一番の作務衣

作務衣,さむえ,SAMUE,竹虎四代目(山岸義浩、YOSHIHIRO YAMAGISHI、TAKETORA)


作務衣は動きやすい上に汚れも気になりませんし、中に着る衣類を工夫したら一年通してずっと着られる、まっこと便利な衣装だと思うちょります。やっぱり昔からずっと継承されてきた事には、一朝一夕では分からないそれなりの理由というものがあるがぞね。


最初に作務衣を着たがは職人の先輩方が着こなしているのを拝見して、その色落ちや、形、生地の厚みの風合いなどが、こじゃんと格好エイと思うたきながです。そこで、まず最初は土佐紬という地元の生地で作務衣を作ってもらい、店の制服として使いよった時期があるがぞね。ところが、残念ながら長い伝統を持つ土佐紬の生産が後継者不足でしたか終わってしまう言う事で、その後の作務衣についてはあれこれ目についた数社のメーカーさんのモノを着よりました。


けんど、着こなしている内に生地であったり、細かい仕様が気になってくるものが多いがです。やはり自分達の場合にはたまの休日にリラックスする。室内着のような着方ではなく、仕事着として毎日着用するものですので中途半端な妥協はようせんなってきたがです。当時はインターネットなどありませんでしたので、職人仲間の方に聞いたり、本で探したりして更に色々な作務衣を試しているうちに、藍染めにこだわりがあり着心地もしっくりくる作務衣メーカーの笹倉玄照堂さんに出会うがです。


永六輔さんがイメージキャラクターをされていた会社様で、昔ながらの藍染めと言われるだけあってから生地の色落ち具合がなかなかエイ感じ。ちっくとジーパンの色落ちを楽しむような感覚で着られるので、このメーカーさんと出会うてから作務衣を着るのが更に楽しゅうになったようにも思いよります。冬用の特別厚手の生地のものを除いては、今では十数着ある作務衣のほとんどが笹倉玄照堂さんのものながです。いっつも自分が作務衣でいるせいですろうか?作務衣が欲しいと言われる方もおられますきに、背中の首に近いところに竹虎ロゴマークを刺繍していただき使い勝手がエイようにお尻にポケットを付けていただいたオリジナル作務衣を数年前よりお願いして作っていただきよります。


いやいや、けんど、繊維関係のメーカーさんの宿命やと思いますけんど、歳月と共に糸も変わるので生地が変わってきます。サイズや仕様も微妙に変更されちょります。もちろん、だんだん進化してきちょりますし、今の作務衣はそれはそれで素晴らしいものではありますぞね。けんど、ずっと昔に自分が一番好きやった、藍の色合いの濃い廃盤になってしもうちゅう作務衣がリバイバルで、又出来ないやろうかにゃあ。作務衣は長く愛用して色落ちを楽しめるものですきに、時々、そんな叶わぬ夢を思うてみたりするがぜよ。


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