京のホテルにある喫茶店での事。ウェイトレスさんが持って来られたレシート入れが、何と、まぎれもなく虎竹の筒やったがですぜよ!こじゃんとビックリ仰天して一緒におった人に話ましたけんど、こんな大都会のど真ん中にある虎竹も、必ずこの場所で化粧...おっと化粧言うのは、たとえで油抜きの加工の事ですちや。まさに、必ずここを通り加工され運ばれて行ったもの日本中の虎竹が虎竹として、生まれ変わる重要な作業場であり、虎竹の「聖地」と呼んでもエイ場所ながぜよ。


竹虎職人


インターンシップの学生さん達には、エビラを製造している工程も見学いただきましたぞね。毎年女性の方も多いので土用干しの事なども聞いてみますが、やっぱり最近の若い方は梅干しを漬けるような事はないようで、知っている方は、ほとんどいないのです。


けんど、そんな若い方も素晴らしい心を持っちょります。ただ、今の日本の生活の中で、竹のある暮らしを忘れているだけ、そんな風に思うのは、たとえば竹虎に来るようになって、国産の竹ざるを知り、梅干しの土用干しの事を知ると、その年から梅干しを漬けたくなって、はじめる方もおられるがです。


自分の家では小さい頃から、このような干しざるは、普通に何枚もあって、梅干しでなくとも干し大根やニンジン、そして椎茸など色々な野菜干しに常的に使いよりました。最近では雑誌などでも、野菜の活用方法として紹介されちょったりして、少しは古き良き時代の伝統が見直されゆうに思い嬉しゅうなるがです。


竹虎職人


職人が、ちょうど大きな袖垣を作りよりました。淡々と進む作業を見学した後、せっかくの機会です。学生の皆さんに色々と質問をしてもらいます。会社では朝礼や全社会議など人前で報告しなければならない事もあります。実は、手を動かす事は得意でも、口の方はそれほどでもない職人が多いのです。しかし、若い学生さんを前にすると、日頃された事のないような新鮮な質問があるせいか、結構色々深い話しまでしてくれてまっこと有り難いがです。


袖垣製造


袖垣という日頃目にすることのない竹製品作りですが、単純に見えて思いの他手のかかる仕事なのです。竹素材も、もちろんそうですが、それぞれに使われるパーツも内職の方や山の職人さんの力をお借りして、竹虎の工場で最後の完成品にしていくのです。一つの竹細工を例にとってお話させていただき、出来上がるまでをイメージしてもらえるたら今まで何気に見ていた多くの物達が、ちっくと違う顔に見えてきたりするのではないろうか。そんな事を期待して工場見学を終えたがです。


インターンシップ2014年~しんじょう君編

竹虎本店


今週から2014年のインターンシップが始まりましたぜよ。初日はインターンシップ参加の地元学生さんだけでなく、日本唯一の虎竹の林を見学したいと言う事で県外からも学生さんにお越し頂いて、まっこと賑やかなスタートとなったがです。けんど、それだけではないがぜよ更にゲストとして、須崎市のゆるキャラとして全国コンテストでも14位と大健闘して、最近、こじゃんと注目を集めて人気上昇中の「しんじょう君」も、竹林を是非一度見てみたいと参加していただく事になったかです。


朝早くから皆様にお集まりいただいて、まずは、自己紹介からですけんど、さすが、しんじょう君がおったら、やっぱり場は和みますちや・そうそう、しんじょう君の名前の由来は何かご存じですろうか?


実は何を隠そう須崎市を流れる新荘川には、絶滅したと言われるニホンカワウソが最後まで生息しちょったがです。そこで、しんじょう君はカワソウがモチーフになっちゅうがぞね。頭の毛が黄色いですが、あれはラーメンの麺。そうです、B級グルメで有名になった須崎の鍋焼きラーメンぜよ。


しんじょう君と竹虎四代目君


けんど、よく考えたら須崎のゆるキャラは、しんじょう君やろうけんど、虎竹の里のゆるキャラは知っちょりますろうか?そうぜよ、竹虎四代目君ですちや(?)しんじょう君に比べたら予算の関係で薄っぺらやけんど、そこは、まあご愛嬌ながです。


竹虎本社工場


しかし、この夏の高知県は雨ばっかりぜよ。それも普通の雨とは違いますぞね、滝のように降る豪雨続きながです。ちょうどインターンシップ初日も雨。とても外に出れるような天気ではなかったですので、まず、店舗見学と工場見学から始めさせてもらいました。


竹虎の工場には入り口に油抜きする前のものと、油抜きをした後の虎竹をズラリと並べて保管しちょりますが、これだけの量の虎竹が、いや竹そのものと言うてもエイかも知れませんが、日本でもここでしか見て、体感できない迫力やと思うちょります。


けんど、これもお客様に言われるまでは自分では全く思いもせんかった事ですぞね。竹の量を言うと昔から比べたら少なくなりましたし、小さい頃からずっと慣れ親しんだ光景なので当たり前やと思うちょりました。けんど、東京から来られた取材の方などが、全国津々浦々行くけれど、こんなの見た事ないと目を白黒させるので「ああ、竹がこんなにあるのは他には無いのかなあ...珍しい事かにゃあ...」などと呑気に思いよったものです。


竹がこうやって集められる現場に来られるのも、一生の内でも、この夏のインターンシップの時だけですろう。そう思うと、毎年の事ですが学生の皆様にとっては、何でもないような今のこの時が本当に貴重な時間であるように思うがです。


しんじょう君


昨年9月になりますけんど、しんじょう君の故郷とも言える新荘川で、巨大水鉄砲を100人で押す「ザ!鉄腕!DASH!!」というまっこと誰が考えるがやろうか?と思うようなテレビ番組があったがです。地元商工会、消防や高校生の皆さんに、こじゃんとお世話になり感謝しちょりますけんど、その時にも、しんじょう君は応援に来てくれちょりました。考えたら、あの時以来ほぼ一年ぶりの再会ですぞね。


あの時も、すでにこんなに人気者になっちょったがやろうか?何やら風格のようなものも感じて聞いてみると、最近では県外にまで出かけて行って。地元須崎の産品を色々と宣伝してくれて何と行列が出来たり、商品によっては売り切れが出たりする事もある、そう聞いてビックリしたがですぞね。


インターンシップのお話が、どうもイカンちや、しんじょう君の事ばっかりになりましたけんど、竹虎も、しんじょう君に負けないよう頑張ろうかにゃあ。ゆるやかに気合いを入れてもらいましたぜよ。


天然鰻

竹製鰻筌


けんど考えたら天然鰻とは不思議な言葉ですちや。自分の小さい頃には、あまり聞く事のなかった言葉でもありますぞね。虎竹の里で「鰻」言うたら、川で捕るものであって、どこかのお店に食べに行くとか、スーパーで買うとかそんな意識はあまり無かったですきに天然は当たり前やったきにゃあ。


最近は絶滅危惧種に指定されたりして、ますます天然物の価値が上がりゆうのかも知れませんちや。今年はウケのご注文も例年に比べて多めながぞね。ウケとは鰻筌の事で、竹を筒状に編んだ鰻捕りの道具ぜよ。これにミミズを入れて川底の鰻の通り道に仕掛けて、次の日の朝、川から引き上げると重たいくらい鰻が捕れちょった事もあるがです。


沢山捕れた時の嬉しさは何十年経った今でもハッキリ覚えちょります。なかなか忘れられない楽しい思い出やけんど、このウケを使われる方も同じような嬉しい鰻捕りができるろうか。数が少なくなっている事は自分も肌で感じますぜよ。なんせ、昔は本当に小さな用水路にも鰻やら魚やら一杯おったがです。


そして、また安価な海外からの竹製品や、プラスチックの物も色々と出回るようになっちょります。けんど日本の竹を使うて、あの鰻捕りの感激を味おうてもらいたいにゃあ。そう思うたら、まだまだ頑張らんとイカンぜよ。そして、これはウケだけではなくて全ての竹に言える事ですぞね。


秋を待つ、二重(ふたえ)ばら

二重(ふたえ)ばら


この秋、ひとつ楽しみにしちゅうのが「二重(ふたえ)バラ」ながです。バラとは方言で、高知で竹笊の事を「さつま」と呼ぶように、昔ながらの呼び名の一つで網代編みされた底が平らになった竹ざるの事ですけんど、もともとは小麦や蕎麦などを手挽きの石臼で挽く時に粉が落ちないように、下にすげて使うという用途が多かったようながです。


高知は雨が多いと言うお話は度々させてもらいよります。だから高知の民家は庇(ひさし)が深いのが特徴やと聞いた事がありますぞね。その深い庇の下で雨だけでなく、強い陽射しなども避けながら、このような農作業をしたがですろう。前にお伺いした農家さんでも庇の壁には使い古されて渋い色合いになった、竹籠や竹ザルが吊されちゅうのを思いだしますちや。


このバラの編み込みはキッチリと目が詰まり小麦粉や蕎麦粉など、細かい粉でも下に落とさないように作られちょりますし、バラの縁も挽いた物が出ないように高さを取って作られちゅうがです。もちろん、最近では石臼など使う農家さんは少ないかと思います。主な使い方は、梅干しの土用干し、干し大根、干物など、干し物をする時に使われているのを良く目にするがです。


楽しみにしちゅうバラは二重と言うだけあって網代編みの裏側には、何と六ツ目編みの竹で、しっかりと補強されちゅうがですちや。竹の旬のよくなる秋以降の良質の竹を使い、こんな美しい竹ザルが出来上がるかと思うたら、涼しい秋風や虫の音が、こじゃんと恋しくなってくるがぜよ。もちろん、この夏の雨の多さと蒸し暑さに、ちっくと、うんざりしちゅうという事も理由の一つかにゃあ。


虎竹の里、お盆の夜

安和


お客の夜の帰り道、薄暗い街灯を頼りに歩きよったら、知らず知らずのうちに足が向いちょりました。小さい頃には、ここにの納屋には赤牛が一頭おったにゃあ。いっつも口をクチャクチャさせて、どこか遠くを見よったぜよ。


こんな小さな集落ですけんど、いつも何か活気のある魚屋さんがあったがです。新鮮な魚の香り言うたらエイろうか?もちろん生臭いのですが、嫌なニオイではなく、むしろお刺身でも食べたくなるような、そんなお店やった。角にあったのはタバコ屋さん、物静かなおじさんが一人で座っちょった。いつもテレビがついていて、何故か自分が通りかかるたびに野球をやりよった気がする。


自分の影


お盆は帰ってきちゅうがですろう?そしたら、ここにも来ちょりますか?おじいちゃん。今はもう誰も住んでない空き家になっちゅう古い借家、植え込みまで、あの頃と変わってないきに不思議ちや。ここの建物がまだ残っちゅうことに、まっこと感謝ぜよ。裸電球しかないような質素な部屋やったけんど、祖父がおって、祖母がおって、おばちゃんがおった。いつも皆が笑顔やった。どうして今夜はここに来たがやろう。ああ、今からどうせんとイカンか教えてくれゆうがやにゃあ。


ふと下をみたら、ドキリとする。その影に、あの日の祖父がおる気がする。


嵐の後の竹林で

日本唯一虎竹林


先週の台風は久しぶりに高知を直撃した、まっこと凄い暴風雨の嵐やったぞね。あんなに強い風が吹くのは近年では、ちっくと記憶にないほど、風で家がミシミシと音をたて、一晩中弱い地震が続くような感じで、結局夜通し安心して眠る事は出来なかったがです。虎竹の里はお陰様でこれというような、大きな被害もなく、ホッと胸をなでおろす朝でしたけんど、庭の大きな木が傾いたり、街路樹の木が折れちょったりするのを見ると、やっぱり一晩中吹き荒れた風の猛烈さを思うがぞね。


木は硬く、太い、それに比べて竹は細いし、稈は空洞ですきに、普通に考えたら木の方が強そうに思えます。実際に風を受けるようすを見ても竹は風が吹く度に右に左に大揺れして、根っ子から吹き飛ばされんばかりちや。けんど、それでも台風の後に山に行くと折れている竹など一本もないがぜよ。何本か倒れてちゅうのは今年生えたばかりで、まだ柔らかい若い竹だけ。長い間吹き続いた、あの風をいなし。地面でしっかりと皆で繋ぎ合うて耐えたがです。嵐の去った後は、また凛として何事もなかったかのように涼しい顔をしちゅう。竹は凄いにゃあ、やっぱり今日もそう思わずにおれんがです。


台風ではないぞね、春の嵐。ちっくと風が吹いても竹はこんなに揺れるほど柔軟な姿勢です。



歯下駄と蛇の目傘

蛇の目傘


高知は昔から雨の多い土地柄でもあります。車のワイパーを一番早いスピードにしても追いつかないような、激しい雨にも慣れちゅうつもりではおりますけんど、最近、度々経験する豪雨は勘弁してもらいたいですぜよ。先日の大雨も台風の時の雨も、げに、まっこと恐ろしい程やったぞね。あちこちで被害も大変なもので自然の猛威の前では、やはり人の力など本当に小さいものながやと改めて思いしらされます。そんなもう二度と降って欲しくないような雨もあれば、恵みの雨という言葉等もあるように適度に降る嬉しい雨もありますろう。山に繁る緑、豊かな川の流れの源でもあり、農作物にとっても、社会生活を営む自分たちにとっても、嬉しく感謝するべきものやと思うたりもしよります。


さて、そんな雨、けんど、そんな雨ぜよ。雨の好きな方いうたら、そんなに多くはないろうか?だから雨を楽しむ工夫も少しは必要かも知れんと思うちゅうがですぞね。自分は工場や山に行く以外は鼻緒の履物で過ごす事が多いですが、雨の日に、ちょこっと歩くのには竹皮男下駄を履く事が多いがです。もともと自分が履きたくて作った下駄だけに、こじゃんと思い入れもありますけんど、やはり歯下駄ですので長距離を歩き回るのに適した履き物とは言えません。出張に履いていくと階段などが多いですし、ちっくと危ない思いをしたことも何度かあるがです。


そしたら、どんな時に使うのが一番エイがやろうか?考えた時に、雨の日が真っ先に思い浮かびましたちや。靴を履いてると、あまり気になりませんが、鼻緒の履き物をタビックスでも素足でも履いていますと雨が意外に多く足にかかっているのが分かります。だから、雨が降って足元の悪い時には高さのある歯下駄は、水たまりも平気、雨も多少かかりにくいと言う事で重宝しちゅうがです。


サッと足を入れて歩きだすと、いつもより少し高くなった視野、カランコロンと響く音。雨の日ならではのささやかな心地よさを感じる事ができるがです。そして、雨の日は何というたち蛇の目傘の出番ぜよ。機能的な折りたたみ傘のように持ち運びやすかったり軽いワケではありません。だから、男下駄同様に遠出せねばならない時や、重たい荷物を持った時や、仕事の時にはあまり使いません。けんど、両手の空いた少し時間にゆとりのあるお出かけの時なら、これだけ雨を楽しめる道具は他にありますろうか。頭の上に番傘が広がると、その下だけはまるで別世界。手に握るのは黒竹、360度ぐるりと見回しても視界に竹骨のある景色。いやいや、これは嫌いな雨が少しだけでも違って思えてきそうぜよ。


笹のような竹

竹の植栽


近年都会では竹の植栽が増えたというお話を、ずっと前にさせてもろうた事がありますぞね。竹は一年通して美しい緑の葉を繁らせて、凛として立つ姿は都会のモダンな景色の中でも不思議なくらい似合いますぜよ。アメリカなどでは特に竹の植え込みは重宝されちょって、高級住宅地にいくとアチラコチラで目につく大人気の植物との事です。竹の持つオリエンタルな雰囲気が欧米の方からしたら、こじゃんと魅力的に見えるようながです。


日本でも、昔なら家の近くにあって身近に感じちょった竹が、どこかの公園に行ったり、遠出の時にしか目にしない。馴染みの浅いものとなったことが、今の竹の植栽に繋がるとしたらちっくと悲しい思いですが、最初から全く知らないのと、現代の日本人のように忘れちゅうだけと言うのは、まったく違うと信じちゅうがです。


笹のように背が低く、小振りな竹が植わっちょります。竹葉や稈は、どう見ても立派な竹やのにと不思議に感じます。そもそも竹と笹の違いは結構あいまいで、専門家でも間違える事があるようなので、疑問をもって植え込まれてちゅう竹を見る方は少ないですろう。けんど、自然の世界の中ではあまり見る事のない笹のような竹。


実は、この竹は品種改良によって都会の狭いスペースに適応させた、植栽専門の竹達ながです。目に鮮やかな緑を見て心癒される事はあっても。何気に見過ごしてしまう竹ながですが、この竹にも、情熱を燃やし続けられる竹人の姿があるがです。


刻印する竹の七味入れ

竹七味入れ


竹の七味入れには炭化竹を使うたもの、白竹、胡麻竹の物と3種類あるがです。けんど最初はこの七味入れに文字入れするなど思いもしませんでしたちや。お客様からのご用命が意外に多いので考えましたら、七味ひとつとっても、まっこと色々なブランド名がありますし、そのお店ならではの、こだわりが有る場合もありますろう。鰻には欠かせない山椒の産地は和歌山が有名ですけんど、同じような気候風土の高知県でも山椒は生産されよります。地元産という事で他のものと区別するのにも、文字入れがあれば分かりやすくなるというものですぞね。


七味入れ刻印


使う方としても竹七味入れは瓶と違い中身が見えませんきに、七味か何か分からず、恐る恐る使われる方もおるかも知れんぞね。それなら、やはり刻印をする意味は大きいですにゃあ。


お客様からのお声によって考えもせんかった事がはじまる。これは40数年前に全国の竹製品を集めたお店をはじめてから沢山の竹を使うお客様にお越しいただくようになり、ずっと今まで続きゆう事かも知れませんけんど、まっことお客様には実に沢山のアイデアをいただきゆう気がしよります。


雑誌「ESSE」掲載の鬼おろし

雑誌「ESSE(エッセ)」


雑誌「ESSE(エッセ)」に取り上げて頂いた竹製大根おろしと竹皿のセットですが、他のおろし器との比較をされるという事で発刊を楽しみにしちょったがです。そしたら、まっこと色々な大根おろしが出来上がっていて、なかなか面白く拝見させてもらいましたぜよ。銅製の物やプラスチック製、セラミック磁器製の物など、比較的に良く目にするタイプの他にステンレス製の現代的なものや、フードプロセッサー式で大根4分の1程度なら数十秒でおろしに出来上がるという、機能的なものまで揃えて実際の大根おろしを比べてちゅうがです。


大根おろしと言うのは、おろし器により食感だけでなく、味が大きく変わる事をご存じでしたろうか?あの独特の辛みは、大根の細胞が壊れた時に生成されるそうなので、大きな粒で削れる竹製の鬼おろしは辛みが少なく、小さく切れ味のよい円錐刃のついたセラミック磁器製や、モーターの刃の回転で大根の粒を感じないくらいに摺り下ろすフードプロセッサー式のものは、極小の粒の大きさなので辛味が強くなるそうながです。


一口に大根おろしと言うても色々あるがやにゃあ。薬味としての大根おろしは辛味が味を引き締める気がしますきに、細かく摺れるおろし器の方がエイかも知れませんぞね。竹製の大根おろしは粗くてザックリした食感。辛味も少なく食べ応えのある大根おろしができます。水気も少ないので鍋料理にもエイですがサラダや肉料理などに、大量にかけて大根そのものを頂く感じが好きながです。特に肉料理にが個人的にはオススメですぞね。暑くて食欲がないような日にも、ザックリ鬼おろしをタップリかけて、ちっくとニンニクの効いたサッパリタイプのドレッシングなどあったら食欲もりもりぜよ。夏バテ解消にまっこと幸せな夕食となりますちや。


椀籠について

椀かご


自分の小さい頃には竹籠が台所に沢山あったというのは、よくお話させて頂く事ながですぞね。野菜や食材をいれる籠、天日干しする籠、お米を研いだり水切りに使われるのも竹で編まれた籠が大活躍しよりました。


そんな中に椀籠とよばれゆう洗った食器を乾燥させる籠があったがです。実は形も色々とあったように覚えちょりますが、どれも同じように底編みが四ツ目編みになっている上に、ちっくと上げ底のようになって底が接していないため、水切りが良くできるように工夫されちゅうという特徴があったがです。


椀籠


竹表皮を薄く剥いで作る細工を「磨き」と言うがです。まっこと宝石でも磨く事によってあの素晴らしい輝きがあるようですが、竹もそれとと同じぜよ、表皮に磨きをかけると竹ならではのツヤツヤとした光沢のある内面に秘めた美しさが表れて来るがです。


熟練の職人さんが、この磨きの技を使い編み上げた椀籠は、まっことエイものながです。編み上がりを手にすると青竹の清々しい心洗われるような香りがして、このような籠に毎朝出会える事にすら喜びを感じてしまいそうぞね。時間が経つにつれ、人との関係でも似たような事があるように、その場所に馴染み、新鮮さは無くなるものの落ちついてきて、そこに無くては成らない存在感のある籠になってくる。今度は飴色になってきて渋みと深みが出てくるのです。


このような細工は、今後は沢山作られる事はなくて、段々と少なくなりつつあるものではありますが、自分があの竹籠達を見て何ともいえない心地良さを感じ、気持ちまで優しくなれる日の喜びを、このモノの持つ力を、誰か他の方にもお伝えできたらエイにゃあ。新しい竹への試みは全て、そんな何でもないような、自分自身の個人的な気持ちから始まる事ばかりながぜよ。ただ、それだけながです。


青竹踏みと雨

青竹踏み材料


梅雨が明けてからも雨の日が続き湿度の高い高知県ですけんど、カラリと晴れてくれないと何が心配かと言うたら、やはり竹に生えるカビながです。


青竹踏みは丸い竹を半分に割り切りしただけの、まっこと簡単明快な竹製品といえると思いますが、それだけに竹の良し悪しや竹そのものの品質管理が大変ながです。表皮の青々とした竹の色合いを残しちょりますが、これは伐採された竹を日に焼けないように陽射しを遮り保管して乾燥させ、湯抜きをした材料で製造されちゅうがです。青い表皮の部分には比較的カビが生えたりする問題はありませんけんど、いくら乾燥させた良い素材であったとしても、もともと生しい竹で作られる製品です。内側の白い竹身部分には湿気があるとカビなどが生えやすいがです。


今は次々に来る台風の影響で少し特別に雨が続いちょりますが、それでなくともお天気は思いどおりに晴れてはくれません。そこで、青竹踏み製造現場で活躍してくれるのが乾燥機ながぜよ。木材の加工工場などでは普通に使われているかと思いますが、実は竹は、あまり乾燥に強い素材ではありません。維管束と呼ばれる繊維が縦に通っていて、それゆえに、しなりやたわみに対して柔軟な強さがあるものの、この繊維に沿って割れるという側面も持ち合わせちょります。まあ、これも程度の問題ですろう、そういう大型機械も上手く活用することにより、竹の個性によっても異なり、季節や天気によっても違ってくる、本来とても難しい自然素材の竹を使うた製品作りが、なんとか安定的にできる事が可能になっちゅうがです。


それでも竹は本当にデリケートやと思うがぞね。なんせ、こうやって手間をかけて作られたものを、さらに天気の良い日などには裏面を天日に当てて乾燥させるものの、少しでも湿気のあるところなら、またカビが生えたりするがちや。


皆様のお手元にお届けさせていただく場合には、段ボール箱に密閉してお送りされよります。当然風通しの悪い環境ですので、当社では何ともなくても、トラックで運ばれて行く間に早くもカビになったりするがです。もし、お手元にお届けされる事がありましたら、できるだけ早く箱を開けて風を入れられるようにしていただきたい。青竹踏みについては特に、いつも、そう思いよります。


竹の端材


さて、青竹踏みを製造する時には、当たり前と言うたら当たり前ですが、こうやって沢山の端材をできるがですぞね。こんな切れ端を使うて商品を作られる事もあるのですが、量も多いので、なかなか全てを加工しきれるものではないがです。


けんど、ご安心ください。竹屋で出るこのような端材は湯抜きなどの燃料として燃やされて、間接的にではありますものの違う製品作りに役立ちゆうがです。竹は根っこから竹葉まで捨てる所がないほど細工に使われてきましたぞね。現在では昔ほど何でも利用される事はないですが、それでも、無駄が少ないという事では、優等生の部類に入るのではないかと思うちゅうがです。


渡辺竹清先生の特別なひとつ

渡辺竹清作煤竹バック


本煤で編まれた渡辺竹清先生の渾身の網代竹バックは、今までの作品とは又ちっくと違う雰囲気を放たれよりますぞね。網代編みの巨匠と言われ、かってはニューヨークの超有名宝石へもご自身の作品を提供されよった渡辺先生の特別な一品ぜよ。


実は先生がお嬢様のためにと創られちょった作品の中の、最後に残った、ただ一つの竹籠バックながですちや。全ての作品に、ひとつひとつ情熱を込めて、素晴らしい竹編みを生み出してこられた先生ですけんど、やはり、そうお聞きしますと、いつもの作品以上に何やらただならぬ想いのようなものを感じずにはおれんがです。


波網代


竹バックを持って屋外の明るい所に出てみるがです。百数十年古民家でじっと時を待っていた竹が光を浴びる、あたかも憧れの舞台でスポットが当たったダンサーのように、嬉しくておれないように美しく踊りだしているような波網代の編み目、心奪われそうになる光沢は本物の竹ならではですちや。


渡辺竹清作


祖父の代から懇意にしていただいた渡辺竹清先生の最後のひとつ、両手に大切に持って、腰をおろして眺めよります。


以前、先生が言われちょりました。茅葺き屋根で百年の役目を終えた竹に新たな百年の命を与える。そんな言葉通りに生まれ変わった煤竹が人の中で輝けるように、輝き続けていけるように後の世代に伝えていかねばと思いゆうがです。


根曲竹お買い物かごについて

根曲竹お買い物かご


ざっくりした編み目で簡素な竹手提げ籠のように見えますけんど、実はこれが粘りがあり、こじゃんと丈夫な根曲竹で編まれた買い物籠ぜよ。長い間、竹籠を使いよったら結局こんなシンプルで軽くて使いやすい、昔から使い続けられちゅう、こんな籠に帰ってくるがです。


竹虎の職人でも数十年愛用していた籠を毎日提げて会社に来ちょりました。その日のお弁当やら、休み時間に読む新聞やら、荷物を何でも放り込みで持ってこられるので重宝しよったようですが、年を経るごとに飴色の渋い色合いに変わって来ますので、ますます愛着が深まってくるようやったがです。


根曲竹お買い物籠


昔のお母さん方は、こんな籠を必ず持ってお買い物に行かれよりました。レジ袋という便利なものができてからは手提げ籠はお買い物のシーンから、すっかり姿を消してしもうちゅうように見えるがです。


けんど、実は今でも市場などへの買い出しなどには、プロの仕出屋さんはじめ主婦の方でもお使いただく方は多いのです。かっては魚でも野菜でも近所で買ったものを持ち帰るのには、竹籠くらいしかなかった時代を知る職人さんは少なくなって、竹を使うのがファッションのように感じられるかも知れませんけんど、実際に使うてみると口の大きく開いた竹籠というのは、思うよりも便利に使えることを実感いただけるかと思うがぞね。


最近は買い物籠としてではなくて、お求めいただいたお客様かそれぞれご自由にお使いされゆうようです。それでも、こうやって御愛用いただきゆう姿を拝見しますと、嬉しいやら、懐かしいやら、竹籠つくづくエイ物やと思うがです。


誰も知らない竹根の茶椀

竹茶碗


竹の根を使うた細工も昔は色々と種類があって、竹虎の店頭にも一杯並んでいたことが思い出されるがです。竹根と言うてもご存じない方もおられるかも知れませけんど、土中に埋まった部分には竹のサイズに見合うた太い根があって、そこから細い根が縦横無尽に伸びて行っちゅうがです。


この竹根を使うたお茶碗は小さい頃から見よりましたが、自分の手の届くものではない高嶺の花と思いよりました。けんど、自分が入社させてもらった後、作る職人さんがおられなくなって、いよいよ最後の商品となった一つはどうしても売る事ができず、自分がずっと毎日の食事に使わせて頂きゆうがです。


現在ご紹介させてもらっている竹根茶碗は、偶然に知り合うた職人さんが作られゆうもので、作風も微妙に違うて、この方ならではの味わいを感じる物ですぞね。難しいのは、ひとつひとつ異なる素材のままに創作していく茶碗です。作り手の職人さんが、こんな形にしたいと思うても、竹根の言う事を聞かないと出来上がらない一品作ばかり。かなり趣味性の高い物ですし、ほとんどご存じない方が多いかと思いますけんど、興味のあられる方は是非、竹の逸品のページをご覧くださいちや。この竹の優しい手触り、口当たりは他にはちっくと無いものですぞね。


「雨の峠は越したぜよ」

虎竹の里


子供の頃の台風は、まっこと怖かったぜよ。雨戸を閉めきった部屋は停電で真っ暗やったきに、ロウソクの火だけが頼りながです。台所の心細い灯りの周りに皆で集まっちょりました。ほんの一瞬やったけんど玄関のドアが開いたと思うたら、急に湿気を含んだ強い風が吹き込んでくる。家の外が別世界のように荒れ狂うちゅうのが分かるがです。そんな中を頭にヘルメットをかぶった合羽姿の父が工場へ走っていく。


椅子に腰をおろそうとすると「ヨシヒロ!こっち来い!」祖父の大きな声。何やろうか?と向こうた板の間に取り付けらけた。窓のアルミサッシが風に吹かれて歪んじょった。増築したばかりで雨戸がなかったがです。家に残った祖父も祖母も母も、そして頼りない自分も一緒に、繰り返し叩きつけてくる激しい雨を支えちょった。もの凄い勢いで右に左に揺れる庭の木々、そして、そのずっと遠くに見えた山積みされた虎竹と父の姿。40年以上前の事やのに、ついこの間の事のように覚えちょります。


一昨日からの雨も凄かったちや、記録的な豪雨やそうぜよ。けんど、


「だから、どうした」ぜよ。


「負けてたまるか」やき。


自分が小さかった日のあの嵐の時、大人達はきっと今の自分みたいに思いよったのではないろうか?こんな台風が何ぞね、こんな雨がどうしたぜよ、こんな風が...。そう思うて歯を食いしばっちょたがやろう。ボロボロやった工場は何回も飛ばされたけんど、心が飛ばされた事は一回もないがやき。


竹は、しなりがあって強いきにゃあ。そう思うて虎竹の古里、焼坂の山をながめたら、「雨の峠は越したぜよ」教えてくれゆうようながです。

 

大雨の降る日に

虎竹林


記録的な大雨が降る高知県ですぞね。昨夜も降り止まない雨がちっくと気にかかり遅かったがですが、今朝も大きな雨音で、いつもより早く起きちょりました。猛烈な雨で川の増水、道路や家屋の浸水など、小さい頃からの度々の台風で何度も経験しているとは言え、慣れる事のない自然の猛威を改めて感じよります。全国の皆様にはお気づかいのお言葉を沢山いただき、まっこと心強く思いよります、ありがとうございます!幸い今のところ特別に大きな被害があるという事ではありません。どうか、ご安心ください。


滝のような雨の中、どうしても思い出すのが98年の豪雨ぜよ。あの時には日頃通る国道が土砂崩れで埋もれてしもうたがぞね。テレビの映像で見ると、ものすごい大量の土砂やったですけんど、工事が終わり通る事ができるようになった山肌は想像以上に削られちょって、これだけの土砂が流れてきたら、道路はひとたまりもなかったにゃあと、背筋が寒くなる思いやったがです。


「地震の時は竹林に逃げろ」と聞いた事はありますろうか?これは、竹の地下茎が縦横無尽に根を張り、地下1メートルの厚みで、それぞれの竹と繋がり竹林全体が天然の鉄筋コンクリートと呼ばれるほど、強固な地盤になっちゅうからながです。この地下茎をつなぎ合わせた総延長はなんと1ヘクタール当たり、孟宗竹や真竹などでは180キロメートルにも達する事があり、笹類などやったら地下茎は細いものの700キロメートルもの長さになるそうぞね。


また、地下茎が土をつかんでいる力を調べたデータでは、竹林はヒノキの5~10倍もの力があるようですちや。表土の流出量について決められた時間に一定の水を流して、流れ出た土量を測定する実験でも素晴らしい成績が残されちょります。特に密生して生える笹類などでは著しい効果があり、これは昔から株立ちの蓬莱竹などが雨の多い高知や九州で、家の周りや護岸に防災用として植えられちゅう事を見ても納得できるがです。


今まで何度かお話させていただいた事のある、昭和47年高知県で起こった繁藤の大災害の山崩れの写真を見ても、隣の竹林は山崩れを起こしておらず、防災機能がしっかり働いていたと言われちょります。自然豊かな中で暮らす自分達は、常に自然の災害とも向き合うて行かねばなりません。清らかな心癒やされるようなせせらぎも、浜辺の優しいさざ波も、時によりゴーゴーと音もたてて襲いかかる恐怖そのもの。大自然の前には人間の力など、まっこと無力だと思い知らされます。


けんど、だからこそ人は昔から自然には敬意をはらい、自然に対しては自然を上手く使い対処しようとしてきたがですろう。防災用の竹林としては近年では放置竹林が増えて、逆に防災面で弱いとの指摘もあるがです。古い竹がいつまでも残っちゅうと竹林が荒れ、若い竹の出も悪くなり竹林の力が弱まっていくがです。昔のように竹を伐る事も無くなった現代に古の知恵を今いちど見直し、人がしっかり管理した美しい竹林を残すことの意義の大きさを思うがです。



 

ドイツ人デザイナー、ステファンさん

竹虎四代目(山岸義浩、YOSHIHIRO YAMAGISHI)、Stefan Diez、Wataru Kumano、大谷宗平


ジャパンクリエイティブなるモノ作りのプロジェクトに、お声をかけて頂いたお話をさせてもらった事があるかと思います。日本でわずか3社様だけと聞いて、これは、こじゃんと光栄な事やにゃあと思いよりましたぞね。けんど自分達のような田舎の竹屋には、ちっくとハードルも高いろうし、「デザイン」という文字が綺麗な言葉と共に多用されちょりましたが、
この言葉には自分達のしている事とは不似合いかも知れんにゃあと、実はあまりエイ印象を持ってなかったがです。


竹虎工場見学、竹虎四代目(山岸義浩、YOSHIHIRO YAMAGISHI)、Stefan Diez、Wataru Kumano、大谷宗平、夏目康子


考えが変わったがは東京から来られた担当にお会いした時ぜよ。担当の方の熱意に本気を感じてしもうて、こりゃあ面白い事ができるかも知れんにゃあ。こんな感覚は瞬間的なものですちや。理屈や計算ではなく、心に火がつくか?つかないか?それだけぜよ。自分達に出来る竹の事があるなら何でも。ご協力させてもらうようにさせてもろうたがです。


竹林見学、竹虎四代目(山岸義浩、YOSHIHIRO YAMAGISHI)、Stefan Diez、Wataru Kumano


さて、今回のプロジェクトでは海外のデザイナーの方に、わざわざ来日いただいて虎竹の里までお越しいただいたがです。欧米の方で竹の好きな方は多いですので、たまに色々な方が特徴ある竹を求めて来られる事があるのです。しかし、新しい商品開発のために遠くドイツから来られたのは初めての事。


100年前の初代宇三郎の時代から、ずっと登り続けゆう竹林の道。一人が歩ける幅しかない細く急な山道やけんど、これが竹の道、二代目の祖父も、三代目の父も、そして自分達も。同じように一歩一歩、踏みしめて進む道。感じてもらえましたろうか?


日本唯一虎竹の里、竹虎四代目(山岸義浩、YOSHIHIRO YAMAGISHI)、Stefan Diez、Wataru Kumano


この日の虎竹の竹林も、ちょうどの雨模様。晴れて明るい陽射しの入る清々しい顔ではなくて、しっとりした薄化粧をして出迎えてくれる竹達は、きっとミュンヘンから成田、そして高知龍馬空港に直行して来てくれた、遠くからのお客様の事が分かっちゅうような気がするがぜよ。上を見上げたまま一言もしゃべらんなった。まあ、エイですろう。ここには言葉の壁はないがぜよ。


竹虎四代目(山岸義浩、YOSHIHIRO YAMAGISHI)、Stefan Diez、Wataru Kumano


どうして海外のデザイナーの必要があるのか?そんな、お問い合わせも頂きましたきに、お話させてもろうちょきたいがですが、竹文化のない国の方だからこそ今までの伝統の枠組みを外した、先入観のない柔軟な思考でもって何か新しい試みが出来ないだろうか?まず一番にはそう言う考えが浮かびますろう。


竹虎四代目(山岸義浩、YOSHIHIRO YAMAGISHI)、Stefan Diez、Wataru Kumano、大谷宗平、夏目康子


けんど自分にしたら、どんな事になろうとも、古くから続いてきた竹の世界に新しい風は吹くやろうと言う思い、自分達が面白がってできる事なら何でも挑戦したいと言う思い。さらに竹虎にお越し頂いたドイツのデザイナーのステファン(Stefan Diez)さん、この方が素晴らしい方なので、この方自身を日本の竹の大ファンに出来たらエイにゃあという思い。ただ、単純にこれだけながですぞね。


竹ざる製造、竹虎四代目(山岸義浩、YOSHIHIRO YAMAGISHI)、Stefan Diez、Wataru Kumano、大谷宗平


昨日は職人の声が違うちょりました。田舎で普通に生活しよりましたら外国の方にお会いする機会など、そして、話しをする事などあまりある事ではないがです。自分の仕事の評価は、自分や近くの人からでは分かにくいがです。遠くドイツから来てもらって初めて、竹編みの重みを職人自身が知る事になるがです。


「外人さんが見に来たにゃあ、まだまだ頑張らんとイカンにゃあ!」


朝から蒸し暑いなか汗をふきふき、いつもにも増して張りのある話声に、まだ何ちゃあ製品も出来てないし、何の成果を出てないプロジェクトですけんど、その実、個人的には、もう十分に満足してしもうちゅうがですぜよ。


竹林で竹酢液大実験

竹酢液大実験


夏場の竹林に来られた事はありますろうか?山登りなどされる方なら、ご存じかも知れませんけんど、竹林にはどういうわけか蚊が、こじゃんと(とても)多いのです。


手入れの行き届いた竹の林のことを「竹林」と言うて、荒れた竹の林は「竹藪」と一般に呼ばれますが、伐採をあまりしたことがなく陽の光もあまり差し込まないような竹藪に行くと、藪蚊と名前に「藪」の付くだけあって、本当に沢山の蚊がいて耳の横であのイヤな「プーーーン」という羽音がずっと聞こえっぱなしのような状態ながです。ところが手入れされた竹林でも程度の違いこそあれ、人間が心地よいとの同じように、蚊にとっても居心地かよいのか、足を踏み入れると、どこからともなく飛んで来るがです。さて、そこで登場する竹林に無くてはならない秘密兵器があるがぞね。一体それは何ですろうか!?


実は、それが何を隠そう竹酢液スプレーながです!竹酢液原液を約10倍程度に希釈してスプレーボトルに入れて、プシュー!プシュー!と身体に振りかけるがです。もちろん市販されちゅう虫除けスプレーもあるようですが、虎竹の里では昔からコレ、山に行く時にはいっつも携帯しちょります。


そもそも竹酢液(ちくさくえき)をご存じですろうか?竹炭を焼く時の煙を冷やして集めたものながですが、竹酢液には300種類というような沢山の有効成分が含まれちょります。排煙口の温度で80度より低いと成分があまり含まれず、150度を超えるとベンツピレンというような、身体に悪い有害な物質が入ると言われちょります。なので竹虎の竹酢液は、その温度帯でだけ採取して、更に一年間安置してタール分を除去しちょります。入浴用もそうですけんど、虫除けの場合にも肌に直接ふりかけますので、竹炭に焼く竹材や、ガスや石油を使わない土窯にこだわる等、製造工程もしっかりして安心して使えるものでないと、特に自分のように肌が弱い方にはオススメできないのです。


竹酢液(ちくさくえき)


夏場に竹林に来るという事は、本当はあまり多くありません。竹の伐採の時期というのは、11月あたりから本格的になるのは12月、1月の寒い頃、品質管理のためこの時に伐採した虎竹しか製造に使う事はないがです。けんど、お陰様で最近は竹林見学などに来られる方も多くなりました。一年中、いつと言う事なく山に行いきますので、夏場の虎竹の里では、ちょうど竹酢液の効果を体感していただけるラッキーなチャンスでもあると思うて、昔から使われてきた自然素材での蚊除け対策をお試しいただきゆうがです。


そしたら思い出されるのが昨年のテレビ局の人気番組で、こじゃんと有名なアイドルグループの方がお二人来られちょった事ですちや。ちょうど残暑の厳しい頃、竹を求めて山道を登り、竹林にはいって竹を伐るという撮影シーンがあったがです。これは蚊除けが必要だと竹酢液を全身にスプレーさせていただきました。独特のニオイがありますので、都会から来られた若い方にはどうかにゃあ?ちっくと心配して思いよりましたが、実はお二人とも前に木酢を使った事があったという事で、まったく平気!というより、もっと念入りにと言われたほどやったです。


そしたらです!その甲斐あってか竹林に入った後


「ここの山は蚊がいないねえ~」


こう言うていただけるではないですか!?実は蚊は、竹林ですので沢山おったがですが、竹酢液の効果で全く近寄る事がなかったがですぜよ。


竹酢液は竹から採取したもの、もともと自然素材のものですし、昔から炭焼きさんは山仕事で使いよったり、民間療法的に親しまれたものでありました。安心して使え、しかも殺菌力などもあり、このように虫除け効果のあるものではあるものながぞね。


これを口で言うだけではなく、ちっくと目に見える形で皆様にご紹介できんろうか?前々から長いこと、そう思いよりましたが、今回ついに竹虎四代目が身体を張って動画撮影をしてみましたぜよ!結果は毎回実感している事ですので当然思うた通りながですが、ご存じない方には是非ご覧いただきたいがです。


日本唯一の竹林での竹酢液大実験はコチラぞね。