福岡の秋月という所をご存じですろうか?かってここには秋月城というお城があって、今でも城下町の風情を残した、こじゃんと雰囲気のある町ですぞね、ここに九州産の葛にこだわり江戸時代から作り続けゆう老舗の廣久葛本舗さんがあるがです。
ユニークな武将姿で出迎えて頂く十代目高木久助さんとは話しが合いそうやと思いよりましたが、やっぱり合いましたぜよ。そして、色々と店舗や工場等ご案内いただきましたけんど、そもそも葛という食べ物自体、数えるくらいしか食した事がありません。原材料も見のは初めてですし作り方のこだわりなど聞くと知らない事ばっかり。まっこと驚くやら、勉強になるやらながぞね。
昔ながらの製法をずっと守り続けられよります歴史ある工場です。きっと拝見させていただきゆう内に何処かに竹が使われちゅうのでは?そんな風に思うて期待しよりましたぞね。今のようにプラスチックや便利な素材が普及するまでは竹ほど身近で使い勝手のよい素材はなかったがです。だから、きっと...と思いよったら案の定、こんな所にありましたちや。
けんど、こじゃんと真っ黒になっちゅうがぜよ。今はオフの時間みたいですけんど、毎日しっかり働きゆうがやにゃあ。美味しい葛を作りゆう自信のようなものを感じるがです。まっこと逞しい現場の顔をしちょります。
さて、秋月の商家は、まるで旅館さんか何かのような造り、昔から葛だけでなく和紙や染め物も盛んと言うだけあって綺麗な水が豊富にある土地柄なので、川の流れを中庭には引き込んで大きな池にしちょります。防火用水にもなる先人の知恵と聞きましたちや。まあそれにしても風流ながです。
そんな中で、とびきり美味しい葛きりと葛餅をご馳走になりましたぞね。手間のかかりゆう本物の仕事場を見せてもろうて、こうやって、その場で味わえることの幸せに感謝ながです。
人生で確か3度目の葛きりやったですけんど、噛んだ時の粘りも、スルッと入る喉ごしの滑らかさも今まで食べた事のある葛とは全然違うちゃあるがぜよ。呼び名は同じ食べ物でも、こんなに違いがあるがやにゃあ。本物を知る事がなかったら、今まで食べた事のある物が自分の知る葛そのものやった。よく思うたら同じ事が他にもあるがではないろうか?そうぜよ、竹虎が120年やってきた竹でも同じ事ですろう。
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