華やかな街から少し離れて、門くぐって入って行く奥まった所にその旅館はありました。古都の趣を思わせるような静かで落ち着いた雰囲気の通路には随所に竹のあしらいが使われちょりまして、やっぱり日本は竹文化だと、つくづく感じさせてくれるがぞね。
館内に入ると更に少し薄暗く、しっとりした空気感。こりゃあ、うっかり時間を忘れそうになりますちや。忙しい毎日を送る現代人には、こんな空間が必要な事もありますろう。暖簾をくぐって案内していただく長い登り階段の向こうまで、足元を優しく照らす竹灯りが並んじょります。おもてなしの心に感激しながら、歩きゆうだけですっかりリラックスしてしもうたがですが、ちっくと立ち寄ったトイレのドアを開けたらさらに嬉しい感激の再会が待ちよりましたぜよ。
そうですちや、日本唯一の虎竹がペーパータオルでお出迎えやきに。はじめて寄せていただいた、虎竹の里から遠く離れたこの土地で今日の自分のように訪れる旅人の疲れを少しでも癒してくれゆうがやろうか。虎竹の里の山に生えている時にも、その凛とした清々しさでサラサラと音をたてる心地よさで楽しませてくれる竹達ですが、伐り出され、運ばれ、選別、製竹など加工を経て職人の手で、それぞれの竹細工に昇華して誰かのお役に立っている。そんな竹の里でみる竹の表情と又違う顔を見させてもろうたら、それぞれの竹が人に喜んで頂きゆう姿を見せさてもろうたら、毎日の自分たちの仕事にも張り合いが全く違うてくるがやき。
まっこと、おまんらあが頑張りゆうように。自分も、やらんとイカンにゃあ。そう勇気をもらいますぞね、ありがとう。
ありがとう。
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