網代文庫、つながる父子

渡辺竹清作網代文庫


虎竹で編み込まれた美しい網代文庫がひとつ。文庫とは手紙や書類など机まわりで使う小物を入れる道具箱ぞね。かっては、このような竹で作られた文庫が大量に作られちょりました。古いお家には一つ二つはあるかも知れませんちや。


渡辺竹清先生のお父様は、この文庫作りをずっとされよったので、当然後を継いだ竹清先生も来る日も来る日も編み込みをされていた時期があったと言われます。当時作られよった文庫には大、中、小と3つのサイズがあったそうながです。大の大きさに中には中の大きさが入り、その中に更に小のサイズが入るように出来ていたと言います。


さて、そこでもう一度、竹清先生が作られた虎竹文庫を良くご覧いただきたいがです。どうですろうか?良く見たら、ちっくと竹籠にピッタリと入っちょりませんか?そうです、虎竹文庫が中の大きさ。ワンサイズ大きな外の竹籠は大の大きさの文庫ぜよ。計ったようにピタリとジャストサイズに入っちょります。まっこと気持ちがエイばあちや。けんど、もっと良くご覧いただきたいがです。どうも、この二つの文庫同士が何やら優しく寄り添うちょりませんろうか?


実は、外側の文庫は竹清先生のお父様の作。内側は弟子でもあり、息子でもある竹清先生作。日本のモノ作りの凄さに鳥肌が立ちますちや。時代を越えて、職人の手を越えて受け継がれて来た本物というものは、こういう事ながです。


「まっこと、凄い...」


感激して声を忘れた竹工房ぞね。


コメントする