日本の竹林が荒廃しちゅうという話しを良く耳にされる方もおられるがではないですろうか?直接の原因としては、竹が使われる事がなくなったと言うのが一番大きいがですが、テレビや新聞などで、あたかも竹が悪者のようなそんな言われ方をされる事がありましたけんど、それは大きな大きな間違いですぜよ。
竹林の問題で名指しされるのは、孟宗竹と言われる直径が20センチ近くにもなり高さも20数メートルになる国内最大級の竹の事ですが、そもそも日本に昔からあった種類ではなく、江戸時代に中国から運ばれてきた竹ちや。大きな竹だけあって、筍も大きく美味しいので食料として重宝され、また生活用具や建材などとして生活にこじゃんと役立つ、言わば当時の新素材と言うても良いような存在やったはずながです。
それが証拠に、全国津々浦々、どんな山奥などでも人の営みがあった場所ではこの孟宗竹を見ることができますぞね。竹は地下茎で広がる植物で開花は60年に一度とか言われちょりますが、研究されゆう先生によっては数百年単位とも聞きますきに、日本の孟宗竹は自然に広がったという事は考えにくく、食料にもなるし、太くて長くて軽い、おまけに筒状になっている。素晴らしく便利な植物として沢山の方が株を分け合い、その地域、地域に持ち帰り大切に植えたのだと考えるのが自然ぜよ。
こうやって人間の都合で植えて増やしちょってから、今まで食べ物として、道具として、命と暮らしを支えてきてくれた竹、親しみ、お世話になってきた竹ですき、間違うたち「悪者」ではないですぞね。悪いとしたら管理をしない人間の方ですろう。けんど、竹は毎年生えて爆発的な成長力と生命力を持っちょりますので、しっかり管理をしないと別の場所にドンドン広がっていくのも事実。今の暮らしの中で、どうやって竹と共存するかがこれからの大きなテーマとなるかと思うがです。
実は日本にはNPO組織やボランティアで竹を伐る団体が結構あるがです。先日拝見した横浜の竹林も見事に手入れされちょりました。すぐ近くに、こんな心地のよい風の吹き抜ける竹林があり、散歩できる小道があることは何と幸せな事やろうか?これからの竹の未来は、もしかしたらこんな所にもあるかも知れんにゃあ。多くの人が暮らすマンションのすぐ近くに広がる竹達をみながら思うたがぜよ。
困っちゃあるのは手入れした後の竹の処理ですろう。活用する方法がなかったら伐採した竹をそのまま一定のサイズに切断して、そのまま竹林にまとめて置いちゅう所も何カ所も見ましたが、ハス切りの筒にしつらえて中にロウソクの灯りを入れていつもの竹と違う顔を見せてもらえる事も多くなりましたぞね。昼間の竹林は清々しゅうて、やっぱり最高ですけんど、都会のコンクリートに囲まれて生活されよりましたら、夜の静けさとずっと向こうまで続く竹灯りにじわじわと癒される方も多いのではないですろうか。
竹を伐って、筒を作り、灯火をする。沢山の地域の方の手助けがないと出来ない竹のイベントを通して地域の輪が広がっていくのは、竹が地下茎でお互いが手を握りあり、助け合うのに、そっくりぜよ。竹の催しの本当の意味はここにありますろう。