昔ながらの竹材と伝統の技法を使うて編まれたモダンな竹籠があるがです。熟練職人さんたちは同じモノを作り続けるという力はもの凄いものがありますが、形を変えたり、新しいモノを創り出すという事は、あまり得意ではない方が多いはずながですぞね。けんど、この竹ざるはどう見ても長年の匠の技を感じるちや。
そしたら、どういうワケで、こんな面白い竹ざるが出来たがやろうか?しばらくの間、不思議に思いよったがです。生活雑貨としての竹はずっと生活の中にあって洗練されてきた歴史があります。そしてその中で不要な所が削られる事もあったがですろう。シンプルでいながら最高の使いやすさに進化した竹細工。けんど、ある時に突然変異のように形が変わっちゅうものがあるがぜよ。
この竹籠もそんな竹細工のひとつやったです。もともとは魚籠やったように思うがですが、口のくびれからの広がりが必要以上に大きくなっちょります。最初は、もしかしたら独特の漁があってこんな竹籠があったのか?そう思うた事もありました。けんど、この竹籠が魚籠ではなく花籠として編まれたものと聞いて、それぞれの謎が解けたように感じましたぞね。ある時期、竹細工の長年培われた技術と近代のデザイン技術が、うまく融合した事があって今までにない用途が模索されちょったようです。
それぞれが大量に生産されたかどうかは分かりませんが、残された作品を手にとってみると、当時の職人さんとの真剣なやり取りが伝わってくるようです。竹編みの匠が複数おられて、まだ元気だったこともありますろう。意欲的でビックリするほど完成度が高いものばかり。デザイナーの方は竹職人の生み出す作品に畏敬の念と共に、おそらく高い芸術性を感じていたのは間違いない事やと分かるがです。
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