斎藤正光さんは日本一の竹籠コレクターとして有名な方ながです。十年ほど前に竹虎にもお越し頂いた事があって、祖父や父が集めた作品をご覧いただいた事もありますけんど「こんな田舎に、これだけ沢山の作品があるのは珍しい...」確か、そんな事を言うて頂いたがです。
竹虎の場合は、集めようとして集めたというよりも竹職人や作家の方とのお付き合いの中で、自然に色々な竹細工が増えてきたと言うのが正しいかも知れません。今でも自分が工房にお邪魔して竹編みに魅入られちょりますと「それ、持って帰り...」そんなビックリするような事を言うていただき、ひとつ、ふたつ持ち帰らせてもらう事があるがぞね。
まあ、けんど、そんな竹ばっかりの中で育ち、まったく興味のなかったものが少しづつ関心を持ち始め、最近は少しづつ価値も分かりはじめて来た自分と違い、斎藤さんの場合はまったく竹とは関係のない所から竹に魅了され驚くような作品の数々を集められちゅう。まっこと面白い、凄い事ながです。
そもそも竹には、そんな人を引きつける力があるし、日本人と竹は長い長い付き合いですきに今まで全くご存じなかった方ですら、ある時、竹の血が騒ぎだす事もありますろう。去年でしたか、大分で飯塚琅カン斎さんの作品を拝見して、こじゃんと圧倒されましたけんどこれも斎藤さんのコレクションやと聞いて、今日の再会はなるべくしてなったがやにゃあと感じましたぜよ。
竹が身近でなくなって、振り向いてくれる方が少なくなって、竹は、ちっくと寂しい思いをしよります。そんな中、数少ない同志...。斎藤さんのようなご高名で立派な方に自分のような田舎の竹屋が失礼やけんど、自分は竹の同志のような思いで、時間を忘れた午後やったがちや。
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