「夏痩せ」等という言葉があります。暑いと、どうしても食欲がなくなって夏場に痩せるという事です。けんど、竹屋には「冬痩せ」という言葉がある事はあまり知られては、いないのでは無いですろうか?
「冬痩せ...?」
少し不思議な言葉かも知れませんぞね。自然界ではクマでも、何でも冬眠する動物は秋に一杯食べて冬は寒さに耐えないといけないし丸々と太っちゅうのが普通です。けんど冬に痩せるとは、どういう事かと言いますと実はこれは竹の伐採、山出しが冬にしか行われないからなのです。伐ったばかりの竹は、乾燥した竹に比べるとズッシリと重たいのですが、そんな竹が小山のようにアチラコチラに積み上げられちょって、それをトラックに積み、選別する土場に下ろす、また積み込む...。日本唯一の虎竹の山と麓を行ったり来たり一日中、汗だくになる一年で一番忙しい時期だからながです。
自分が入社した頃は、今とは比べものにならないくらいの沢山虎竹が伐りだされよりました。朝から晩まで積みおろしが続きよったものです。厚い裏地のついたジャンパーを来て山に上がりますが、仕事をしている内に一枚、また一枚と脱いでいって、結局、Tシャツ一枚になったりしましたけんど、真冬の冷たい風が心地よく感じるほどやったがです。
新竹が所々生えてきちゅう、この竹林に来ちょります。これから迎える虎竹の里の本格的な暑い夏は、竹を伐る音も、トラックや、職人さんのバイクの音もしない静かな夏でもあるがです。
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