その職人さんは仕事を始める時には指に布を巻かれちょります。あまり見かける事がないですきに聞いてみたら、竹細工を習ったお父様が同じようにされていたそうながです。竹の扱いを教わる中で自然に身についた手業(てわざ)やにゃあ。こんな小さな所にも数十年の歴史を感じさせてもらえますので、伝統の竹の仕事と言うのは、つくづく面白いと思うがぜよ。
手業の次には足業ぞね、足の指に挟んで竹ヒゴを取る技法はよく拝見させて頂く機会がありますけんど、いつ見ても手と足と両方に神経を使いながらの手早い仕事はつい感心して見とれてしまうがです。どうですろうか?ずっと見ていたら足が手のように見えてきましたぞね。竹細工職人の足は、まっこと第二の手と言えるかも知れんちや。
さて、最後に工房の業ですけんど、座って仕事されゆう職人さんの、ずっと後ろの方に小さな小窓があるのがお分かりになりますろうか?
実は、このような小窓は多くの職人さんの工房に用意されちょって、コチラの仕事場では引き戸になっちょりますが、場所によっては跳ね上げ式で職人さんが座ったまま手元のロープを引いて開閉できるように工夫されていたりして、小窓のような穴が開くという共通点を除いたら、方式も大きさも工房によりまちまちで、それぞれ味がありまますちや。
何のための小窓かと言いますと竹の仕事は、編み上がるものが、さほど大きくない竹ざるや竹籠だったとしても、こじゃんと長い竹を使いますので、そのサイズからは、ちょっと意外なくらい広い工房が必要やったするがです。けんど、どうしても限られたスペースで仕事をする場合、このような小窓から竹を出して使うがです。クルクル巻けるような細い竹ヒゴに取ってしまいまうと、竹細工はそれほどの場所は必要ありませんが、山から伐りだしてきた長い竹を割って、段々と細かい竹ヒゴにする際にはこのような小窓がどうしても必要になってくるがぜよ。
chom 返信
通気口とか、細かい竹を掃き出すものかと思いましたが
竹を通すものでしたか。
家中、もしかしたら庭も使って細工をなさるんですね。
面白いですね。
竹虎四代目 返信
chom様
コメントありがとうございます!
竹細工によるのですが長い竹をそのまま使う細工では
工房の外で竹ひご取りをされる場合も多々ありますが
室内でひご取りされている所では
このような小窓のような穴が作られちょって
それぞれの職人さんの工夫や個性があって面白いがです。