いつものように虎竹の里の山道を行くと、ほんのすぐ近くで鳥の鳴き声が聞こえるがです。野鳥の鳴き声と言うてもメジロ、ウグイスの他はツグミ、ホトトギス、キジ、キジバト、モズ...それくらいの声しか識別できませんけんど、あまり聞き慣れない声に、その方向に歩いていくがです。
実は、あまり話した事もありませんけんど、自分の特技の一つにウグイスの鳴き真似がありますぞね。けんど「ホーホケキョ!」という皆様がよくご存じの鳴き真似ではなく「ジュッ!ジュッ!......」という、かなり地味な声。ウグイスは華麗な歌声とは対照的に見た目も普段の鳴き声も結構地味ながぞね。最初は、どうしてもウグイスの声とは思えなかった程ながです。
何故、このような特技が身につくかと言うたら、小学校低学年まで山でばかり遊びよって、今は禁止されちゅうと思いますが昔はメジロやウグイスもコバンと呼ばれる竹ヒゴで出来た鳥籠で飼いよりました。山でこれらの小鳥を鳥モチで捕まえるがですけんど、それにはオトリが必要ながです。ところが、このオトリの鳥が思うように鳴かない事があって、オトリの鳥の代わり自分が鳴いて鳥達を集めるがです。だから自然とメジロやウグイスの鳴き真似が身につくがぜよ。
けんど、今思い出しよりましたら小さな頃には竹職人のおんちゃん達に、あちにこちらの山に連れて行ってもらう事も多かったですが、誰でも普通に鳴き真似して鳥を呼びよりましたにゃあ。竹伐りの仕事の途中で腰をおろして、小鳥と話すように口笛を吹きよった、他にコレという遊びのない田舎暮らしでは、たしなみの一つやったかも知れません。そうそう、中学の頃には明徳義塾の寮も周りは山やったですきに、小鳥の鳴き遊ぶ声がよく聞こえよりました。「今からウグイスを呼ぶきに」言うて鳴き真似したら、本当にすぐ近くまでやって来て、近くにおった友人たちが驚きよったにゃあ。
おっと話しが随分とそれましたちや何の話しかと言うたら、その聞き慣れない小鳥の声ですけんど近くへ寄ってみたら白黒の鳥、知らない鳥やきに後で調べるとセグロセキレイではなかったかと思います。
実は前から身近に見かける小鳥の写真を撮ってみたかったがです。ただ、一眼レフを持ち歩く事はないですし、日頃は遠くを撮る必要がないので望遠レンズも持っちょりません。いつも小さなデジカメひとつ。
この日は前日の雨で谷間の水が増水しちょって、五月の若々しい緑の中に流れの音が、こじゃんと心地よく舗装もされちょらん山道に出来た陽だまりが、ずっと向こうまで続いちゅう、そんな美しい日やったです。ああ、こんな虎竹の里の空気をそのままお知らせしたいぜよ。そう思うてシャッター切りましたけんど...やっぱり、そんな期待した写真には成っちょりませんぞね。
コメントする