田邊竹雲齋歴代展

田邊竹雲齋歴代展


生活の道具だった竹は数知れぬ作り手により磨かれ鍛えられ、近代に入ってからは芸術工芸品と呼ばれるような竹の美を追究して作品を極める作家が生まれたがです。それが、早川尚古齋、田邊竹雲齋、飯塚琅かん齋、生野祥雲齋という四人の高名な竹芸士ながです。


何度か作品を拝見させていただく機会がありますが、それぞれ作家の方の作風を越えて感じるものがあるがです。それまで工芸の世界でも認められていなかった竹の美を極められた、まさに新時代を拓いた巨匠と呼ぶにふさわしい先人達の竹。今もって他の追随を許さない迫力に満ち溢れちゅうがです。


そして、その中でも唯一長い歴史を越えて技を伝承続けるのが、大阪は堺にある田邊家ながです。大正11年と言いますきに1922年に長堀高島屋美術部の第一回展を、初代田邊竹雲齋さんが開催されて以降二代目、三代目、四代目と代々大阪高島屋での個展を開催されゆうと言う事に、まっこと伝統の重みを感じずにおれんがです。


自分はいつも竹屋も四代目になったら竹の血が流れゆう、断ち切ろうと思うたち、出来んかったがぜよとお話しさせて頂く事がありますぞね。もちろん、格式ある田邊家とは比べようもありませんけんど、今年で竹材商創業120年の自分たちも竹一筋。四代目である田邊小竹さんの作品までが一堂に展示された歴代展からは、竹の革新を続けてきた田邊家の血と汗が受け継がれて一本の道になって続いちゅうように見えたがです。


田邊竹雲齋歴代展


田邊小竹さんはお若いですが海外でも、こじゃんと高く評価され、すでに大作家の仲間入りをされちゅうアーティストぜよ。そもそも自分との関わりは、田邊さんが虎竹を作品に多用されちょりましたきに、何度か作品やパフォーマンスを拝見させていただくうちに、作風や人柄に魅了されたのが始まりでしたけんど、まっこと自分と同じように田邊さんの世界に魅入られた方が多いがです。会場には竹に関わり、同じような志を持たれた皆様が自然と集い、こんな楽しい方々がおられる事に感謝したくなるような時間が過ぎていくがです。


田邊小竹さん


竹は知れば知るほど、ますます面白いと思いよります。日本は狭いようで南北に伸び、海に囲まれた長い海岸線、美しい四季があり、土地により気候風土が違い、成育する竹も違う、気の遠くなるような人々の営みの中で生活に密接に関係してきた道具だけに、それらの竹細工の進化は、竹の種類から編み方から使い方まですべてにおいて極められちょります。知らず知らずのうちに日本人の文化や思想にまで深く影響を与え続け、共に生きてきた竹を今一度考えて後世に伝えていける。実は、今が最後の時代とも言える大切な時かも知れんと思いゆうがです。


コメント(2)

chom 返信

荘厳ですね…!

まさに芸術と呼ぶしかない美しさですね。

でも芸術と違って、生活の役に立つ道具にもなる。
素晴らしいと思います。

竹虎四代目 返信

chom様

田邊竹雲齋歴代展は、四代にわたる竹芸士の作品が一堂に揃うて
まっこと凄い迫力やったです
生活の道具から芸術とよばれるようになる竹
竹をここまで高められる人の技
今まで続いてきたと同じように、これからも
ずっと後世に生き続け、受け継いでいってもらいたいがです。

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