2合米とぎマタタビざる

マタタビ米とぎざる


マタタビは水にも強く、丈夫で粘りのある、米研ぎざるに編み上げられても最高の素材のひとつながです。一見すると、どこにでもあるうな黒っぽい小枝ですけんど、その木の皮を剥いだら白い木肌が表れるがです。


知る人ぞ知る、根強いファンの多いマタタビざるの中でも、この可愛い大きさはどうですろうか?内径が14センチの何とも言えず愛らしいサイズ。別に何に使うという事でもなくても、ついつい思わず手が伸びてしまいそうですちや。米研ぎに使うとしたら2合炊き用。都会に一人で暮らす女性の方だけではなくて、最近では男の方でも自炊されゆう事も多いと聞きますぞね。


若い独身の皆さんが自分用のご飯を炊くのに、もし、こんな米ときざるを使うて頂ける事があったなら、小さなキッチンに、こんな自然素材の笊がさりげなく干されていたとしたら、昔ながらの手仕事も少しづつ見直されてくるかも知れませんちや。


竹の壁

竹の壁


日本唯一の虎竹は、この竹の里にしか成育しちょりません。けんど、この竹の里にある竹が全て虎竹かと言うたら、実はそうではないがです。毎年、今頃から翌年の1月いっぱいが虎竹伐採のシーズンですけんど、山から運び出された竹は1本づつ選別していきます。太さ、色づき、キズなど分けていって、色づきが良いものだけを虎竹の製品としていくがです。


この時にB級品として落とされた竹の利用法の一つに壁竹への転用があったがです。昔と違い現在では新建材等で壁材も色々あるようですが、土壁の時代にはその下地として竹を格子に組みよりました。細い竹はそのままで組まれたりしちょりますし、太さのある竹は一定の幅に割って平たい竹ヒゴの状態で使われよりました。下地ですので色づきもキズも関係ありません。自分が入社した当時は虎竹のB級品が毎日のように壁竹用に加工され、10トントラックに満載してお得意先様の所に届けられよったかです。


さて、そんな壁竹とは、実はまったく違うのですが、大分県にある竹の学校にある竹の壁。恐らくコンクリートを塗る時に孟宗竹をハメ込んじょって、自然の竹そのままの型を取ったのではないろうか?節の形や、1本づつ違う竹の面白みがでちょりますぜよ。竹に取り組む若い方達の学舎にふさわしい壁の前で、作る横から都会に運ばれて行きよった壁竹を思いだすがです。


漆仕上げの虎竹下駄

虎竹下駄


鼻緒の履物を履く事が多いですけんど、どれもこれも竹ばっかり。よくよく考えたら普通の下駄や雪駄やスリッパはないがぜよ。竹や竹皮で作られた履物しか履きよりませんが、そんな中でもピカリと光る渋さの虎竹下駄。


漆で仕上げられちゅう独特の雰囲気。どんな鼻緒が似合うろうか?下駄の季節は過ぎちょりますので来年のシーズンまでにじっくり合わせてみろうちや、そう思うて傍らに置いたままになっちゅうがです。


履物は、その宿命でもありますけんど、気に入って使うたら使うほど底がちびてきます。下駄箱にはそうやって履けなくなったものがありますけんど、これが愛着が湧いて来てしもうて捨てられないがです。この虎竹下駄も履けなくなったとしても、一生手元におってくれますろう。竹の下駄には、そういう所がありますぞね。


干し野菜のススメ

雑誌「野菜だより」


雑誌「野菜だより」という本がありますけんど、野菜の作り方を綺麗な写真で分かりやすく掲載しちゅうなかなか面白い本ですぞね。野菜の作り方というてもキッチンガーデンと言うて、台所で料理をしている途中にでもちょこっと庭の畑で足りない野菜を取ってくるとか、ハーブをちぎるとか、ちっくと贅沢な生活ですけんど、まあ、家庭の主婦の方など一般の方を対象にしちょりますので多くの方が楽しめる本ではないですろうか?


けんど料理の途中で、足りない野菜をちっくと...などと聞くと、思うたら自分の母などはよく裏の畑で白菜や大根など土のついたまま取ってきよりましたきに、田舎の方では日常的な事かも知れませんちや。そうそう、野菜を取ってくる言うたらもう一つありますぞね、香川にある饂飩屋さんを思い出すぜよ。完全セルフのお店やけんどネギも自分で切るそうで、切るネギがなくなったら「そこの裏口から畑のネギ取ってきて...」まっこと長閑な感じやけんど、新鮮そのものやし生産者と消費者の距離がある現代には、こじゃんと魅力的な事でもありますろう。


さて、この雑誌で干し野菜の特集をされちょります。そもそも冷蔵庫などのなかった昔には野菜を保存しようと思うたら漬け物にするか水分をとって乾燥させてるしかなかったがです。必要にせまられた保存方法やったかも知れませんけんど、実は野菜の旨みが増したり、食感がよくなったり、美味しく野菜を食べるには最高の方法ながやそうです。


母は使い込んだ大きな竹笊に大根やらニンジンやら干しちょります。干し大根など煮付けたら、こじゃんと美味いあの旨さは太陽の恵みでもあったがやにゃあ。温かな虎竹の里の秋の陽射しを思い浮かべると必ず干し野菜が出てくるほど、自分の中では、まっこと当たり前の光景やけんど野菜を干す事は別に田舎や農家さんだけの風物詩ではないがぞね。都会のベランダでも十分にできるそうですし、野菜を無駄にすることもなく美味しく食べられるますき是非チャレンジされませんろうか。


斎藤正光さんとの再会

一穂堂、斎藤正光さん


斎藤正光さんは日本一の竹籠コレクターとして有名な方ながです。十年ほど前に竹虎にもお越し頂いた事があって、祖父や父が集めた作品をご覧いただいた事もありますけんど「こんな田舎に、これだけ沢山の作品があるのは珍しい...」確か、そんな事を言うて頂いたがです。


竹虎の場合は、集めようとして集めたというよりも竹職人や作家の方とのお付き合いの中で、自然に色々な竹細工が増えてきたと言うのが正しいかも知れません。今でも自分が工房にお邪魔して竹編みに魅入られちょりますと「それ、持って帰り...」そんなビックリするような事を言うていただき、ひとつ、ふたつ持ち帰らせてもらう事があるがぞね。


まあ、けんど、そんな竹ばっかりの中で育ち、まったく興味のなかったものが少しづつ関心を持ち始め、最近は少しづつ価値も分かりはじめて来た自分と違い、斎藤さんの場合はまったく竹とは関係のない所から竹に魅了され驚くような作品の数々を集められちゅう。まっこと面白い、凄い事ながです。


そもそも竹には、そんな人を引きつける力があるし、日本人と竹は長い長い付き合いですきに今まで全くご存じなかった方ですら、ある時、竹の血が騒ぎだす事もありますろう。去年でしたか、大分で飯塚琅カン斎さんの作品を拝見して、こじゃんと圧倒されましたけんどこれも斎藤さんのコレクションやと聞いて、今日の再会はなるべくしてなったがやにゃあと感じましたぜよ。


竹が身近でなくなって、振り向いてくれる方が少なくなって、竹は、ちっくと寂しい思いをしよります。そんな中、数少ない同志...。斎藤さんのようなご高名で立派な方に自分のような田舎の竹屋が失礼やけんど、自分は竹の同志のような思いで、時間を忘れた午後やったがちや。


竹のジャンプ台

竹編み


オリンピックなどの競技で色々ありますけんど、自分が絶対に出来ないと思うものの一つにスキージャンプがありますぞね。テレビで見ただけでも、急な角度のジャンプ台は高所恐怖症の自分が実際に立ったとしたらヘナヘナと腰がぬけてしまうような凄い角度やと思うがです。


いやいや、あくまでも想像ですけんど、恐らく滑りだしたら滑るというより真っ逆さまに落ちる?そんな感覚とスピードではないろうか?そんな所から飛び出して100メートルもいって着地するがやきに。まっこと神業とした思えんがぜよ。そんな事を思いながら、さっき職人さんが作りかけちょった竹籠を見て、ドキリッ!!!!!もしかしてスキーのジャンプ台に似いちょりませんろうか!?


先の方が狭く急な角度になってくる竹編みに、思わず吸い込まれそうになりますぜよ。なんちゃあない、竹工場にもジャンプ台があるがやにゃあ。こりゃあ、イカンちや、気がつきませんでしたぞね。ちっくと自分もここから高く飛び出さんとイカンろうか?


竹虎前掛けリュック

竹虎前掛けリュックサック


美味しそうな柿の木の下を歩きよったら、上から竹虎前掛けで出来たリュックサックが落ちてきた...。もちろん、そう言うワケではないがぜよ。竹虎前掛けショルダーバックを使いよって、なかなか、のうがエイ(具合が良い)のでもしかしたらリュックサックも出来るがやないろうか?そんな事を思いよった所で、出会いがあるもんぞね。こじゃんと(とても)腕のエイ、そしてモノ作りに情熱のある職人さんと出会うたがです。


けんど、人は年齢やないですにゃあ。その方も普通で言うたら立派な「おばあちゃん」ですけんど、まっこと鞄の話しを始めたら若い、若い、目がキラキラ、口はペラペラこれぞ土佐のハチキンぜよ!自分のモノ作りへの自信、そしてこだわり。歳を忘れさせるようなパワフルさに圧倒されて正直あんまり関心のなかったリュックを、ハッと気がついたら、いつの間にか作っちょりました。柿の木の上から落ちてきた...。うんうん、そう言うたら、このリュックが出来た経緯はあながち間違うちょりはせんかも知れんにゃあ。


自分などは昔からリュックサック言うけんど、今時はバックパックとかナップサックとか呼びますろうか?まあ、呼び名はどうでもエイですけんど、リュックは両手が自由になるきに行動範囲が広がりますぞね。試しに、コレひとつで一泊旅行に出かけましたぜよ。


小さく見えますけんど、下着とかデジカメとか最低限のものは十分入る。それで両手はフリー、これは快感やったにゃあ。まっこと使い勝手もエイし、ご覧になられた人の評判もエイ。今は一つしかありませんが、いくつか縫うてもらおうかにゃあ。出来ましたら又皆様に紹介してみたいと思うちゅうがです。


山ぶどうの持ち手

山ぶどうの持ち手


小さい頃には、おじいちゃん子やったがです。全国各地に出張する車の中で、おばあちゃんと遊び道路沿いの果物屋さんで買うた梨を剥いてもろうてお腹いっぱい食べた事を、まっこと昨日の事のように思いだしますちや。大きくなり、大学を卒業して竹屋の仕事を始めてからも忙しい母に変わり祖母に食事の面倒を見てもらう事が多かったぞね。なので、おばあちゃんの使いよった食器は今でも色々と大事にしよります。


もともと竹虎は大阪が創業の地で祖母は大阪の食堂の娘さんとして育ちました。母の作る田舎の料理はお袋の味で格別ですけんど、祖母は、それとは又違うた洒落ているワケでは無いですけんど、ひと手間かけたような、こじゃんと美味しいご飯を作ってくれるきに、食事の時間はいつも楽しみにしちょりましたぞね。自分が食べることが大好きながは、たぶんおばあちゃんの影響ですろう。


休日などに肉料理を盛り付けるのは、祖父や祖母と「テキ」を食べた懐かしいレトロなお皿。好物のおかずをいれる時に使う小鉢は、おばあちゃん得意のシシトウの甘辛煮を入れよった淡い空の色のような器。温かい思い出と共に二倍も三倍も美味しくなるがですけんど、そんな食器の中にひとつの茶瓶があるがです。


毎日、食卓の上にあって家族を見守ってくれちょった茶瓶。いつから使いゆうか分からない位前からあるものぜよ。けんど、茶瓶で一番傷みやすいのは、やっぱり持ち手。竹の籠バックなどと同じやにゃあ。籠バックの持ち手やったらすぐに直せますけんど、茶瓶はどうしようか...?まだまだ使いたいににゃあ...。そう思いよった矢先に、職人さんが山ぶどうのツルで同じように茶瓶の持ち手を直しちゅうのを発見ぜよ!


山ぶどうはご存じの方も多いかも知れませんけんど、使えば使うほどに色合いが深まり何とも言えないような渋みと光沢になってくる逸品素材。こりゃあ、へんしも(早く)直しとうせやと、お願いして、こしらえて(作って)もらったのが野趣あふれる感じのこの持ち手ぞね。


籐巻きが緩んでしもうて、恐る恐る使いよった時と違い、しっかりした持ち心地で安心して使えるぜよ。さすが職人の手というのは素晴らしいちや、まっことエイ仕事をしてくれちょります。持ち手の出来映え見て、おばあちゃんも喜びゆうがやないですろうか?


虎竹名刺入れの革

名刺入れ木型


竹と革を合わせた商品がいくつかあって、その中のひとつに虎竹名刺入れがあるがです。もう何年も前になりますけんど、自分がアイデアを出して世に出た商品でもありますきに思い入れがありますぞね。


誰かに売りたいと思うて作ったものではなくて、自分が使いたいと思うたものですきに、上代の事や手間の事は全く考えずに製作しちょります。だから知らない方が見たら、ちっくとビックリするかも知れませんけんど、これも別に売れなかったら売れなかったで虎竹の事を知ってくれて好きになってくれた方に差し上げてもエイきにゃあ。まあ、それくらいの気持ちで作った名刺入れながです。


竹の事を気に入ってくれたお客様に「ただでもエイき、もって帰ってや!」そう言うて笑いよった父親を見て「あんなになったらイカン、ひとつも儲からんぜよ」ずっと、そう思うてきましたけんど、いつの間にか同じになっちゅうがぞね、まっこと不思議ちや。


名刺入れ革


広い一枚革を小さく切って使いますし、どこをどう使うていくのかは職人さん次第ぞね。だから、行かなくても大丈夫とは思いながらも、この名刺入れだけのために東京の革問屋さんに行って一枚、また一枚とめくりながら革を自分で選ぶがです。


竹屋さんが革屋に来て何をしよりますろうか?ちくと怪訝な顔もされましたけんど、どうしても使うほどに味わいが出る革で作りたくて、硬くて細かい細工には全く不向きと分かっちょりながら植物タンニンなめしで色合いも自分にグッとくる。そんな素材がないろうか?と思うて出かけていくがぜよ。


お陰様で少しづつでもご用命いただく事がありますきに、一応ロングセラーとして作り続ける事ができよります。まっこと全国の皆様には感謝の気持ちでいっぱいですけんど、こんな小さな名刺入れにも、いえいえ小さいからこそ、それぞれのパーツごとに木型があり縫製ひとつ取っても細やかな仕事に秘密が隠されちょります。


緑に囲まれた静かな工房で命を吹き込まれ、数え切れないくらいの新しい出会いに立ち会う彼ら。人の印象は最初が、こじゃんと大切で、その時の記憶はその後もずっとずっと続くと何かに書いちょりました。だとしたら、やっぱり名刺入れは大事なツール。好印象を持ってもろうて忘れられないようになる一助になったらエイぜよ。何と言うたち自分がいつも助けられよりますきに、日本唯一の虎竹には、そんな力があるように思うちゅうがです。


さすがの竹皮草履

竹皮ぞうり


竹虎の竹皮草履(ぞうり)は、お陰様で沢山の方にご愛用いただきよりますが、その編み込みの緻密さと丁寧さが売りながです。草履に細かく筋が入った様に見えるのが一枚、一枚、竹皮を編み込んだ模様ぞね。ギッシリ詰まっちょりますきに、こじゃんと(とても)丈夫で、履き心地もバツグンながです。


昔は全国どこでも草履を履きよった時代がありました。素材は身近な藁やイ草等、竹皮とは違うたとしても同じような作りで編まれた草履は珍しいモノでは無かったはずぞね。だから昔の草履をご存じの方やったら、この竹皮草履の出来映えの良さは分かっていただけるのです。


都会のデパートに売り出しに行っていた頃には思わず足を止めてくださるお客様が多かったちや。そんな中には、子供の頃に草履を作った事がある方も多く、都会でお暮らしの方やのにどうして草履の編み方を知っちゅうろうか?不思議に思うて話しを聞かせていただきよったら、戦時中の疎開先で地元に方に習うて作ったという方が多かったにゃあ。そして、手元にある竹皮草履を口々にお褒めいただきましたぞね。


「これは美しく編めているね!」


「なかなか、こんなに上手く編めないのよね~」


けんど分かって頂きたいのは手作りや言う事ぞね。機械で作るワケではないので職人の手によって大きさが多少違うたり若干いびつな形やったり、前ツボの長さも微妙にズレている事もあるがです。


もちろん、しっかり検品してからお客様にお届けしますが、普通の靴やスリッパのように型どおりのモノがドンドン出来るワケではないきに、違うのが当たり前とまでは言わんですが、どうかお分かり頂きたい所があるがぜよ。多少左右で形が違うても実はご愛用には全く差し支えがないですし、一回履いていただいたらこんな気持ちのエイ履物があったろうか!?驚くばあ感激してもらえる自信があるがです。


こうやって板の間にポツンとしちょってもなかなかエイ感じの面構えですろう。まっこと履かずとも伝わるような雰囲気。さすが竹皮草履ながです。夏だけでなくて、これからの寒くなる季節でも、最近はすっかり定着しちょります五本指ソックスでどうぞお試しください。自然素材の優しい温もりを実感いただけますぞね。


変わった白竹盛り皿

白竹盛り皿


これは又変わった竹細工ですぞね。竹編みの中央に木製の板がはめ込まれちょります。お盆としても使えなくは無いような雰囲気ですが、それは、ちっくともったいないですろうか。


どちらかと言うと座卓のような使い方が一番やにゃあ。秋の夜長ですきに縁側などに持ち出して、座布団で囲んで風流に過ごすのにはバッチリぜよ。竹編み部分が二重編みになっちゅうので、持った時に独特の柔らかさがあって、こじゃんと扱いやすいのも気に入っちゅうところながです。大きさから言うて飲み物だけ置いたとしてもせいぜい三人までくらいやろうか?そんな事を話しよったら、いやいや、そんな事はないぜよと横槍がは入ります。


「一人に一台づつあったらエイやいか...。」


ああ、なるほど、まっことその通りですちや。けんど、そうなったら、なかなか高価な宴席になりそうですぞね。


時の廊下

瀬戸内国際芸術祭


瀬戸内国際芸術祭に行く機会があったがです。日頃は竹ばっかり見よりますきに、たまにはアートもエイかも知れんと思いよりましたが誘われて来たものやきに右も左も分からず、とにかく集合場所の男木島に到着したがぜよ。


時計を見たら待ち合わせの時間までは随分とあります。この島にどんな作品があるのかも全く分かりません。まあ、とりあえず港から足の向くまま歩いてみたがぞね。民家の間をぬうように続いている細い急な階段を登っていくと、テレビで見た事のある尾道の光景を思い出しますちや。同じ瀬戸内海やき似ちゅうがですろう。


そんな事思いよったら、ふと一軒の民家に足が止まりました。西堀隆史さん言う方の作品を展示しちゅうそう。妙に気になって、ちっくと見て行こうかにゃあ。そう思うて中に入って龍馬ブーツを脱ぎかけた手が止まったきに、前を見て、こじゃんと驚いたぜよ!まっことビックリ!


時の廊下


口々に「待ちよったきに!」そんな声が聞こえたような気持ちになりましたぞね。正面にズラリと並んで出迎えてくれちゅうのはなんと和傘の骨たちやきに。上にあがったら「こっち、こっち」誘われるように右手奥の部屋へ入っていくがです。


時の廊下


なるほど、どうして今日ここに来たのか分かったちや。オマンらあが呼びよったがやにゃあ。竹虎は今年で創業119年になりますけんど、もともとは初代宇三郎が和傘の骨材の竹などを扱う事から竹材商として営業をはじめたがです。明治27年当時の曾じいさんの家もこんなやったろうか?


ちゃぶ台


ちょうど、ちゃぶ台もある。イト曾ばあさんが食事の支度をしよりそうぜよ。壁も天井も竹ばっかり、こんな竹に囲まれて二人でどんな話しをしたがかえ?幸せやったろうか?ワシの事は見てくれよりますろうか?迷うてばっかりやけんど竹みたいに真っ直ぐいけよりますか?畳の部屋に腰をおろして気がついたら1時間も過ぎちゃある。まっこと「時間の廊下」やにゃあ。


シンプルで格好のエイ竹箸置き

竹箸置き


お箸は毎日使うものですきに持った感じや、使い心地など色々とこだわりのある方も多いように思います。自分も虎竹箸など数膳持っちょって気分で使い分けたりするがです。けんど、お箸には気を使われる方でも箸置きはどうですろうか?


実は先日、こじゃんと格好のエイ、渋い竹箸置きを見せていただきましたぞね。まず、まっさきに目がいって、思わず魅入りましたちや。孟宗竹の身の厚いところを使うて、まっこと迫力満点に作られちょります。竹に限ることではないかと思いますが、シンプルな造形ほど作り手のセンスが問われるようで、簡単そうに見えて難しい所があるがでは無いろうか?


この箸置きにしても竹の幅、厚み、節の位置、そして、それぞれ違えた色合いなど製作された職人の方はかなりの腕前の方やろうにゃあ。画像には写っちょりませんが底面に金属板から打ち付けられて、安定感もあるし更に質感を高めちゅうような気がします。ちょっとした、あしらいで竹はこんなにシンプルでありながらスタイリッシュになるがやにゃあ...。まっこと、自分の知らない竹ばっかりやとつくづく思いゆうがです。


竹林の一角に

竹林


日本各地にある孟宗竹はタケノコを採らなくなったため、放置されて、荒れ放題になっちゅう所が多いがです。生命力の強い竹がドンドン生えて、うっそうと茂り、ちっくと薄暗い竹藪には立ち枯れした竹が密集して、こりゃあ、まいったぜよ...歩く事も難しい...。そんな竹林も実は多くあるがです。けんど、ここの竹林は、こじゃんと手入れされちょります。明るい陽射しの差し込む向こうから、適度に間隔の開いた竹の間から心地のエイ風が吹き抜きていくがぜよ。まっこと清々しい気持ちになってきますちや。


そんな竹山を大きく迂回してきた麓には、竹で囲われた一角がありましたぞね。どうして竹で仕切りを作っちゅうがやろうか?何をしゆうがやろう?そう不思議がる方も多いかと思いますが、実は、そうながです堆肥を作りゆうがです。


竹林の整備の大きな課題の一つに伐り出した竹の使用方法があるがです。竹を伐採しても用途がなく、結局、短く切断して竹林に積み上げちゅう。そんな光景も見る事がありますが、細かく砕くいて堆肥場に置いておいて竹林に戻して肥料すると一石二鳥ながですぞね。


竹箸の刻印方向の変更

虎竹箸


虎竹箸等へのレーザー刻印はお名前だけてなくてメッセージなども入れれますきに、お陰様でなかなかお客様に好評を頂いちょります。そんな中、漢字の名前だけでなくてローマ字の刻印も色々とご用命いただきますが、お客様からご提案を頂戴したがです。


右手でお箸を使われる方が多いと思いますけんど、それやったら右で持った時に以前のままの刻印の方向やったら文字列が反対になるがです。漢字の場合は、箸先に向かって文字が並ぶのが普通と思うてずっと刻印をしてきましたけんど、ご提案内容を検討したら、なるほどその通りかもしれんにゃあ...。そこで話しあうて、右手でお箸を持った時に文字列が正しく見えるよう刻印の方向を変更させていただいたがです。お名前も、メッセージにしてもそれぞれ思いのある、こじゃんと大切な事です。少しでも喜んでいただけるように変えていきたいと思うたがです。


ほんの、ちっくとの変化ですけんど、この「変わる事」でお客様に喜んでいただける事が少しでも増えるとしたら、まっこと嬉しいがです。ご意見いただくお客様に本当に感謝です、ありがとうございます!


底の曲線が美しい竹籠

高足真竹かご


この竹籠の見せ場は底の部分ぞね。上からみたら、幅広の竹で粗く編まれた四ツ目編みが横の細い竹編みと対照的で、こじゃんと面白いがです。機能的にも優れちゅうし、見た目にも印象に残る。こじゃんと(とても)素晴らしい竹籠やちや。何にでもご愛用いただけそうですけんど、こんな竹籠がひとつリビングにあったらそれだけで雰囲気が和みそうなそんな存在感は確かに持っちゅう籠ながです。


竹籠の経年変化


けんど、本当の値打ちは横から見た時の底中央部分に向かうて描かれるカーブのライン。底四隅の足だけで、しっかりと籠全体を支える格好のエイ形。これが、しびれる高足真竹かごながです。さらに、真竹の表皮を「磨く」と言うて、薄く薄く、表皮を剥いだ竹ヒゴで編んじょりますので、お使いいただくうちに飴色になりだんだんと色合いが濃くなっていく、言うたら成長する竹籠ですきに、まっことたまらんがぞね。


 

ねこ籠の季節

虎竹ねこ籠バック


高知でも今年は特別汗ばむような陽気が続いちょります。ようやく今朝あたりは涼しゅうになってきました。南国土佐では、爽やかな気候ですけんど、もっと北の方にお住まいの方は、もしかしたら、もう随分と寒いがかも知れません。「ネコはコタツで丸くなる」そんな唄にもありますけんど、竹虎にはねこちゃん御用達の虎竹ねこ籠バックなるものがあるがです。ご存じでしたろうか?


いえいえ、実は別に猫の寝床としての竹籠ではないですぞね。口が広く、たまたま好んで入る猫がおった事から名前が付いたがです。けんど、よくよく考えたら虎もネコ科やき、大きな猫と言えますろう。そしたら「虎竹」は「大猫竹」と言うてもエイがではないろうか?


虎竹猫籠は、大猫竹猫籠か...?


むむむ...。


ちっくと複雑になってきましたけんど、まあ、親戚みたいなものやにゃあ。という事は確かかと思うちょります。(笑)


山口龍雲作花かご

山口龍雲作花籠


以前、渡辺竹清先生に見せていただいた山口龍雲作の花籠のお話をさせてもろうた事がありますけんど、その時に、実はもう一つ拝見させていただいたのがこちらの魚籠花かごながです。


山口龍雲さんの作品というと、緻密さと豪快さに圧倒されるオブジェのような新しさを求めて常にチャレンジさせゆうような、そんな作品ばかり存知上げちょりましたが、これは違うちょりました。


生活感がにじみ出るような、作り手の暮らしぶりが竹編みの向こうに見えてくるような、ホッと心安らぐ竹細工を生み出せる技量はまっこと凄いです。この技あってこその、驚愕させるような芸術作品ながやにゃあ。今も昔もずっと変わる事のないであろう。何かを創造する方には、全て共通する基本の大切さをしみじみ感じる花籠ながです。


ラーメン店の竹シェード

竹シェード


竹はどこにあるがやうろか?竹細工は最近見なくなったにゃあ。などと声を聞く事がありますけんど、その実、竹が周りから少なくなった言う事もありますけんど、竹に関心が無くなった言う事もあるかも知れませんぞね。


たとえば、ふらりと入ったラーメン店。こうやって上を見上げたら何と年期の入った渋い竹のシェードが使われちゃある。この下で今まで何人のお客様が、フーフー、、、ツルツル、、、舌鼓を打ったか分かりませんけんど、この格好のエイ竹細工に気がついた方は何人おりますろうか?


は日本人にとっては、こじゃんと身近な素材でずっと昔から生活の中にとけこんで来たモノの一つ。ちっくと皆様の頭から離れがちになっちゅうのは、ほんのここ数十年の事ながです。だから、周りを見回してみとうせや。おまん(あなた)に、気づいてもらいたい言うて意外と近くに竹があるかも知れませんぞね。いやいや、きっとあるハズですぜよ。


 

竹籠デザインの理由

竹籠


竹籠竹ざる、そして多くの竹細工は竹製品は日本の里山にある身近で加工しやすい素材の竹を使うて、毎日の暮らしの中で磨かれ今に伝わってきたものばっかりですぞね。だから、昔からある竹籠などはどれを取っても、そもそも、そんな形や大きさになった理由があるがです。たとえば、この丸竹籠はかなり大きなものです。深さも結構ありますので運ぶものによっては一人で抱えるのが大変やったかも知れませんちや。そこで、底に幅広の力竹のような細工がされちょります。


こうやって壁に掛けちゅうだけでも、この力竹がアクセントになって見栄えがエイですし、縦に一文字に入ったデザインは格好良くも思えるがです。けんど、もちろん、生活の道具として使いよったその昔に、そんな悠長な事を思って職人はこの竹細工をしたワケではないがです。


少しでも沢山の荷物を入れて運びたい。そんな使い手の思いを受けて、持ちきれない重さの時には地面を引きずり運べるように、そう考えて、こんな造作になっちゅうがです。竹籠一つから古人の仕事ぶりや生活がしのばれるち、まっこと嬉しい事ではないですろうか。


竹のティッシュカバー

竹ティッシュカバー


もう30年も40年も前の事ですきに、はるか昔のお話ではありますが、竹の身の部分を丸型や楕円型にくり抜いちょって、そのパーツをビーズ細工のように細い紐でつなげて作る、ちっくと変わった竹細工が人気やった事がありますぞね。子供心にも覚えちょりますが、当時は母も祖母も親戚のおばちゃん達もまた、取引先や社員、職人さんのお宅でも女性の方はこの細工で製造した竹ハンドバッグや色とりどりに塗装された竹ショルダーバッグを持っちょりました。


そうそう、そう言うたら細い丸竹の節の部分を避けて同じサイズに切断して、円柱形になった竹に細い紐を通して作った暖簾やスイッチ紐なども、この頃に圧倒的な人気商品やったように思いますぞね。まあ、今では暖簾など一般のご家庭では見かけませんし、スイッチ紐も住宅からは姿を消しちょります。


なので久しぶりに、このティッシュカバーを拝見したときには思わず声をあげてしまいましたちや。まっこと、まだ現役でお使いいただきゆうご家庭はあんまり無いがではないですろうか?さすが昔ながらの竹職人さんご一家やにゃあと感心するがぞね。


けんど、改めて今手にとって見てみたら、これが、こじゃんと格好がエイですちや。だんだんとお客様の志向が変わってきて、取り扱う事もなくなった竹バッグですけんど、時代が一回りしてきたがかにゃあ?モダンな印象さえ感じるような古くて新しい竹製品ながぜよ。


「一個持って帰り...」


奥さんが新品を出してきて持たしてくれましたちや。こりゃあ、お宝頂いた気分ちや。また一つ思いのこもった竹製品が増えたがです。


新しい竹の命

煤竹花籠


この煤竹の花籠の事は、前に一度お話させて頂いた事があるかも知れませんぞね。けんど、あんまり美しい「新しい命」ですきに、どうしてもお伝えせずにはおれんがですちや。「新しい命」というのは煤竹の事。煤竹は、囲炉裏の生活をしよったその昔に、天井裏で煙に燻されて長い長い年月の間に自然に炭化され渋い色合いになった竹の事ながです。


色の濃淡が見えるがは縄目の部分ぞね。そこが煙に当たらず薄い色合いで残っちゅうがです。煤竹の竹細工は、その製品自体の素晴らしさは当然ですけんど、この竹そのものの価値、長い時間をかけた本物しか醸し出す事のできない風格がたまらん魅力ながです。


けんど、こんな凄い竹やったとしても、屋根裏にある時には煤けて真っ黒いただの汚れた竹みたいぞね。磨かれて、選別され、職人の手によって形づくられ、第二の人生ならぬ、第二の竹生を歩みだすがです。そう言う意味あいでの「新しい命」やと思うがです。


花かごの工夫


さて、この花籠には、もうひとつビックリの工夫がありますぞね。それがこの、内側部分ながです。花を活けるオトシが中に入りますけんど、横幅の広い花籠の形やき、オトシを安定させるために丸いオトシをいれる輪っかが中に作られちゅうがです。


ちっくと感動しませんろうか?まっことの凄さを改めて感じるがぜよ。100年古民家の屋根裏で、しっかり屋根を支え過ごした竹がこうやって今度は表舞台にでて、また次の100年、人の目を楽しませてくれる。考えたら煤竹は、人の役にこじゃんと立つ竹やと言う事ができると思うがです。


青々とした別注竹籠できましたぞね

別注竹籠


別誂えの竹籠が編めませんか?とお問い合わせ頂きましたぞね。竹細工の場合は電話では、もちろん画像などでもなかなかどんな籠か分かりづらい事が多いので、一番確実なのは、現品をお送り頂く事ながです。その籠を叩き台にして同じ籠を編む事も検討できますし、違う籠に仕立てる事もできますろう。


別誂え竹かご


まったく同じものが出来あがる事ばかりではないのですが、今度の竹籠もまずまずの編み上がり。お客様にはご満足いただけるのではないかと思うちょります。けんど、この青々した青年のような籠。長年働いて定年前の白髪頭のような籠。何年も働いて形もゆがんでいますが、やっぱり仕事をした籠というのは雰囲気ありますちや。確かに青い籠は見た目には綺麗かも知れんけんど、まだまだ、ただの籠という気がしますぞね。これから本物への道のりが始まるがぜよ。


 

玉入れ籠のテレビ取材

玉入れ籠テレビ取材


さて、今週末あたりは全国の小学校や中学、高校などで運動会が開催される所も多いのではないろうか?気候も良くなっちゅうし、気持ちのエイ秋空の下、ご家族揃うて楽しい一日のお昼にはバッチリという事でお陰様で竹虎では竹弁当などが好評になっちょります。中でもお父さん、お母さん、ご家族の分まとめて入る竹の三段ピクニックバスケットなどが人気かにゃあ。おっと、子供達の人気競技にも目をむけますと、昔から変わらぬ100メートル走や大玉転がし、綱引き...、そして忘れてはいけないものが玉入れ競技ぞね。


玉入れかご


フジテレビの「スーパーニュース」いう番組がありますけんど、今度、運動会の特集を組む事になっちょって、運動会の種目別に使われる昔ながらの道具にスポットを当てたいと言われてわざわざ東京から竹の玉入れ籠の取材にお越しになられちょりました。


玉入れ籠の材料である竹は全国各地どこにでもあるものやし簡単とは言いませんけんど、それほど難易度の高い籠ではないがです。そもそも昔は農作業や毎日の暮らしの中で、このような形の竹カゴは、多用しよった事を考えるとそれなりに竹職人がそれぞれの地域におって、似たような竹籠は編みよったのではないかと思うがです。


けんど、今では北は北海道から南は沖縄までこの玉入れカゴのご注文をいただきます。と言うことは、それだけ伝統の技の継承が出来ておらず手作りの文化が消えていきゆうという事かも知れませんぞね。とりわけ、このような荒物の竹籠はそういう意味での一つのバロメーターになりますちや。


竹林撮影


もちろん、遠くからお越しいただきましたので、日本唯一の虎竹の林でここにしか成育しない虎竹もタップリとご覧いただきましたぜよ。小鳥のさえずりだけが聞こえてくる静かな山道でやっぱり同じご質問を頂戴したがです。


「どうして、この山でしか虎模様が付かないのですか?」


皆さんお聞きになられたい事は一緒ながですちや。けんど、一番聞きたいのは実は目の前におる自分ながですぞね。100年前に名前を付けてくれた牧野富太郎博士に、まっこと聞いてみたいがぜよ。


青竹踏みで健康の秋

 
青竹踏み


気候がよくなってスポーツに励まれる方も多いですろう。自分なども、あまり時間を取るような運動はできませんけんど、秋空に誘われてウォーキングをする事があるがです。ところが先日は、あまりの風の心地よさについつい我を忘れてしもうて、ずっと遠くまで歩いてしうたがです。思いの他、長距離を歩いて帰ってきたら足はガクガク、パンパンです。けんど、こんな時にこそ心強い味方の登場ですぞね。


竹を半分に割っただけのシンプルなヤツですが、これが、こじゃんとエイがです。足裏のツボをグイグイ!グイグイ!マッサージの名人のように押してくれて、何ともエイ気持ちながぜよ。


むくんだ足に使うたら、今まで履いていた靴がまるで人の靴のようにブカブカになった。そんなお声もいただく青竹踏み。値段以上の満足をお約束できる笑顔の一品ですぞね。


飯塚琅干斎作の面白い花籠

飯塚琅干斎作の花籠


この竹花籠は、ちっくと変わっちょります。底編みが底ではなくて横にズリ上がると言うたらエイろうか?下にあるべき編み込みが横にあるというもしかしたら失敗した籠ですか...?ご存じない方がおられたら、そんな風にすら思うてしまうがではないろうか。


けんど、この籠こそ竹職人さんの中にもファンがいっぱいおる竹細工の巨匠、飯塚琅干斎作の花籠ながですぞね。一目で心を鷲づかみされるような、この方の作風は、まっこと独創的。今までになかった新しい竹を表現しちょります。見飽きることのないような作品を沢山創作されてますが、作品に触れる事のできるのは、いっつも本か美術館ぞね。実は実際に手に取る機会はあまりないがです。


竹職人さんのコレクションの中にあった小さな琅干斎。あれも、これもガラス越しにか見る事が出来んかったきに、せめて、この籠は...。そう思うて、上にしたり、下にしたり、斜めに見たり、タップリ楽しませてもろうたぜよ。


世界でただ一つの山

阪本啓一先生の竹林見学


虎竹の竹林にお越し頂くことは、自分達のルーツを知ってもらえるような気がして、こじゃんと嬉しいがですちや。


もともと大阪天王寺で創業した山岸竹材店が、竹を求めて遠く四国は高知の小さな谷間の村にやってきたのはもう100年も前のこと。船で降り立った初代宇三郎はどんな気持ちやったろう?初めて虎竹を見た時の感動はどうやったろう?日本でここにしかない虎竹にどんな夢を見たがやろう?すべての答えは、この竹林にある気がするがです。


だから、遠い日の曾じいさんのように遙々とやって来られる皆様と何度竹林を訪れても、その度に何とも言えない歓喜がわき起こる、自分にとっては世界でただ一つの山。どんな有名な街並より、どんな雄大な景色より、どんな荘厳な遺跡より。自分にとっては、ここが世界の中心であり、限りない魅力にあふれた場所。笑うてください、こんな小さな男ですきに。