エアコンなどしなくても網戸にしちゅう縁側の窓からは、緑の葉をゆらして心地のエイ風が通り抜けていくがです。だいたい竹職人さんの朝は早い。熟練の職人さんに話しを聞くと、最初は丁稚奉公ではじまる竹の世界。朝は夜明けとともに、夜は深夜までいろいろな竹の編み方で籠を作る毎日。ずっと親方や兄弟子と一緒に競いあいながら竹の向かい合うたそうです。
竹工房のお茶時間、懐かしい袋菓子を食べながらそんな話しを聞くにつれて自分が小さかった頃の事を思い出すちや。いつも優しい祖父も、竹を手にしたら「仕事の鬼」と言われて、まるで別人のような真剣な顔つきになって竹を切りよりました。後ろで伏せて仕事が終わるのを待っている愛犬アトマもその雰囲気を察してか、いつも黙ってご主人様をじっと見よったです。
竹虎に入社して、ようやっとあの時の事が分かった気がしましたぞね。竹の工場では役職や年功序列は関係ない良い品を、ひとつでも多く作れる腕のエイものが大将やった。この職人さんの仕事場は、どうやったがやろう?それにしたち、のんびり竹に囲まれる午後は気持ちがエイぜよ。そよ風に、大好きやった職人さんたちの笑い声が聞こえてきそうな、ちっくと幸せな時間ぞね。
コメントする