NHKのテレビで放映されよります「美の壺」という番組はご存じですろうか?あまりテレビを見る事は少ないがですが、スイッチを入れた瞬間に旬の美味しそうな筍が映っちょりましたので、あれれ...と思い拝見させてもろうたがです。
京都の竹林の美しさには目を見張るものがありますけんど、一つは竹の先端を切り飛ばして竹葉の量を少なくして、太陽の光が土に当たりやすくしている事。そして、更にその上に竹林の手入れでよく言われますように、傘を差したまま通れるくらいに竹を間引いちゅうこと。こうする事により、ますます日差しが入りやすく風の通りやすい竹林になります。
地面にワラを敷き詰め土をかぶせる手間なども柔らかい土壌をつくり、生えやすくするための産地ならではの技法の一つですぞね。さすがに、こうやって畑のように育てたら美味しい筍が生産されるはずぜよ。そして土入れされた地面に青い孟宗竹が、こじゃんと映えますちや。長い時間をかけて美味しい筍を作ろうと手入れされる事が、見た目にも美しく、心地よい竹林を産み出しちゅうと思うがです。目で美しい竹を眺め、耳で竹の葉音を聞き、手で竹の感触を確かめ、鼻で香りを、そして舌で味を感じる...映像を見ながら、竹は人の五感を全て使うて楽しむものやにゃあと改めて思うがです。
それにしても竹を研究されゆう先生から、筍を採りに行かれる職人さん。はたまた造園用に竹の品種改良に取り組まれる農場の方まで、思いがけず存知あげちゅう方ばっかりが登場されて面白かったです。けんど、その中でも栃木県にある若山農場さんは、竹の品種改良にお父様の代からずっと取り組まれゆう造園家ながです。品種改良と一口に言うても竹が花を咲かせ種をつけるのは60年に一度とも120年に一度とも言われる時間のかかるものなので、ずっと竹に取り組む若山さんの熱意には頭が下がる思いですぞね。
農場内に広がる美しい竹林は筍のシーズンには、沢山の方が来場されて賑わうそうながです。普段は竹に親しむことの少ない皆様もここの素晴らしい竹林にふれ、さぞ心癒される一日になる事ですろう。整備された道路伝いに歩くだけでも最高に気持ちのエイ、日頃は体験できないようなウォーキングを楽しむ事ができるがです。高知や九州など温かい地方やったら、二十数メートルにも成長する事のある孟宗竹もここでは背丈が低く都会の空間に適したサイズになっちょります。東京のビル群の中にゆれる竹林に出会うたびにまっこと、ここの竹達を思いだすがぜよ。
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