「水指」と書いて「みずさし」と読むがです。茶道の道具の一つですきに、お茶をされゆう方なら皆様ご存じかと思うのですが、最近はお茶やお花を習う方も随分と少なくなっちょります。茶道、華道と竹というのは昔から、こじゃんと深い関係があり切っても切れない間柄ぞね。
たとえば茶筅(ちゃせん)と言う茶道具があるがです。ケーキを作る時の泡立て器を小さくしたような形と言えば分かりますろうか?茶筅など竹という細く細く割れて、しなりがある。柔と剛を併せ持つ竹という素材が身近に無かったとしたら一体何で作れば良かったがですろうか?いやいや、作る事はできなかったですろう。竹という素材あってこそ生まれた道具ではないですろうか。
けんど水指については水を入れる容器ですので、もともとは陶器等が多いのです。孟宗竹をそのまま利用した竹水指はありますが、ここまで凝って、愛情を注いで製作された水指は他には、ちっくと見た事がありませんぜよ。まっこと、この水指は珍品ちや。
太い孟宗竹に丁寧に煤竹を割り、そして削り、独創的な模様に貼り付けて製作された竹の水指。茶道具も好きやった祖父が職人さんから譲ってもらい、随分前から本店にあるもの。モダンにも見える模様の作りに、職人さんの遊び心も伝わってきます。実はこんな「ゆとり」を感じさせてくれる竹細工は案外と昔に作られたものが多いぞね。竹職人の高度な技術に裏打ちされちゅうがではないかにゃあ、そう、思うがです。
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