座敷箒や棕櫚箒は昭和の時代のものとして忘れさられつつあった物やと思います。最近、ちくと見直されてきた理由のひとつには、やはり電気を使わないエコ製品という事。そして、音がしない事なども言われちょりますが、サッと取り出してササッと掃除ができる手軽さもあるように感じちょります。
おっと、けんどもしかしたら若い皆様には「棕櫚」という漢字の読みさえもご存じない方もいるのではいなですろうか?棕櫚と書いて「しゅろ」と読みますけんど、簡単に言うたらヤシの木の一種ながです。南方系の植物らしく見た目が独特で、田舎道を車で走りよっても、すぐ目につく木のひとつぞね。自分など竹屋にも、こじゃんと縁の深い植物で棕櫚箒は皮を箒に使うちょりますが、耐久性があり伸縮性もありますきに昔から紐として多用されてきちょります。竹垣や袖垣を固定したり縛ったりする紐としても、棕櫚縄は欠かせない物ながです。
さて、この座敷箒、棕櫚箒ですけんど、柄の部分をこだわって日本唯一の虎竹を使うたものを作ったがです。最近は手作りできる職人さんが少なくなっちょります。こうやって虎竹を使うた逸品ができあがりましたら、まっこと何と言うてエイか分らんくらい嬉しかったがぜよ。けんど、あまりの喜びに、ひとつ虎竹の弱点を忘れちょりました。実は虎竹は淡竹(はちく)の仲間で、丸竹のまま使うと割れやすい場合があるがです。座敷箒にしても棕櫚箒にしても取り付けの時に竹に穴をあけます。この穴の部分から柄の竹が割れてしまう事があるがぞね。そこで、虎竹でも根元に近く節間の短いものを厳選し、只今、自然乾燥させゆう真っ最中なかですちや。時間はかなりかかるかと思いますけんど、製品にした後に割れて残念な事になるよりは、ここでじっくり手間暇かけちょった方がエイと思うがです。
虎竹柄の箒はそんな理由で只今欠品とさせていただいちょります。お待ちの方もおられますけんど、やっぱり急いで作ることはせず、じっくりじっくり、今のところ販売予定なども未定ですけんど、何卒ご理解いただいてお待ちいただけたら嬉しいがです。