「ワシの遺言やと思うてれ...。」
ソファーに深く腰を下ろした職人さんを沈黙が包みますぞね。大事に受け取ったのは虎竹で編まれた脱衣籠。作ったのはもう25年以上前になると言います。
「二代目がエイ竹が出たのでと持ってきてくれた...。」
遺言...。
また一つ肩に背負うものが出来ましたちや。手で優しくなでてみる。虎竹の里から出ていってこうやって何十年もして帰ってきた。
重たくないか?
何ちゃあないぜよ。こんな重みは数えきれんばあ背負いゆうきに。竹だけに真っ直ぐ行くと決めた。あの日から。
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