古い囲炉裏を見つけたので近寄ってみたら、縁のところに味のある古い炭籠があるやですか。これは年期が入っちょって見るからに渋い雰囲気ちや。編み込みが粗い竹籠ですので、内側には和紙が貼られちょります。所々破れたところもありますものの、まだまだ現役で使える感じ。こりゃあ、一体何年くらい前の籠ながやろうか?
竹籠や竹ざる等は、そもそも生活の道具で見栄えなどよりも、まず使い勝手の良さや耐久性が一番やったがです。この炭籠も決して繊細な編み込みではありませんでしたが、竹表皮の強い部分を選び、しっかり堅牢に作り込まれた感じぜよ。質実剛健な大和男子のような面構えに見えるのは、籠の四カ所にあしらわれた、こじゃんと幅広の割竹のせい。中に入れる炭の重さを十分に受けとめられるように、との職人さんの配慮だと思うがですがこれが、現代の自分などから見たら珍しいデザインとなっちょりますし、竹の古さがなかったら若手の職人さんが新感覚で編んだ竹と言われても間違えそうな、そんな何とも斬新で格好よく見えてくるがです。
そして、朝に昼に晩に、この竹籠を囲んだ人々の暮らしが少しでも見えて来んろうか?物言わぬ竹かごに、ちっくと話しを聞きたくて囲炉裏端に腰をおろして待ってみるがです。
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