竹と日本人は昔から長い長い付き合いがあって、身近で使いやすい素材でもありましたので、実に様々な用途に竹は活用されてきちょりますぞね。まさに、稈の部分はもちろん、小枝、竹葉、そして根まで、一本の竹を伐り倒したら捨てる所がないと言うくらい使ってきたがです。
そうそう、忘れてはイカンのが筍ぜよ。毎年季節になったら種を蒔くでも育てるでもなく、竹は勝手にドンドンと筍を出してくれますきに。時には食品として食卓を飾り、日本中の胃袋を満たしてきちょりますぞね。そんな竹ですけんど今回の急須は竹から作られちゅうがですが、一体竹のどこの部分ですろうか?もしかしたら、急須本体の白い筋のように見える所がなかったら、竹のどの部分か分からない方も多いかも知れませんちや。
白く見える筋の所には小さな丸い模様がみえるかと思いますが、実はこれが、ひとつ、ひとつ竹の細い根っ子部分ぞね。急須本体は竹の根の一番太く大きな部分をくり抜いて創作されちょります。漆で美しく仕上げられた本体に細い竹根の持ち手が映えて、まっこと素晴らしい作品ぜよ。
残念なことに、このような竹根細工の伝統は消えて今では何処かで見るという事は少なくなっちゅうがですが、一昔前にはこんな技術があり、お茶席に招かれた沢山の方々の目を楽しませよったがですろうか。竹の急須が物語る事は少なくないように思うがです。
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