竹一筋に生きて来られた廣島一夫さんには、一度しかお会いする機会はなかったけんど、その後も何度か作品を拝見する事がありますぞね。この飯籠も廣島さんの作、持ち手のツマミ部分に竹輪をしつらえちょります。蓋の持ち手には両側をハス切りした丸竹を使うのが昔からのやり方なので、恐らくこの作りは近年になってからのものではないかと思うがです。気さくで何にでも好奇心のあられる、まっこと少年のような気持ちを持たれちゅうように感じましたので、遊び心でつけられちゅうのかも知れんにゃあ...そんな事を思いよりました。
そしたら、廣島さんが往年愛用されよった杖がありますちや。これが何とも竹職人さんらしい、今では見ることの少なくなった籐巻きの、こじゃんと素晴らしい杖ながです。こんな格好のエイものを作り出して、ご自分で使われよったあたり、やはり昔ながらの職人気質の方らしいがです。ところが、その持ち手の先端をよく見ましたら、なんと、飯籠の持ち手に付けちゅう竹輪と同じものが、ワンポイントとして、はめられちゅうではないですか。
最後の最後に、たった一度とは言えお会いできて、竹の現場で言葉を交わす事がてきた幸せを感じながら、いつかは作品が数百点も収蔵されちゅうというスミソニアン自然史博物館にも行きたいにゃあ。そんな思いを新にするがぜよ。
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