孟宗竹(もうそうだけ)は日本に成育する竹の中では最大級ですので、竹林でこの竹は大きいにゃあ、と思われたらだいたいがこの竹やと思うても間違いないかも知れません。孟宗竹は、この太さと、この長さがあるので昔から重宝されてきたがです。だから、元々は大陸から渡ってきて外来種であるにもかかわらず、現在では全国各地どこに行っても見る事ができるがではないかと思います。
ただ、他の地域では幾らでも見ることの出来る孟宗竹も、実は面白い事に虎竹の里ではほとんど見る事はできず竹虎の工場で使用する孟宗竹はトラックで遠くから運んできよります。なので昨年の夏のテレビ番組「ザ!鉄腕!DASH!!」 で取り上げて頂いた時、大きな孟宗竹を伐らねばならなくなって、こじゃんと困りましたぞね。あちこち心当たりの竹林を探してようやく太い一本を探しあて、番組の中でTOKIOの長瀬さんが伐り倒した伐り株は今見ても結構太いがです。
当然と言うたら当然ですけんど、虎竹の里に生えちゅう竹はほとんどが虎竹。けんど、ここの竹林は珍しく細い山道を挟んだ向こう側は孟宗竹の林ぞね。竹の種類は違うても同じ竹、まっこと青々として美しいがです。
ところで、孟宗竹が太いと言いましたが、太い竹が何でも孟宗かと問われるとそれは間違いで孟宗竹のように立派な太い真竹もありますし、反対に細めの孟宗竹じゃあちあるがです。その見分け方は結構簡単で節を見たらすぐに分かりますちや。真竹や淡竹(はちく)には竹節の部分のラインが2本あるのですが、孟宗竹の場合には節に1本しかありません。ここでハッキリと他の竹とは区別がつくがです。
ところが、やっかいなのは真竹と淡竹とですかにゃあ。日本唯一の虎竹は淡竹の仲間ですきに真竹と見分ける必要がありますけんど、実は明確な差がなかなか見付けられる最初は見分けがつきにくかったがです。入社の頃は、どこがどう違うのか職人さんに何度も質問しましたけんど、誰も教えてくれないがです、ただ一言「ずっと触りよったら分かるきに」
まっこと不親切やと、この時には思うたりもしましたけんど、いざ自分が教えるとなるとある程度の基準はあるものの、口にできない経験が頼りになるところはあるがです。まあ、竹と笹の明確な違いすらハッキリと解明されてないですし、虎竹の模様がどうして付くかも原因が分かっちょりません。自然は、まだまだ人の英知が及ばない事があると言う事ですろう。
コメントする