江戸前鮨の若い職人さん その1

安和海岸


高知は魚が新鮮でこじゃんと美味しい土地柄です。鰹のタタキなどは特に有名で、県外からお越しになられた皆様はその美味しさに、まっことビックリされるがです。


まあ、けんど高知など海に近いところは魚も素材そのものが勝負という気がしちょりますが、東京などにあります江戸前鮨というのは、魚そのものの新鮮さなどは、もちろんですけんど、鮨職人の手仕事が素晴らしいと言うように聞いちょります。高級なお店とは、まったくご縁がないですけんど、職人芸で美味しいものを生みだすという事は自分たちの竹の仕事とも、ちっくと似たところもある気がするがです。


実は随分と前の事になりますけんど、知人の方が懇意にされちゅうという、ある有名なお鮨屋さんに連れていってもろうた事がありました。お鮨の素晴らしいこと、美味しいことは田舎者の自分からしたら、まっこと腰を抜かしそうでしたけんど、その時、こじゃんと印象に残った若い板前さんがおったのです。その方は、鋭い眼光で店主の手元やしぐさをいっつも見ているような気がしよりました。


職人の手仕事は教わるのではない、目で見て盗むものだ。そんな事を昔から良く言われます。竹細工の職人さんでも、熱心の方は見習いの時から全く違います。師匠の手から目を離さんものながです。その時、何か同じようなものを感じちょりました。あれから8年くらいですろうか?月日が流れるのは早いものですが、そんなある日、あの有名店を独立された若い職人さんがおられる...どこからともなく聞いて、ふと、あの時の若い職人さんを思いだしたがです。


もしかして、あの時の板前さんやろうか?けんど、まさか...確かにお店は大きくはなかったけんど、あれだけのお店やったら若い職人さんも沢山いるやろうし、まあ、行く機会もありませんきに、あまり気にもとめずにおったがです。


(つづく)


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