素材からこだわる手箒

手箒


たとえば囲炉裏を囲むことのできる贅沢な家があったとして、楽しい団らんあの後かたづけの際などにこんな手箒があったらサッと取り出しササッと使うて仕舞えるので、使い勝手も良く、こじゃんと便利やと思うたがです。しかし、小さく手軽である分、どうしても掃除機や大きな箒の補助的な位置づけて考えちょりました。考えちょりましたが、実はこれが結構間違うちゅうと知ったがです。


何と都会のみなさんにお話を聞かせていただきますと、もちろん長柄の箒も座敷箒も使う事があるらしいのですが、その一方で、ほとんどのお掃除をこの小さな一本で済まされる方もおられるようながです。


いやいや、それは一人暮らしのOLの方とかですろう?そう思って聞くと、どうやらそれも違う。3人、4人で暮らされる普通のご家庭のお母さんが掃除機ように音がうるさい事もなく、コードもつなぐ面倒もない。手軽なこの手箒でリビングも、キッチンも、ほとんど家中を済ませます、そう話してくれたがです。住宅事情が違いますので、まっこと(本当に)聞かないと自分たちではなかなか分からない事ながです。


けんど大きさの事だけではなくて、この手箒のこだわりは色々とあるがぞね。その一つが一番大切な穂先部分にありますちや。密度と柔らかさを両立させて掃きやすくするために箒草の先端部分をカットせず、自然のままの草を揃えて作られちゅうのです。


国産の箒草にこだわるのは当然ですが、模様のように見える美しく縛った紐にしても何気に見過ごしがちですが、薄い黄色い紐は、まっこと日本でも虎竹の里にしか成育しない誰も使うていないと思うのですが虎竹染め。虎竹の青々とした葉の色から淡い色合いに染まるがです。


そして、青い紐は藍染めですが、これもただの天然藍染めではなく、高知のお隣の徳島県で代々十九代も続く藍生産農家さんのスクモ指定で、天然灰汁発酵で染め上げる藍染め作家さんの手によるもの。これぞジャパンブルーと呼びたい紐ながぜよ。こんなにして、ひとつひとつの素材から時間をかけて、こだわり製造された手箒ですきに、一生涯お手元に置いてずっと、ずっとご愛用いただきたい逸品の一本となっちゅうがぞね。


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