森林国の手提げ籠

山ぶどう手提げ籠


竹手提げ籠でしたら、今、ざっと見回すだけでも使いゆう竹籠、使っていない竹籠あわせて20個くらいはありますろうか?いやいや、キチンと数えてみたら30個くらいはありそうですちや。もちろん竹手提げ籠は大好きでもありますので、個人的に出かける時や、仕事でも使ったりしますし、色々な試作もする一番身近なものですので当然と言えば当然ながですが。


竹の手提げ籠だけではなくて他の自然素材からも、たとえば、山ブドウ、アケビ、つづら、マタタビ、イタヤ...ちょっと聞き慣れないような、こんな山の素材からも、まっこと(本当に)素晴らしいカゴが編まれちゅうがです。もし、お持ちの方がおられましたら、ご存じのとおりですが、それぞれ持ち味、野趣あふれちゅう雰囲気の違いを、その日の気分によって楽しまれゆうのではないですろうか。


そんな中、丈夫さと経年変色で抜群なのは、やっぱり山ブドウではないかと思います。近年、良質な材料の希少価値と職人さんのご高齢で、お値段も少し上がり気味になっちょりますが、元々はお手頃で、丈夫な実用品としての手提げ籠やったです。もう数十年前の話しですが、竹籠と変わらない価格だった頃は母なども山ぶどうは愛用していて、ひとつ譲ってもらったセカンドバックタイプのものがあります。自分が使い始めてからでも、すでに20数年経ちましたけんど、傷む事もなく、ますますツヤが増し風格が備わってきちょります。


いつだったか、骨董品屋さんの片隅で見つけた古い山ブドウのカゴ。持ち手もなく、一部のツルが傷んでいましたのでそのまま持つ事はできなかったものを、職人さんにお願いして数カ所修理していただき、持ち手を新しく付けてもらって使いよりますが、これも堅牢そのもの。カゴの中にギッシリと石を詰めて持ったとしても恐らくビクともしないのではないですろうか?一体何年前に作られたものかは分かりませんけんど、ちょっと歪んだ形や風合いなどから実際に仕事を毎日ガンガンしていた籠の力強さを感じるがです。


実は日本は森林面積が広く、森林率は先進国の中では北欧のフィンランドなど次いでなんと世界第3位という森林国ながです。竹細工だけではなくて、このような山の幸とも言える素朴な籠ひとつからでもこの国の自然の豊かさ、職人の手の凄さ、先人の知恵をつくづく感じる事ができるがです。


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