虎竹の里と言うたち、まっこと狭い小さな谷間ぞね。けんど、ここには日本唯一の竹林があって、ちっとやそっとでは伐り切れない程の竹か広がる山々があるがです。
「虎竹が無くなる心配はありませんか?」
そんな、ご質問をいただく事もありますが、竹は地下茎で毎年ドンドン生えてきてたったの3ヶ月で親竹と同じ高さに成長するという凄い植物ですので、そんなご心配は全く必要ありませんぞね。ご安心ください!!!
さて、そんな山の一つに登っていくと、初めての方やったら「ありゃあ?何ぜよ、これは...」と言われる様な、こんな不思議な場所に行き当たる事があるのです。ずっと上のほうまで続く急斜面には草木がなく、まるで、ちょっとした滑り台のようになっちょります。
そうそう、自分の小さい頃にはキンマと呼ばれる木製のソリや、そんな立派なものが無い時にでも段ボールをお尻に敷いてこんな下り坂を勢いよく滑って遊んだ覚えがあります。今やったら怖いと感じるかも知れんけんど、友達と一緒に笑いながら滑ったあのスピード感は気持ちよかったちや。
まあ、それはさておき、このスペースはもちろん子供達が遊ぶための場所では無いがです。そしたら何のためですろうか?確かに滑り台は間違いないのですが、滑り降りて来るのは子供達ではなくて虎竹達。竹林で伐り出した虎竹の枝をはらうと、竹は表面がツルツルしちょって滑りやすいこともあってこんな坂道やったらススッーーーーーと面白いように下まで運ぶ事ができるがです。
虎竹の色づきや年齢によって選別しながら伐採するのも経験を必要とされる目利きのいる大変な仕事ですけんど、伐ったばかりの生々しく重たい竹をトラックの入る山道まで運び下ろすのが又こじゃんと苦労の多い仕事ぜよ。虎竹の里の事ではありませんが、ご自分で気に入った竹を伐って竹細工をされる職人さんも竹を選び、伐採はしますけんど、竹出しの際には、力のある他の方に人手をお願いすると聞きます。竹の山だしは熟練の竹職人さんにとっても大変ながです。竹を滑りおろしたり、反対に竹を担ぎ上げたり。山の職人さんの大変な骨折りが一本、一本の虎竹には隠されちゅうという事を、皆さんにも是非知っていただきたいと思うちょります。
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