一見するとワインのボトルか何かが三本並んでいるかのようですぞね。確か酒瓶に籐編みか何かで飾ったものを見た事がありますので、こんなボトルがあっても不思議ではありませんちや。けんど、これはお酒ではないがです。実は昔から使われてきた魚捕り用の籠ながぜよ。作りは基本的に自分達が小さい頃に近所の川で使いよった、鰻捕りようのうけ(筌)と全く同じで、エサに引き寄せられて中に入った魚が出られないように、先端を鋭利に削った竹の仕掛けが作られちゅうがです。
この魚捕り用の魚籠は形も面白いけんど、エサや捕れた魚を出し入れする反対側の栓もかなりユニークやちや。自分達は栓をするのに沢山ある丸竹の切れ端などで、鰻ウケにサイズにピッタリなものを探して使いよりましたが、これは何とワラを束ねて作られちゅうがです。ワラを束ねて、それを同じくワラで縄を撚り、キツくギュッと縛っちょります。中華料理店などで良く使われている、鍋や食器洗いに使われる竹を束ねて作る竹ささらを少し思い出しますけんど、こんな栓は初めて拝見しました、まっこと凄い栓ですちや。
これなら籠の太さに合わせてピッタリものものを作れましたろう。竹やワラなど身近で沢山あった素材を上手く使い、生活の道具として利用してきた昔の方の暮らしぶりを、ちっくとだけでも垣間見る事ができるような魚捕り籠。又ひとつ先人への畏敬の念が深まる思いですぞね。
コメントする