「Realitas(レアリタス)」は日立製作所さんが発行されゆう雑誌で、取材のご依頼をいただいた時に見本誌を数冊いただきましたけんど、日立さんというイメージから最新のIT器機や経済の話しばかりかと思いきや、音楽やファッションなど、その道の達人に着目した記事があって、自分のような者にも読みやすく、こじゃんと面白いがです。
アルティザンの仕事場という特集で日本伝統の手作りを紹介されちょります。確かフランス語で職人という意味の言葉やったと思いますが、今回その特集コーナーで竹虎をご紹介いただけるとの事でしたので、取材をずっと心待ちにしよったかです。カメラマンや文章を書かれる方、日立広報部の方など4名の方が2日間の日程で遠く東京からお越しになられちょりました。自分達のような田舎の小さな竹屋を取り上げていただける事は、いっつも感謝しても感謝しきれないほど有り難い事やと思うちゅうがです。
ガスバーナーの油抜きの加工をしゆうと、糖分の多い竹から甘い香りが工場中に漂います。自分達は当たり前と思って育ってきた、こんな事から始まり、日本唯一の虎竹の模様の事、矯め作業の事、そして、竹の枝の付け根の部分を丁寧に取り除く目打ちの事なども色々とお話させていただいたがです。
一番嬉しかった事は雑誌取材を取りまとめられる方が、前々から竹虎の商品をご購入いただいた事のあるお客様であり、竹細工を大好きな方やったと言う事ながです。竹のある生活が普通やった時代を知るご年配の方だったり、何かのキッカケで竹を知るようになられた今回のような方もおられるのですが少数派ですろう。多くの方は竹には関心は薄いし、竹製品を使う事もないかと思います。
けんど、竹虎に来ていただく若い社員でも、虎竹の里に来て始めて竹林に入り、その気持ち良さを知り、竹細工に触れ、竹製品の囲まれる中で竹を好きになって毎日のように使う一人になる事は多いがぞね。同じように、製造工程をご覧いただいた虎竹の縁台も、今度の取材に来られてはじめて知るようになって、個人的にも、こじゃんとお気に召して頂いた事に自分も感激しましたが、竹ほど身近で、成長が早く、様々な加工に便利な素材はないですきに、日本人と竹というのは長い長いお付き合いがあって、こじゃんと深い関係が今も続いちゃあると思うがです。竹を「知る」ではなく「思い出す」ではないろうか?現代の生活の中で忘れちゅうだけではないですろうか?
竹林への登り下りは細く急で滑りやすい山道ですちや。ハーハーと息を切らせて登るのも大変やけんど、慣れていない方には帰りが更に大変。膝に負担もかかりますし、おそるおそるで時間もかかるぜよ。手ぶらでもキツイというようなこの道を、生しくてズッシリと重たい竹の束を肩に担いで、竹の職人さんは下りていくがです。その苦労が、ここを歩くと少し分かって頂けるかと思うがです。
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