魚を竹串に刺して囲炉裏で焼くのは、まっこと風情があるものですちや。風情があるだけでなく、川魚は炭火でじっくりと慌てず焼き上げると、まっこと格別な味わいがあるものですちや。小骨まで、こんなに美味しいものか!?と驚くような味わいですぞね。そんな川魚の中でも、やっぱり鮎は格別ですろうか。
虎竹の里から、ひと山越えたすぐ近くにカワウソが最後までおったという、清流で有名な新荘川という川があるがですが、実は父が無類の鮎好きやったから、何と好きが高じてここの川漁師の免許を取ってシーズンには漁に行きよりました。漁と言うたら大袈裟に聞こえるかも知れませんけんど、まっこと専用の冷凍庫を一つ買うちょったほど鮎を捕りよりましたぜよ。自家製の燻製を作ったり、今思えば贅沢な食卓やったろうけんど、子供の頃は又今日も鮎か...とがっかりしよりましたぜよ。あの苦みが苦手で、まっこと大嫌いな魚となっちょったがです。だから鮎の美味しさに気づいたのは、こじゃんと後になってからぞね。子供の頃の印象が強く食わず嫌いで、全然食べようとはせんかったです。もちろん、今では炭火でジリジリ時間をかけて焼いた鮎は大好物ちや。
そんな鮎の竹串はどうやって製造されゆうか、ご存じですろうか?ご覧のように高速回転するグラインダーに、素手で細い竹串をあてがって削りだされゆうがです。竹はしなりがあって丈夫です、細く細く指先の感覚を使うて、手早く仕事されゆうのには感激してしまうがです。竹串などは輸入のものが幅をきかせる時代ですけんど、まだこうやって国産材にこだわり、国内製造できると言う事は同じく日本の竹にこだわる自分達にしても嬉しい限りぜよ。
国産竹串のエイところは竹表皮に近い部分の材料しか使うてない所。竹の一番丈夫な所だけを使用しちょりますので強さが全く違うぞね。これは、同じように製造される竹楊枝を使うてみたら良く分りますちや。どれだけ使うても細い先端部分は最初と全く変わらず鋭角なまま、あまり目立つ事はないですけんど竹楊枝は一度使いだしたら止められませんぜよ。
さて、魚の串焼きに戻りますが、囲炉裏などで焼き魚を見ることがあったら、もしかしたらあの時の竹串職人さんのものやろうか?ちっくと思い出してもらいたいがです。
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