日本唯一の虎竹のタガをはめるおひつ作りも手作りですき、なかなか大変な所があるがです。木と竹は同じ自然素材と言うても随分と違いがありますきに、職人さんにお話しを伺うと意外に知らない事か多くて、まっこと時間を忘れて話し込んでしまいますぞね。
これからのモノ作りには工作機械を上手く使い、少しでも効率化していく事も求められちゅうと思います。けんど、昔から作られてきた伝統の技術には、やはり人の手仕事が出来映えを左右する部分が多くあるがぜよ。たとえば大量生産の工場では、おひつの内側を機械で削るのが普通ですが、ひとつ、ひとつ丁寧に仕上げていく職人さんのおひつはすべて手削りでカンナをかけて仕上げていくがです。
シャカシャカ......
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手早く動くカンナかけの仕事が終わって内側を手で触れてみたら、まっこと木の板を貼り合わせたばかりの時のと比べたら見た目では少しの違いしかないように思いよりましたが、圧倒的な手の感触の違いに、ちっくと驚きますぜよ。機械でこの工程を仕上げると綺麗なように見えちょっても、実は細かい木の繊維が粗く毛羽立つようになっちゅうそうです。その反面、カンナ掛けでの手削りは木の繊維をスッパリと切る感じ、こうすることにより水切れがよく乾きやすくなり使用しているうちに発生する黒ずみを抑えてくれるがです。
生活の中で使う道具たちは、職人の手で完成した時が終わりではなく、実はそこからがスタートながです。竹細工は丸い竹を切ったり、小割する程度の事は機械の力を借りる事もできますけんど、その後の細やかな工程は、ほとんどが職人の手に頼る事になります。長く使う間に、どうなるか?使いやすいか?愛着が湧くものか?手作りしたものならではの温もりや使い勝手の良さは、木であっても、竹であっても同じことながです。
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